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約50分間フェリーに乗り、ついに佐柳島に到着した。あまりにも暑すぎて溶けるかと思ってしまう。わたしがいま住んでいる京都と同じくらいの暑さだ。まずは休憩しようと、ネコノシマホステルにあるカフェを目指す。その道中に何匹か猫と会ったけれど、暑いのか日陰で寝そべっていた。おやつをあげてみて、我先にと食いつく猫もいれば警戒して近づこうとしない猫もいる。京都から来たよくわからない女がスーツケースを片手に島を闊歩しているのだから、警戒するのも当たり前かと人間に置き換えて考えてみた。
ネコノシマホステルにあるカフェでアイスクリームを注文し、涼みながら少しだけ小説を書く。渡されたメニューを見て1日10食限定のカレーが予約できることを知り、ダメ元で予約してみる。店員さんは快く了承してくれた。
席が空くのを待っている人の姿もあり、わたしは一度退店する。ランチタイムが11時30分からなので、再び島を歩いてフェリーの待合室付近に向かう。そこで出迎えてくれたのは左右で目の色が違うオッドアイの猫だ。彼女は片方が青、もう片方が黄色の目をしていた。オッドアイの猫を見たのは初めてだったので新鮮な気持ちになる。わたしがカバンからちゅーるを取り出して食べさせると、彼女はおいしそうに食べてくれた。それから
「もっとないの? ここに隠してるんじゃない?」
と言わんばかりに、わたしのスーツケースに飛び乗ってくる。わたしが突然のことに驚いていると、どこからか焦茶色の猫が現れた。わたしがちゅーるをくれる人だという噂が猫たちの間で広まっているのだろう。わたしは2匹にカリカリのおやつをあげ、また来るねと言ってその場から立ち去った。ネコノシマホステルで予約していたカレーを食べに行くためだ。
「すみません、カレーを予約していた相沢です」
わたしはレジにいた店員さんに名前を伝え、案内された席に着席する。1日10食限定だというカレーを食べるのが楽しみだった。10分くらいしてカレーが運ばれてきたけれど、スパイスが効いていておいしかった。家で食べるカレーとは違ったおいしさだったのだ。カレーを食べた後は再び小説を書き、しばらくしてからわたしは再び待合室に向かう。先ほどのオッドアイの猫たちに会いに行きたくなったのだ。