第四十五部
今日は学院が休みの日。
エリカ、キャロル、マキナ、アイカの四人が勢揃いで朝から部屋に押しかけてきて、ソルシエルは目に見えて不機嫌だった。
「全く、朝くらいゆっくりさせてほしいものだな」
「ご、ごめんなさい。でも、お二人もケーキ屋に誘おうと思って」
「ケーキ屋? 城下のケーキ屋か? それならちと早すぎやしないか?」
「いえ、街はずれの丘の上にあるケーキ屋なんです。ちょっと遠いから早めに出発しないと。お二人もご一緒にどうですか?」
ケーキ屋か。
俺もお師匠様もスイーツには目がない。
丘の上にあるなら景色もよさそうだし、今日は特に予定もない。
俺はエリカの提案を快諾したが、ソルシエルは不機嫌を引きずって渋っていた。
「我は行かぬ。貴様らだけで行ってくるがいい。邪魔された分、もう少しくつろがせてもらわなければな」
「えー、ヴェルマおばさんも行こうよー。皆で行った方が楽しいよ」
「ふん、我はここで横になっている方が楽しい。どうせおばさんだからな!」
「うわ、大人げない拗ね方……」
うつ伏せになって完全に塞ぎ込んでしまったソルシエル。
こうなると説得するのも一苦労だ。
しかし、キャロルとマキナは諦めなかった。
「あの、ヴェルマお姉さんにも来てほしいです。アイカの言う通り、皆で行った方が絶対楽しいので」
「私も、ヴェルマお姉さんと一緒がいい、です。仲間外れ、かわいそう」
二人の説得も虚しく、ソルシエルが伏せた顔を上げることはなかった。
仕方ない、最後の切り札を使うしかないか。
俺は引きこもりの耳元に口を寄せ、魔法の言葉をささやく。
「もう一緒に寝てあげない」
その瞬間、ソルシエルはばっと跳ねるように飛び起きた。
「ど、どういうつもりだ、貴様!」
「んー? そんなに一人がいいならお望み通りにしてあげるつもりだけど?」
「くっ……わかった、我も同行しよう」
そんなわけで、六人全員で丘の上のケーキ屋に行くことが決定した。




