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第二部

 目が覚める。


 上半身を起こすと、そこがソファーであることがわかった。


 座り心地もとい寝心地のいい、高級感溢れるソファーだ。

 このソファーの持ち主はさぞ金持ちなんだろう。


 いや、そんなことより――


 俺は両手でべたべたと身体を確かめた。


 傷一つない。

 地面と衝突したはずなのに、痛みは一切感じない。


 朦朧とする意識をフル稼働し、俺は考える。


 ここはどこだ?

 もう何がなんだかわけがわからない。

 確実に死んだはずなのに、何故だかこうして生きている。


 いや、生きているのか怪しい。

 もしかして、ここは死後の世界?

 ここが天国?


 状況を整理するため、周囲を見回してみる。


 ただの部屋じゃない。

 とにかく広い。

 リビングのようだが、普通のそれとは規格外だ。


 天井にはシャンデリア、壁際には暖炉、ソファーの前には整然としたテーブル。

 少し離れたところにはロッキングチェアーが置かれており、窓から庭を一望できるようになっている。

 壁には額縁に入った肖像画が飾られており、ドレスを纏っていることから恐らく高貴な身分であろう女がこちらを見下ろすように佇んでいる。


 一言で表すなら、ここは屋敷だ。

 どこなのかは知らないが、とにかく俺は誰かさんの屋敷のソファーで寝ていたらしい。


 とりあえず、部屋から出てこの屋敷の主を捜してみるか。

 もし誘拐ならこんなご丁寧にソファーに寝かせてくれないだろうし、きっとこの屋敷の主は善意でここに連れてきてくれたんだろう。

 いずれにしても、どういう状況なのか聞いてみなきゃいけないし。


 立ち上がろうとソファーに手を置くと、思いのほか沈み込んでバランスを崩しかけた。


「おっと」


 咄嗟にテーブルに手を突き、床に転がるのを阻止する。


 しかし――


 この時、俺は胸の辺りに違和感を覚えた。


「……え?」


 揺れ。


 改めて両手で胸の辺りに触れてみる。


 柔らかな感触。

 詳しく表現するのは……ためらわれる。


「まさか……」


 鏡を見つけるなり、俺はその前まで走った。


 腰まで伸びた艶やかな黒髪、琥珀のごとき金色の瞳、漆黒のドレス。

 鏡に映っていたのは、紛れもなく女だった。


「な……なんじゃこりゃあー!?」

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