幼馴染の上司
「お前は女だから、仲間に入れられない」
「なんだよ。それ!女、男、関係ないだろ!」
親父は街を守る警邏隊の隊員だった。
時折仲間たちの家族でパーティーを開き、子供同士で遊ぶことがあった。
そんな中、目立っていたのがサヴィーナだった。
母親が貴族のため、所作が美しい。
その上、金髪に青い瞳。
顔も可愛くて、最初あった時に恋に落ちた奴も多かったはずだ。
俺もその一人だった。
だが、俺のライバルはどんどん脱落していった。
サヴィーナはやたらめったら、喧嘩が強い。しかも短気だった。
でも大人しくしていれば、美少女。
だから、なんとなく男だけで遊ぶ時なんて、気まずくて仲間にいれたくなかった。なんていうか、馬鹿みたいな遊びができなくなるとか、そういう奴。
「お前は女だから、仲間に入れられない」
俺が啖呵を切った翌日、男だけで遊んでいたら、サヴィーナが現れた。丸刈りといってもいいくらい、髪を短くして。
そんな短く髪を切るなんて、男しかいない。
貴族の子弟みたいな感じで、女にはもう見えなかった。
「これでいいか?」
俺は頷くしかなかった。
それからもサヴィーナは髪を伸ばそうともしなかった。
俺は、堪らず、
「髪伸ばせば?似合ってないぞ」
と言ってしまい、張り倒された。
元の顔が整っているのでどんな髪型でもサヴィーナは綺麗だった。
だけど、前のサヴィーナを知っている俺は、髪の長い彼女を見たかった。
しかし、俺の失言はずっと尾を引いて、サヴィーナが髪を伸ばすことはなかった。
俺たちと遊び、すっかり男らしくなったサヴィーナ、伯父さんが騎士らしく、手合わせなどもしているみたいで、どんどん強くなった。
警邏隊になって街を守りたいと宣言してた彼女は、入隊試験を受けて、女性で初めて受かり、入隊した。
もちろん、俺も彼女を一緒に試験を受け受かった。
それからもずっと彼女の側にいて、不埒な奴がいないか見張っていた。
おかしなことを言った奴はぼこぼこにした。
サヴィーナは俺の気持ちに気づかないだろう。
だけど、俺はそれでもいいと思っている。