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SAVIORS-セイビァーズ-   作者: 火下創弥
11/14

プロローグ

「何でこんな事も出来ないのだ」


 また叱られた。


「お前は何のために生きている。私のためだ」


 貴方のクローンですからね。


「……あまり使えないようだと処分するぞ」


 ……。

 さすがに怒りますよ?


「出て行きます」


「は?」


「こんなところにいても私が壊れるだけですから。さようなら――――ジェンヌ様」


 ――――――


「復活!」


「ちょっと無理しないでよ?」


 先日の戦闘から3日。惡ト(あくと)は完全復活を遂げていた。

 まあその3日間が地獄だったわけだが。


「あんなに死にそうな顔してたのに……」


「何のこと?」


 とぼけるな。お前ずっと目を覚まさなかったんだぞ3日間。


「さやちゃん?」


「……うぅ」


「?」


「うわああああん!」


「!?」


 もう目を覚まさないかと思った。

 どんな気持ちでずっと見てたと思うのよ。

 わざわざ鎮痛剤を口移し――――。


「ブッ」


「さやちゃん!?」


 くちうつし!しちゃった!!!!!!

 どうしよう!どうしよう!

 ちゅーしちゃった!?


「……」


「気絶してる……」


惡ト(あくと)、お手柔らかに頼むよ。鞘架(さやか)は照れ屋なんだ」


「なんか僕した?」


 覚えてないのか……。鞘架(さやか)、夜泣きで大変だったんだぞ。

 自分から「くちうつしする!!」なんて言い出すぐらいには混乱してたぞ。

 結局私の制止を振り払って無理やり押し込むところ見てしまったんだが。

 ――――舌まで入れると思いませんでした。止めればよかったです。


「ん?」


「罪深い男だよお前は……」


 ――――――――


「はぁー」


 溜息を吐く。私の名前は百鬼一始(なきりいつき)

 科学者ジェンヌ様のクローンです。

 前々から彼女にはイライラしてたんです。

 自分勝手すぎるし、すぐ処分するとか喚きだすし、身の回りの事全部私達クローンに押し付けるし!


 大体”燻忌”にも”レミ”にも他のクローンにも感情なんて無いじゃないですか!

 あるのは私と――。


「お兄ちゃん……」


 お兄ちゃん。大好きで優しいお兄ちゃん。

 私がジェンヌ様に叱られてる時いつも助けてくれる。

 彼には出て行くこと言った方が良かったかな。


「これからどうしたらよかったりしちゃいますかぁ!?」


 一人彷徨う一始(いつき)


 「大体何で感情なんてもの付けたんですか……無かったら良かったのに。」


 私はクローンの中でも1番初めに生まれた。百鬼一始(なきりいつき)という名前はもう1人の”お兄様”が付けてくれた名前であり、ジェンヌ様にはその名前で呼ばれたことは無い。

C-01(シーゼロイチ)』。それが私のコードネーム。


 どうやらジェンヌ様曰く私は”失敗作”で、それを生かしC-02(シーゼロニ)百鬼燻忌(なきりいぶき)からは感情を失くしたらしい。


「はぁー……」


 大きな溜息。

 お兄ちゃんには何で感情があるのかって?あの人は作者が違うんですよ。

 その作者さんも厄介そうな人ですが……。


「おなかすいた……」


 お腹が鳴る。今日は何も食べていないのだ。

 いつもはお兄ちゃんが美味しいご飯を作ってくれるのに、ジェンヌ様の我侭で食べる暇が無かった。


「お金、持ってない……」


 私、このまま死ぬんでしょうか?


 ――――――――


「またやってしまった……」


 1人。いつもは周りに他のクローン達がいるのに今日に限って居ない。


「馬鹿なやつだ、自業自得だろクソ女」


C-00(シーゼロ)……」


 そう、自分のせい。

 いつも素直になれなくて”ありがとう”が言えない。

 言おうとすると全く違う毒のような言葉ばかり出てしまう。

 それにしても。


「お前は相変わらず口が悪いな!?」


「人の事言えねぇだろ。脳みそ詰まってんのか?」


 このC-00(シーゼロ)というクローンは私のクローンではない。私の兄のクローンだ。

 作ったのは兄の友人。厄介な性格をしている。

 どうやら口が悪いのは兄譲りのようだな。


「……ただ、仲良くなりたいだけなのに」


「じゃあその偉そうな態度を改めるんだなデブ」


「はぁああああ????」


「また太ったんじゃねぇか?胸に脂肪ついてんぞ」


 バカ!どこ見てるんだ!変態!


「っ――!とにかく私は行くぞ!C-01(シーゼロイチ)を探しに!」


 今度こそ、仲良くなりたい。

 私は――――友達が欲しい。


「精々頑張りやがれ。俺は手伝わねぇ」


 ……この野郎。何でC-01(シーゼロイチ)はこんな男に懐いているのだ。

 ていうか何でこいつ私にはこんなにアタリが強いのだ。


「お前の助けなどいらん!」


 出て行くジェンヌ。


 ――――このやり取り何回目だ?

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