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第二十七部

 魔女の宮殿で覚えた魔法を試しているうちに、すっかり夜が更けた。


 物体の具現化はかなり様になってきた。

 まだ生物の具現化はできない上、ソルシエルのように完璧なものを創造するにはほど遠い。

 が、素人が判別するには不可能な程度に酷似した贋物を創り出せるようになった。


「感心感心。言いつけを守っておるようだな。どれ、見せてみろ」


 ソルシエルが手に取ったのは、俺が魔法で創った王都の紙幣。

 明かりに透かして細部まで吟味している。


「どう?」


「贋物だな」


「やっぱまだまだかぁ。紙幣は特に難しいな。番号は適当につけてあるし、もし実存する番号だったらかぶることになるもんな」


「ふっ、青いな、マリアよ。こういうものは番号などさして問題ではない。この紙幣を見る者に本物であると思い込ませればよい。一種の催眠でもなんでも、万人が本物だと思えば贋物は本物になり得る」


「なるほど。発想の転換ってやつだな。じゃあ、『反転』を使って……」


「ときにマリアよ」


「何?」


「貴様、バーサーカーを知っておるか?」


「バーサーカー? 狂戦士って書いてバーサーカーって読むやつ?」


「狂戦士はわからぬが、認識は合っておる。いや、貴様に初めて魔法を使わせた時から思っておったのだが、もしやバーサーカーの生まれ変わりなのではないかと。我が『反転』の影響下では持ち得ぬ力ゆえ、何か混ざっておるように思えてならないのだ」


 俺がバーサーカーの生まれ変わり?

 一体どういうことだ?

 俺は死んでない。

 屋上から飛び下りて死にかけたけど、お師匠様のおかげでこうして生きている。


「生まれ変わりって、死んで輪廻転生したらなるもんだろ? 俺、まだ死んだことになってないと思うけど」


「確かに、貴様は死んではおらぬ。しかし、この世界に来たということは、元の世界に貴様は存在せぬ。おまけに、肉体や精神までことごとく変わっておる。つまり、定義上貴様は死んだと言っても過言ではない」


「え、マジ? 俺、死んでたの?」


「どうだろうな。我らは死んでいないという認識だったが、世界の定義は貴様を死者として扱ったのではないか」


「うーん、よくわからん! でも、なんでお師匠様は俺がバーサーカーの生まれ変わりだと思うわけ?」


「今日の一件でバーサーカーの伝説がふと思い浮かんだからだ。少し聞かせてやろう」


 危うく脳みそがオーバーヒートするところだった。

 一旦思考を停止してクールダウンしなくては。


 ソルシエルがベッドに寝そべり、眠気が襲ってきたため俺もそれに倣った。

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