第十四部
魔女の頭蓋骨は案外すぐ見つかった。
博物館の目玉にもなっているようで、奥まった場所にあるガラスケースの中に展示されていた。
普通に人間の頭蓋骨。
魔女のものかは定かではない。
ただの人間の頭蓋骨を魔女の頭蓋骨と偽って展示している可能性もある。
「お師匠様、どう? 本物?」
「……間違いない、我が師だ。眼窩のこの傷――表面上は魔法で消していたが、骨までは手をつけていなかったのだろう。戦争の最中、不意打ちでつけられた傷だ。贋物ならこの傷を再現することは不可能。紛れもなく、我が師だ」
ソルシエルの顔付きはいつになく険しかった。
そして、金色の瞳に復讐の鬼が宿るのを感じた。
「お師匠様、まだ駄目だ」
「……わかっておる。今戦争を仕掛けても二の舞になる。だが――」
ソルシエルはガラスケースに手を伸ばした。
「王都では魔法を使うまいと心に決めていたが、気が変わった。師をこのような晒し物にされて黙っているほど我も腐っておらぬ」
白い手が掴んでいたのは髑髏。
ガラスケースに視線を戻すと全く同じものが飾られている。
恐らくソルシエルが手にしているのが本物、ガラスケースの中身は魔法で作り出したレプリカだろう。
「師よ、百年もの間好奇の眼差しに晒され続けさぞ辛かったろう。弔いは必ずしよう」
手を離すと、頭蓋骨が虚空へと消える。
いや、異空間にでもしまい込んだのだろう。
「もう用は済んだ。これ以上ここにいるとどうにかなってしまいそうだ」
「大丈夫か、お師匠様?」
「ああ。ひとまず今日は帰るとしよう」




