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第九部

 鬱蒼とした魔女の森をようやく抜ける。


 まるで樹海。

 自力で歩いていたら間違いなく迷い野垂れ死んでいたことだろう。


「ここが王都アルトリンデか」


 石畳、木組みの家、果物や魚を売る屋台、銀色の甲冑を着た騎士。

 遥か彼方うっすらと霧に包まれた城がそびえ立っている。


 想像通り活気のある国だ。

 やっぱ異世界はこうでなくちゃ。


 しかし、お師匠様はなんのために俺をここへ?

 別にお題もなかったし、旅行気分で見て回ればいいのか?


「そういえば」


 ソルシエルの言葉が脳裏を過ぎる。


 後悔することになる――もし俺が魔女の弟子で魔女を目指していることがバレたら。


 確かに、魔女は特別な力を持つ神に近い存在。

 恐怖や畏怖の念から、敵視されてもなんら不思議はない。


 ひとまず聞き込みのため市場を散策してみることにする。


「ああ、麗しきレディー。お一つ林檎はいかがかな?」


「え、俺のこと?」


「おや、あなた以外に誰がいるというのです。さあ、どうぞ」


「いや、お金持ってないしな」


「では、差し上げましょう。またそのお姿を見せていただけたら、その時にお代をちょうだいしましょう」



「あ、ありがとう」


「おお、なんと美しい。あなたにはこの薔薇が相応しい。私からのプレゼント、受け取ってください」


「……ありがとう」


「魚料理はいかがですか? よければ私と一緒に――」


「何! 抜け駆けは許さん!」


「食事なら私と!」


 軽く暴動になってきたところで、俺はそそくさと市場を離れた。


 やれやれ、一体なんだったんだ。

 面倒なことになる前に早いとこいなくなってしまおう。

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