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第16話

 

「魔物いなくなっちまったし、ボス倒しに行くか!」

 

 ネジャロは意気揚々と立ち上がる。

 アウロ・プラーラ最難関と言えど、1度全滅させてしまえばしばらく湧かないのは他と同じ。

 戦っているところが見たいなんて言われたから、少しやりすぎてしまった。

 

「そうしたいところだけれど、ここ(第3)のボスは辞めておきましょう」

「何でだ?まさかお嬢でも倒せないほど強いとかか?」

「いえ、そういうわけじゃないのよ」

 

 倒すことだけなら簡単にできるだろう。

 しかし、倒し切るとなるとどれだけ時間がかかることやら。

 

「攻撃に魔力を使ってくれればいいのだけれど、面倒くさいことに全部再生に使うのよ。数回倒す程度ならあなたでもできるでしょうね」

 

 どれだけ攻撃しても、たとえ核となる魔石を破壊してもすぐに再生してしまう。

 現状、そいつの莫大な魔力を枯らす方法は数千、若しくは数万回倒し続けるか、周囲の魔力を吸い尽くす龍を呼んでくるしかない。

 ただ、倒したからといって何かがある訳でも無し。

 冒険者ランクを上げるだけならほかのボスを倒して回った方が手っ取り早い。

 

「なるほど。そういうことなら他のダンジョンに行くぞ!

 えーと、確か次に難しいのは第5だったっけか?」

「そうね。でも難しいと言っても硬いだけ。今のあなたなら思ったより簡単に攻略出来ると思うわよ」

「なんだそうなのか。期待はずれだな」

 

 それも仕方の無いことだろう。

 元の力量が高い虎人族に合わせて作られているわけでないのだから。

 こうして、第3ダンジョンでの狩りは一旦幕を閉じる。

 

「よっしゃ!さっさと次行こうぜ!」

 

 お次は第5。

 ゴーレムオンリーの攻撃力が試されるダンジョンだ。

 そこに向かってネジャロは駆けて行った。

 

「さてと、帰りましょうかね」

 

 私はと言うと、第3での彼の戦いぶりからして見守る必要は無いと判断した。

 この国にも市場や他施設がかなりあるのだから、休暇を満喫しようというわけだ。

 

 

「ただいま」

「あ、おかえり。あれ?ネジャロは?」

「まだダンジョンよ。しばらくは帰ってこないでしょうから、どこか遊びに行きましょう」

 

 宿に帰ってくると、アランとベルテは机に向かっていた。

 作成していた書類の内容を見るに、商材の目録と言ったところだろう。

 

「それでしたら浴場に行きませんか?帰ってきたばかりで疲れているでしょうから」

「それもそうね。でもそっちの仕事はもういいの?」

「はい。大方終わっているので。あとは実際に見て、不備があれば追加ないし削除する感じです」

 

 それならば行ってこようか。

 別に疲れていたりはしないが、ここのはノゾミの父親、伝説のドワーフなどと呼ばれている男が作ったものだ。

 兄と同じ転生者だから、慣れ親しんだ温泉を楽しむことが出来る。

 

「じゃ行ってくるわね。ついでに夕飯も食べてきてしまうから、アランも好きに動いて」

「うん。行ってらっしゃい」

 

 私はベルテと共に浴場へと足を運ぶ。

 まだまだ後ろ向きなベルテも、この時だけは笑顔が隠しきれていない。

 彼女の凍った心を溶かすいい機会になるかもしれないな。

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