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第二十部

「何を勘違いしておったのだ。我はただ偵察がてら王都を散歩するつもりだったというのに」


「いや、それならよかったよ。お師匠様、イライラしてたからてっきり王都を潰しに行くのかと」


 俺とソルシエルはカフェでアフタヌーンティーを嗜んでいた。


 お師匠様の機嫌も直ったし一安心、ようやく一息吐ける。

 またメイド姿を拝みたいのは山々だけど、拗ねられても厄介だしもうしばらくお師匠様をからかうのは自重しよう。


 そう心に誓い、俺は残りのコーヒーを一気に飲み干した。


「時にマリアよ、我と共に王都で暮らしてみる気はないか?」


「唐突だな。人間に歩み寄る気になったのか?」


「ふん、そうではない。世界を滅亡させるにしても猶予をくれてやってもいいと思ってな。人間は残酷な生き物だが、時代は移ろうもの。わかり合える可能性も全くのゼロではない。我も見極めてやろう――人間の価値を」


 俺は魔女として人間を見極めると言った。

 判断材料は多いに越したことはない。

 人間と接し生活を共にしてみなければ、憶測や被害妄想で一方的に殺戮を押しつけることになる。


「いいと思うぜ。俺は賛成だ」


「では、決まりだな。ここでは我はヴェルマを名乗ろう。かつて捨てた忌まわしい名だが、仮の名だ。どうでもいい。我のことはお姉様とでも呼べ」


「はいはい、お姉様。で、どこに住むわけ? 野宿ってわけにもいかないだろ」


「まあ、宿屋でよかろう。家を借りれば身分が割れる。行くぞ」


 ガトーショコラの最後の欠片を口の中に放り込み、俺たちは宿屋探しに取りかかった。

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