プロローグ
初めましての人は初めまして!
れーずんです!
今作は「大切な人、存在との時間を大切に」というテーマの元、制作しています。
この作品を読んでもらって、大切な存在といる時間をもっと大切に感じようと思って貰えれば幸いです。
尚、もしこの作品を面白く感じて頂けたのなら、ぜひいいねやブックマーク、感想、レビューなど頂けると嬉しすぎて舞います(結構ガチ)。
読者様の時間が自作品でより良いものになりますよう願っています。
――目が覚めて身体を起こすと、いつもより視線が高いような気がしました。
きっと寝ぼけているのでしょう。
構わず私は立ち上がろうとします。
ですが、上手く立ち上がることが出来ません。
それに、何故か身体に違和感を感じます。
なんだか、凄く身体が重たくなったような……。
思わず私は自分の身体に視線を落としました。
すると――
「……えっ?」
思わず、驚いた声を上げてしまいました。
自分の身体ではなかったからです。
自分の身体はもっと銀色で、毛がもふもふとしていました。
でも今、自分の目に写っている身体は肌色をしていました。
毛も全てなくなっていて、すべすべとしています。
……急に、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか?
本当に急な出来事で、寝起きの頭はこの状況についていけていません。
一度冷静になりましょう。
そしていま一度何が起こっているのか確認するのです。
私は目を覚まして立ち上がろうとすると、身体が思うように動かなかった。
その身体に違和感を感じて、私は身体を見て、いつもの自分の身体ではなくて、驚きの声を上げた。
……ちょっと待ってください。
なんで今私は驚きの声を上げることが出来たのですか?
まるで人間のような……というか、完全に人間の声でした。
「あー、あー」
私は確かめるように声を上げます。
……やっぱり人間の声です。
なんで私は人間の声を出すことが出来ているのでしょうか?
だって、私は今まで――
「――ミーシャ!?」
突然私以外の声が聞こえたので、私は思わず声のしたほうに視線を向けます。
「……マス、ター?」
そこにいたのは、私がお世話になっている喫茶店のマスターでした。
――そして、私は今、「マスター」と声に出すことが出来ました!
そのことがとても嬉しくて、私は思わず頬を緩めてしまいます。
しかし、マスターの顔は驚きの表情をしたまま固まっていました。
当たり前です。
だって、私がいきなり人間になったんですもの。
「お前は……本当にミーシャなのか?」
恐る恐るマスターは私に問いかけてきます。
ですが、私は人間になれたことが嬉しすぎて、マスターの様子なんか気にしていませんでした。
「はい! 私はミーシャですよ!」
そう言って、私はマスターに抱き着きました。
普段はマスターのお膝に乗るだけでしたが、今ならこうやって抱き締めることが出来ます。
それが、今は何より嬉しかった――。
「……ついに、この時が来たのか」
――ですが、マスターの零したその一言で私は何故か怖くなってしまって、マスターを抱き締める力を強めるのでした。