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第十九部
昼を過ぎたというのに、ソルシエルはまだピリついていた。
貧乏揺すりがロッキングチェアーを軋ませる。
「なあ、お師匠様、そろそろ機嫌直してくれよ。メイド姿、似合ってたんだからさ」
「言うなっ! ああ、思い出しただけで身の毛がよだつ! 弟子からあんな辱めを受けるとは……ちっ、我としたことが油断した」
ソルシエルは帽子を目深にかぶり直し、こほんと小さく咳払いした。
「少し出てくる」
「どこへ?」
「王都だ」
「ちょ、ちょっと待った。俺も一緒に行く」
「来るな。今は一人になりたい気分だ」
そそくさとリビングから出ていくソルシエルを急いで追いかける。
やけになって王都を襲撃されたらたまらない。
しがみついてでも止めないと。
「ちょっ、お師匠様! 早まるなって!」




