013 代理✖️代理
突然、妹から決闘を宣言されたベルは確認するように口を開く。
「————け、決闘って……、自分が言っている言葉の意味が分かっているのか? レベイア……」
「勿論ですわ。耐え難い侮辱を受けたからには、決闘で勝利してこそ名誉が保たれるのです」
困惑するベルに対し、レベイアは高らかに続ける。
「ただし、私は闘う術を持たぬか弱い身ですので代理の者を立てますわ!」
「だ、代理?」
「ええ!」
うなずいたレベイアは後ろを振り返った。
「————カレン! あなたを決闘の代理人に任命します!」
「かしこまりました、レベイア様」
レベイアの背後に控えていたカレンが丁寧にお辞儀をして承諾した。
「ま、待て、カレンが相手だって……⁉︎」
「ええ、相手に取って不足はないでしょう?」
勝ち誇ったような笑みを浮かべるレベイアには構わず、ベルはカレンに詰め寄った。
「……カレン。ガレリオ家の次期当主として命じる。この代理決闘は辞退するんだ」
「ベルティカ様。申し訳ございませんが、私はレベイア様付きの使用人でございます。主人《レベイア様》の命でなければお受け出来かねます」
「う……くっ……!」
たじろぐベルに得意げなレベイアが畳み掛ける。
「どうなさいますか、お兄様? 降参なさるのでしたら今の内ですわよ?」
「こ、降参…………」
「————ベル、困っているのなら私が代わろうか?」
すると、ここまで黙って聞いていたヤンアルが突然話に加わってきた。
「え……?」
「ベルの代わりに私が闘うと言っている」
「な、何をおっしゃっているの? そんなこと認められるワケ————」
「何故だ? レベイアが代理を立てるというなら、ベルが立ててもいいじゃないか」
「う…………」
先ほどのベルとそっくりな表情でレベイアがたじろぐと、カレンが主人を守るように歩み出る。
「レベイア様。私は構いません」
「そうか。では、私とお前が闘うということで決定だな」
「カレンと申します。お手柔らかに、ヤンアル様」
「ああ、よろしく頼む。カレン」
ヤンアルとカレン、二人の美女の間に見えない火花がバチバチと散る。その様子を見ながらベルが妹へ問い掛ける。
「……レベイア、いったい俺たちはどこでボタンを掛け違えたんだろうか……?」
「ぜ、全部お兄様のせいですわ!」
事の発端となった兄妹を差し置いて女の闘いが幕を開けようとしていた。




