表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/60

第二十二部

 ゲオルグが作ってくれた夕食を食べた後、俺はロビーでもらってきた新聞に目を通し、ソルシエルは読書に耽っていた。


 新聞に書いてある限り、スラム街では犯罪が横行しているらしい。

 盗みや喧嘩は日常茶飯事、王都の騎士が介入することはなくほったらかしにされている状態。

 まさに無法地帯だ。


「お師匠様は昔王都で暮らしていたのか?」


「ああ、まだ少女の頃だがな」


「当時もスラム街はあった?」


「さあ、どうだったか。あったのかもしれぬが、気に留めたことはなかった」


「ふーん。人間同士で格差があるのって、冷静に考えてみると不思議だよな。城下で優雅にアフタヌーンティーを楽しむ人間もいれば、スラム街の路地裏で寝て起きる人間もいる。誰かが手を差し伸べれば解決するのに、誰もそうしようとしない」


「綺麗事だ、それは。人間とは元来利己的な生き物、他者に施しをするのは心に相当な余裕がある者だけだ」


 確かに、そうかもしれない。

 誰かに手を差し伸べたところで自分は得をしない。

 見て見ぬふりをすれば損をしない。


 理屈はわかるけど、納得はできない。

 偽善だとしても、俺は目の前に救えるものがあるなら救いたい。

 お師匠様が俺を救ってくれたように。


「さて、そろそろ寝るとするか。マリアよ、今日はベッドを譲ってやろう」


「え、いいのか?」


「うむ。我も隣で寝るがな」


「それは譲ってないじゃん……」


「ならば魔法でベッドを出せばよかろう」


「狭すぎて置き場がないって。え、ひょっとしてマジでお師匠様と一緒に寝なきゃいけない?」


「む、そんなに我とベッドを共にするのは嫌か?」


「いや、恥ずかしいっていうか……」


「そう照れるでない。さあ、遠慮せずこっちへ来い」


 渋々ソルシエルの横に寝そべってみる。


 狭い。

 狭すぎて肩が触れ合う。


 寝返りを打つと、背中にぷにぷにとした甘美な感触が押しつけられた。


 顔と耳が急激に熱くなる。


「あのー、わざと押しつけてません?」


「ふん、我も辱めを受けたのだ、仕返しされても文句は言えぬぞ」


「ぐっ……まだ根に持ってたのか……」


 駄目だ、このままじゃ目が冴えて寝れそうにない。

 新手の拷問だ。


「ああ、そうだ。言い忘れておったが、睡眠中も魔女の宮殿に入れる。鍵は貴様に渡してあるゆえ、いつでも出入りできる。修行を怠るでないぞ」


「この状況でも!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ