第二十三部
昨夜は抱き枕にされてろくに眠れなかった。
身体中あちこちまさぐられるし、魔女の宮殿に没入しようにも集中できず大人しく夜明けを待つことしかできなかった。
「ふふっ、なかなかよい身体をしておったぞ。それなりに楽しめた」
「お師匠様、まさかそういう趣味が……」
「さて、朝食にするか」
「あ、話を逸らしやがった……」
ゲオルグが運んできた朝食をうつらうつらしつつ食べ終え、俺とソルシエルは目的もなく街へと繰り出した。
寝不足でふらふらする。
欠伸が止まらない。
「はしたないぞ、マリア。欠伸ばかりしおって」
「誰のせいだと思ってるんだよ。で、今日は何すんの?」
「王家について調べてみようと思う。王都を統べる王家を知ることは、ここで暮らす人間たちへの理解を深めることにも繋がる。それに、百年経って王家がどうなっておるのか、我も気になるところではある」
「王家か。なら、聞き込みしかないよな。王家に直接出向くわけにもいかないし」
「いや、聞き込みでは効率が悪い。どうせまた男共に口説かれるのが関の山だ。図書館が妥当だろう」
ということで、図書館へと向かうことにする。
道を尋ねてみたところ、図書館は広場の方にあるらしい。
外観は、図書館というよりは礼拝堂。
内装も荘厳で、学校の図書室なんかとはレベルが違う。
ずらりと陳列された書架。
その一つ一つに本が敷き詰められており、高いところにあるものは梯子を使うようになっている。
天井画には、王女と思しき気高い人物が描かれている。
「王様は描かれてないんだな」
「当然だ。王都アルトリンデは王女が絶対的な権威を持つ。昔から王家は特別な血筋でな、女しか生まれてこぬ。ゆえに、普通なら王となる男は子孫を残すための種に過ぎぬ」
「へぇ、変わってるんだな。魔女に呪いをかけられたとか?」
「さあな。ひとまず百年前まで歴史を遡っていくぞ」




