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SAVIORS-セイビァーズ-   作者: 火下創弥
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2頁

「ねぇねぇ惡ト(あくと)くーん!ニュース見た!?」


 朝から煩い奴だ。僕は朝が苦手なんだ。眠い。


「見てない」


「えー!あんなに刺激的なニュースだったのに!?」


 何だよ刺激的って。こちとら名探偵だぞ?事件には慣れているんだ。


「怪盗キャリガン!」


 ピクッ、と惡ト(あくと)が反応した。


「そいつの名前は口にしないでくれる?」


 怪盗キャリガン。『命を盗む怪盗』――。

 妙な水色の衣装に赤いマント、目に付けた金魚がモチーフのモノクルが印象的で肩には何故かオカメインコが乗っている。

 凄く不快な事に、僕の前には全く姿を現さないのだ彼は。

 以前怪盗の逮捕協力を公安から頼まれたことが何度かあるのだが、僕が居る時に彼は絶対に現れない。


「ふん、僕に出会ったら最後とでも思ってるんだろ。弱気な奴め」


「え~?違うかもよ?例えば、”馬鹿な奴がいるからやる気なくした~”とか?」


「テメェ」


 ……。


「ねぇアンタたち、喧嘩するのはいいけど授業中よ」


 ――――――――


「結局帰ってきちゃいました……」


 あれからお腹が空いて我慢出来なくなり、このままじゃ死ぬんじゃないかと心配になって帰宅してしまった。

 あーまたジェンヌ様に怒られちゃいます……。『処分だー!』って。


「帰ったのか」


「ジェンヌ様!そ、そのぉ……」


「全く、心配したんだぞ」


 心配……?あのジェンヌ様が?

 絶対口が裂けても言わないセリフですよ???


「私が悪かった。言い過ぎたよ、さあ入って。美味しいご飯を戮斗(りくと)が作ってくれた」


 ”戮斗(りくと)”ぉ!?戮斗(りくと)って言うのは私のお兄ちゃん、C-00の名前です。その名前を付けたのはお兄様ではなくてあの科学者ですが――。

 ジェンヌ様は絶対に名前で私たちの事呼ばないのに……。


「――一始(いつき)?どうした。中に入らないのか?」


「は、入ります!こちらこそいきなり出て行ってしまってすみませんでしたぁ!」


「謝るな、お前は悪くないよ。」


 やばい、優しさが逆に気持ち悪くて変な汗が出てきた。

 お兄ちゃん、助けて下さいこの人怖い。


 ――――――――


「ふぅん。ジェンヌねぇ」


「ええ、彼女危ないと思いますわ」


 ここはとある廃ビル。今にも壊れそうなので人間が立ち入らないようにしっかりと柵が置いてあり、さらに心霊目的で入ろうとする人間対策に防犯ブザーも付けていた。

 だが難なくブザーを解除し入った二人。ここが彼らの拠点になっていた。


「ジェンヌ様、どうやら”ヴィーダ”との接触があったようですわ」


「ヴィーダ……か」


 ヴィーダ。最近出てきた犯罪集団である。その人数もメンバーも誰も知らない。

 公安警察も逮捕のため全力を尽くしているのだろうが。


「ポンコツな公安警察には捕まえられないよねぇそりゃあ。」


「最高司令官がポンコツって噂があるくらいですからね」


 そう言って笑う黒髪ボブの女。右目の下には泣き黒子があり、話し方は上品な印象だ。


「もしかして、最近有名な名探偵くんなら捕まえられるんじゃない?」


「名探偵?」


「前公安が依頼したって言ってた探偵。何となく嫌な予感がしてあの作戦は取り止めたじゃないか」


「ああ、喰々流惡ト(くぐりゅうあくと)さんのことですか?確かあの人――」


「うん、そう。”私と同じ研究所の生き残り”」


「……それは一筋縄ではいかなさそうですわ。貴方がそこまで買ってるお方なんて珍しいですわね」


 ――――キャリガン様。

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