29.終戦――そして、始まる
◎1
――此度巻き起こった〈天帝国ゼイレリア〉における頂上決戦は結果的に、帝国に大きな傷を与えることなく収束した。
この一件での死者は極少数――首謀者であるルーフェン・エルドレッド、ツィアーナ・プテリス、その他〈円卓賢者〉所属魔法使いである。
無垢なる国民を守り切れたのは聖女ユニスの尽力が大きい。〈言霊〉の権能により都度破壊されていた街もその度に修復され、目に見えた被害はない。
世界は再度、何事もなかったかのように進む。終わりなどない、とばかりに。
そんな中、太平に貢献した事の功労者達は――〈行政都市〉の位置する治癒院にて天井を見詰めていた。
暖かな風が吹き込む部屋のベッドに横になる金髪の桃眼の少女――フィニスは盛大に叫ぶ。
「痛い痛い痛い痛い!」
「頑張ってください、お姉様!」
痛みに悶える美少女に寄り添おうと手を伸ばす、同じく患者の紫ツインテール少女――ユーラシアだ。彼女の傷はフィニスよりも軽く、通常の治癒魔法でほとんど治っている。
ちなみにもう一人の〈血統者〉の女帝は王宮にて優雅に傷を癒していた。
全身に掛けて軋むような痛みが走り、身動きが取れず、非常に億劫そうにしていた。
「もう入院は飽きた」
「今日中には聖女様が来る、という話ではないですか。あと少しですよ、お姉様」
「待てない待てない待てない!」
「幼児退行してませんか……?」
フィニス信者であるユーラシアも手を焼いている最中、音もなく病室に入り込む人物がいた。
主治医の先生――というには余りにも浮世離れした美貌。金髪桃眼という、フィニスと酷似した性質を持つ青年が風にように颯爽と出で立った。
走る沈黙――。
「あ、君は……」
フィニスは懐かしい金色に眼を奪われる。自分の髪色という事実以上に、今は亡き両親に重なって見えた。
「〈二代目黄金血統〉――」
「自己紹介は必要ないようだな」
「いや、名前はわかんないから教えて欲しいな」
「――ディスミナス・パルセノス……覚える必要はない、もう会うことはないだろうからな」
「いきなりそんな寂しいこと言う? 私はフィニスエアル・パルセノスね」
ディスミナスはフィニスに興味がないらしい、話半分で視線だけで周囲を見回す。本当に会いたかったのは現代に生きる子孫ではない、いつかに別離した美の女神だ。
「――ウェヌスはどこにいる?」
その名を聞いた途端フィニスは僅かに目を見開き、すぐに伏せた。
言わなくてはならないことがある。だが、どうしても言葉にすることはできなかった。
沈痛な面持ちを見、ディスミナスは淡々と訊く。
「いつだ?」
「……三か月くらい前に」
「そうか。彼女は……――」
刹那――記憶の底に眠っていた懐かしい記憶が過る。とっくに風化し切ったはずの遠き過去が鮮明に甦った。太陽の下を歩ける吸血鬼の父、人間の母、そして――幽霊の女神。遠い村の無限に見える草原でひたすらに走り回った。
そして、別離した。あまり良い思い出ではなかったはずなのに不思議と眩しい。
過去は脚色される――黄金のように輝く夢のような時間だった。
「――ウェヌスは……」
「笑ってたから大丈夫だよ」
言い淀んだディスミナスに向け、フィニスは柔らかな笑みを湛える。
彼が何を言いたかったかはわからなかったが、自分が言わなければならないことはわかった。
人の気持ちを理解できないフィニスだがディスミナスが自分と同じだったから共感することができた。
「私は沢山心配掛けちゃったけど――幸せだった、って」
「そう、か……それなら良かった」
「あ――」
鉄面皮だと思われたディスミナスが初めて相貌を崩した。
まるでウェヌスのような柔らかく、零れ落ちるような微笑みにまたもや言葉を失した。そのまま目尻が熱くなってくるが瞼を強く結び、涙をのみ込んだ。
いつの間にか消えてしまった守護女神――。
その別れを悲しいものにしないように上を向いて生きてきた。姉のように叱ってくれて、教えてくれた女神の言葉を忘れないように刻み込んで。
フィニスが忘れたら――ウェヌスがこの世に存在した痕跡がなくなってしまう。だが、もう一人残っていた。かの女神に恋焦がれて永遠を生きる者が。
「幸せに最期を迎えられたのなら……良かった。孤独ではなかったんだな」
「うん……」
「邪魔をして悪かった。それが訊きたかっただけだ」
現れた時と対照的に、晴れやかな表情を浮かべ、ディスミナスは踵を返した。その迷いない足取りから、もう会えないことが察せられる。
「もう帰るの?」
「目的は達した。私の心残りはない、もうない」
「そうなんだ……」
「――縁があれば、会うかもしれない」
ディスミナスにとってもフィニスがウェヌスを覚えていてくれている、という事実には馳せる思いがある。
その時、風が一陣吹き荒んだ。前髪が激しく揺れ、反射的に目を閉じるフィニス。
もうそこにはディスミナスはいなかった。古典的な姿の消し方である。
フィニスは堪え切れずくすっ、と笑った。
「あら……お姉様、お怪我が――」
動く度に子供みたいに喚いていた、というのに微笑んで肩を揺らすことができた。
「――お? 治ってる……もしかして、ディスミナスが治してくれた……?」
「治癒魔法で治らなかった傷が……ということは件の〈幻想律〉を使った治癒魔法ということでしょうか?」
ユーラシアの予想は正解だったのだが、フィニスはユーラシアの予想が当たっていようと、そうでなかろうとどうでも良かった。
ディスミナスと少しでも仲良くなれた、と思えたことが何よりも嬉しい。
聖女ユニスに治してくれるまでもなく完全復活したフィニスはベッドから飛び起きた。
「――色々あったけど、良かったよ」
「……例の遠縁の方ですよね? とても似てます」
「そんなに似てた?」
「似てますよ、笑った時の顔が特に」
「うんうん」
それはフィニスにとってそれは最高の褒め言葉だった。
嬉しそうに微笑む姉を見てユーラシアも頬を綻ばせる。その拍子にフィニスのベッドに置かれている本を気がついた。
「何でしょうかこれ?」
「ディスミナスの忘れ物かな」
羊皮紙で装丁された古ぼけた書物――その表紙には見たことのない字で〈亡骸空無〉と記されていた。
◎2
――〈天帝国〉沿岸、西大陸を遠くに拝める灯台に背を預け、座り込むのは〈調停者〉と呼ばれる銀髪の男だった。
ヴァリアルの魔法を真正面から浴び、死んだかと思われたがギリギリのところで生き残り、身体を引き摺りながらここまでやって来た。
「〈黄金血統〉が混ざったおかげで身体が消滅することはなかったとは言え……ここまでの傷だと流石に堪えますね……」
〈幻想律〉を使った治癒を使い続けることで何とか正常状態に維持しているが僅かでも途切れさせれば身体がバラバラになる。それだけヴァリアルの魔法に付与されていた〈終焉〉の権能は恐ろしい。効果が消えるまでは相殺する必要があった。
定まらない思考の中、煌めく水面を無感動に眺める。諦観のような感情に駆られていた。
「また一からですか……」
一体ディスミナスの尻尾を掴むのに何百年掛かったか。
ルーフェンやツィアーナを引き込むのにどれだけ苦労したか。
一連の作戦を実行に移すためにどれだけの被害を黙認したか。
「どれだけ掛かろうとも、〈戦乱神〉の血統は滅ぼさなければならない……そうしなくては世界から――」
次の機会などあるのか――数百年という年月を経てやって来たこれ以上ない好機だった。
ここまで好条件が揃って迎えられた上で失敗した。
目の当たりにしたディスミナスの強さ、ヴァリアルといった様々な障害。もう、成功するヴィジョンが見えない。
「それでも……私は……あんな悲劇は起こさせてはならないんだ……」
力なく地を叩き、顔を上げる。数百という年月の結晶が砕かれた、それでも折れない。
ギリヌスはひたすらに平和を求める。彼が〈調停者〉になったのは人同士の狂った殺し合いを起こさせないため。
あの色褪せない真っ赤な記憶がギリヌスの心を斬りつける。あの悲劇を思い出す度、休んでいる暇などない、こんなところで座り込んでいる時間はない、と正義感という化物に強迫的に囁かれる。
軋む身体を無理矢理動かし、次なる戦場へ向かう。停めなければならない争いは休む暇もなく発生している。
岸の側に石から切り出した長椅子が設置されており、観光客が海を眺めることができる。騒がしい〈帝国都市〉に嫌気が刺したのか、一人の女性が目を細めて水平線を眺めていた。
〈幻想律〉の迷彩を纏ったギリヌスは横を通り過ぎる。〈調停者〉という特殊な立ち位置で数百年にも渡って戦争を止めてきた割に知名度が低いのはこうして人の目から見られないように小細工していたからだ。
「……次こそ、あなたを殺します――ディスミナス・パルセノス」
勿論、覚悟の滲む声も聞こえるはずがない。
「何千年掛かっても、必ず――」
「――悪いけど、それは無駄なことよ」
割り込んできた声にギリヌスは立ち止まった。
声の主は石造りの椅子に座る女性だ。まるでギリヌスに話し掛けたかのようだが、独り言の可能性も大いにある。視線が海に向かっていることを見ると独り言なのだろう。
しかし、続けて口を開いた。
「――この世界は戦乱に傾いてる」
「……何者だ?」
「神々の時代を終わらせ、人々が幸せに生きられる世界が誕生した。そう思われてた。けど、争いはなくならなかった」
ギリヌスの問いを無視してその女は続けた。
「すぐに人同士の戦争が始まった。人々は〈神〉という共通の敵がいたから団結していたに過ぎなかった」
「……〈黄金血統〉に流れる〈戦乱神〉の権能、それが人々を狂わせる。人々に戦い、という選択肢を与えてしまっている」
ギリヌスの感情の籠った台詞の返答は暗い笑み。
意味深な嗤い――まるで世界の真理を知り尽くしているようかの態度、只者ではない。
「どこまで知っているのですか……?」
「全て」
「――まさか……あなたは〈魔女〉ですか!? 生きている内に御目通しが叶うとは……」
「そうね、あなたとは〈初めまして〉よね」
大陸に限らず、生涯にたった一度だけ〈魔女〉に出会うという逸話がある。
幼い頃に転んだ時に手を差し伸べて来たかもしれない。道に迷った時に助言してくれたかもしれない。死に掛けた時に救ってくれたかもしれない。
場所と時代を問わずこのような噂が大陸全土に流れている。
そして、遂にギリヌスの前に姿を現した。毎朝挨拶してくれるお隣さんのような気軽さで現れるものだから、どう反応すれば良いのかわからない。
――魔女と出会う時、それは常にターニングポイントだと言う。
「このことをあなたに伝える義理はないんだけど、可愛い可愛いフィニスさんを殺さなかったことに免じて教えてあげる」
フィニスエアル――ギリヌスの目的を妨げ、最終的に打ちのめした要素の一つ。魔女の口からその名が出るとは、想像以上に大物なのかもしれない。
言い聞かせるように、魔女は真っ直ぐ告げる。
「人々が戦争を起こしているのはディスミナス・パルセノスのせいだとあなたは言ったけど、それは間違いよ」
「っ、そんなはずはないです! あの瞳に睨まれればたちまち人は狂ってしまう、確かにこの眼で見ました!」
意思を失し、生命という生命を貪り尽くす血色の食らい合い。
地獄は見たことはない。だが、あれを地獄と言わずに何と言う。
「〈戦乱の支配眼〉の権能かな――視界に映った者に戦意を植え付けることができる神力の魔眼。殺し合いにまで発展したのは制御がなってなかったからね。でも、それだけの話」
「は……?」
「あの魔眼が確かに危険だけど、世界平和を脅かすほどのものじゃない。それにあれはディスミナスがやってものではないしね」
「そんなはずは……!? 確かにあの金髪の男はディスミナスだった……」
「〈幻想律〉を使えば確実に特定できるでしょ」
「……それは――」
記憶にある姿と、実際に見たディスミナスが酷似していたため最初から疑いもしなかった。
とは言え、本当に一致しているのか疑問に思ったこともあった。そうしなかったのは思い出したくもない程辛い記憶だったからに他ならない。
それとも、怒りと憎悪のわかりやすい矛先が欲しかったからか――早急に眼を逸らすための対象が必要だったからか。
魔女は愕然と身体を震わせるギリヌスに淡々と真実を突きつける。
「あれはディスミナスではないわ。ただ、彼の子孫ではある。血統を扱い切れずに暴走した、その成れの果てにあんなことが起きた」
「ディスミナスでは、ない――」
「血統なんて〈幻想律〉を使えれば簡単に制御できるからね」
それはつまり数百年にも渡るギリヌスの旅が徒労ということになるということだ。
追い掛けて来たのは全く異なる人物だった。
「その人物はディスミナスに殺されたわ。彼なりのけじめなんだろうね……〈羨望神〉と〈戦乱神〉の権能を受け止めきれる人物なんてそうそう生まれないし」
「……私は、全くの別人を仇だと思って追っていたと?」
「そういうことになるわね」
ギリヌスから出たのは乾いた笑いだけだった。
あの悲劇が繰り返されることはなかった。決着は既に付けられ、物語はそこで幕を閉じたのだ。
――道理でディスミナスと因果が繋がらない訳だ。因果は遥か前に終わり切っていた、接点が作れないのも当然ですね。
数百年という時間を全否定されても、納得できる話だった。魔女が語られた、というのが何よりの証明。その上で――。
「――では、どうして世界に戦乱が溢れているのですか? ディスミナスが原因でないとするとそれは?」
復讐を果たすことができればそれはそれで満足だっただろう。
だが、同時に彼は〈調停者〉だ。ディスミナスが戦乱の世の原因ではないとすれば、一体何が自分の敵なのか確かめなくてはならない。
ギリヌスという男は純粋に――どこまでもひたむきに平和を望む。だからこそ、ここまでの力を付けることができた。
その一点だけは評価できる。
魔女は人差し指を立てる、たった一つの理由を口にするため。
「さっき言った通り、世界が戦乱に傾いているから――要はこの世界自体が戦争を招くように進んでいるの。それは〈自然律〉から〈魔法律〉にまで影響してる。〈神〉の思想さえ、その流れの一つだったわ」
「世界の流れ……?」
「私はこの宇宙を〈第一位階 英雄世界〉と呼んでるんだけどね。他の世界と比べて圧倒的に災害と戦乱に溢れてる」
「他の世界? 可能性の世界ということですか?」
「いいや? もっと外側、それはどうでも良い話だけど。流れを断つ方法はある。実行するつもりだし、その準備ももう済ませてある」
「そんな方法が……いえ、あなたならできるんでしょうね」
「今回は私じゃなくてもできることだよ。なんたって人を殺すだけだから――」
ギリヌスの表情が一気に引き締まる。あっけらかんと人殺を口にするものだから、日常会話のように流してしまいそうになるが恐ろしいことだ。
「犠牲に見合う結果が手に入ると?」
「えぇ、確実に争いの因果から脱却することができるわ」
「……――」
世界を――文字通りの世界を救うことなどギリヌスにはできない。実現する方法も力もあまりにも足りない。
しかし、かの魔女ならば実行できるのだろう。悲劇に溢れた世界を、馬鹿みたいなハッピーエンドに塗り替えることが。
「これで義理は果たした。後はあなたの好きにしなさいな」
「……あなたの世界の救い方を見ていますよ。その方法が認められないようなものなら――」
「えぇ、お好きにどうぞ。止めるも、傍観も同じだわ」
椅子の前で止めていた足を前に出し、ギリヌスはこの場を後にする。魔女がこれから何をするのか、その結果世界に何を齎すのか――何にせよ、此度の頂上戦争以上の騒動になることは間違いない。
敗北を期した先に待っていたのは更なる混沌の可能性――。
「私がこの因果に干渉できる理由はないでしょうけど……」
ふと、振り向いた時には魔女の姿はなく、変哲もない潮風吹き荒ぶ海岸線がどこまで広がっていた。
◎3
――その日、人々の手の甲に紫色の紋章が刻印された。
世界中を巻き込んだ異常が一切の予兆もなく起こった。
怪しく光る紋章はまるで鬼が憤怒したかのような――同時に涙したかのように見えるという。
突如として浮かび上がった怪しく光る入れ墨に人々は大いに動揺した。皮膚を削っても、腕を斬っても身体のどこかに必ず現れる、という曰く付きの刻印。
不気味だと言われていた紋章だが、刻まれる者に一定の法則が発見された。紋章は王侯貴族に多く刻まれていたのだ。間もなく、紋章は選ばれし者だけに許された権威の象徴として扱われた。
訳も分からずに生成された印だと言うのに、乗じて新たな迫害までも起ころうとしていた。
しかし、栄華の象徴だった期間はあまりにも短い。
紋章は貴族の他にも、罪人にも刻まれていることがわかったからだ。
敏い者はやがてその紋章が権威どころか罪の烙印であることに気づいた。内容はともあれ大罪を犯した者にだけにしか刻まれていない、と。
そして――刻印の時と同じような唐突さで脳裏に鳴り響く声。例外なく、全人類の脳に直接に語り掛けられる。
どこかあどけない、それでいて存在感のある女性らしい声だった。
〈私はあなた達から魔女と呼ばれてる者〉
〈一定数の人は不気味な紋章が刻まれて驚いてると思う。そうよね、こんな禍々しい刻印、見ていてあまり良い気分にはならないからね。端的に説明するわ〉
〈紫色の紋章が刻まれた者は今から九九日後に死ぬ〉
〈残念ながら冗談の類じゃない。確実性を伴った事実としてそう宣言させてもらうわ〉
〈どうしても止めたい者がいるなら中央大陸――〈傾斜国トゥルーオース〉に来なさい。そこに打建てた城で私は待ってるわ〉
〈私を殺すか、もしくは人の可能性、ってものを見せてくれたら刻印を消すことを約束する〉
〈平和的に解決しようなんて甘いことを考えるのはお勧めしない。こちらにも事情があるから、少々手荒になると思う〉
〈各地に城までのワープゲートを作っておくから移動に関しては気にしなくて良いわ、罠みたいな狡いこともしないし〉
〈くれぐれも愚かな選択はしないように、じゃあね〉
ほんの数分の魔女の一方的なメッセージ。
審判の時が布告された。
刻印があるものからすれば虐殺の宣言にしかならない。逆に、刻印がないものからすれば魔女による救済に他ならなかった。
世界は二分される。旧世界を望む者、九九日に訪れる新世界を望む者――。
人類は選択を迫られる。
どんな選択であろうと、魔女は受け入れるつもりだ。どんなに才知に溢れていようとも、愚か極まりなくとも。
「全く、残念だわ――」
――魔女は〈奇岩城〉の玉座にて座して待つ。
誰がそこまで辿り着けるか、今はまだわからない。
これから先の構想は全くありません……うわー、って感じです