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佐柳島にいる猫に会い、文学フリマ香川にお客さんとして行くためわたしはフェリーで香川県に向かった。金曜日に仕事を終え、一旦家に帰って支度する。それから金曜日の夜に京都の家から電車で神戸まで行き、高松行きのフェリーに乗る。
三宮駅からフェリー乗り場に向かうバスは満員だった。みんな旅行か帰省でもするのだろうと思いながら立ちっぱなしでバス車内にいた時、後方から友人のNちゃんと似ている声がする。話している内容がNちゃんの好きなちいかわのうさぎやNちゃんの出身大学がある場所についてだったので、もしかして本人がいるのではないかと思いながら後ろを見た。人が多すぎて車内では確認できなかったけれど、バスから降りる際にわたしは後ろから降りてくる人たちを確認してみる。そこにNちゃんの姿はなく、全くの別人であることがわかった。なんだNちゃん本人じゃないのかとわたしは思ったけれど、本人がいたらいたで驚いてしまうだろう。
深夜1時発のフェリーに乗り、高松まで向かう。横になれる女性専用シートを確保した上で睡眠をとったけれど、エアコンの風が直接当たる場所だったのもあり寒さで震えていた。こんなことならブランケットを持って来れば良かったと後悔したし、売店でもブランケットが販売されているのを見つけた。夜の4時間のためだけにブランケットに1,200円を払うのも惜しかったし荷物が増えるのも嫌だったので、結局行きはブランケットなしで過ごしたけれど。もしスカート姿だったら安心のためにブランケットを買ったかもしれないものの、そうではなかったことも大きかったかと思う。ブランケットを買わない代わりに売店でホットミルクを買い、わたしはそれを飲んで寒さを凌いだ。
4時間のフェリー旅を経て香川県高松市に到着する。まずは高松駅に行き、そこから多度津駅まで電車で移動した。多度津駅から約18分ほど歩いてフェリー乗り場に移動し、佐柳島まで向かう。佐柳島には自動販売機もコンビニもないと事前に調べていたので、多度津駅近くのコンビニで猫にあげるおやつと2リットルのペットボトルの水を買った。わたしは職場でも夏は2リットルの水やお茶を持って行っていたので、その癖が旅行でも出てしまったのだ。熱中症予防のためには水分は多めに持って行くに越したことはないという考えから来ている。