過去に仮免許をカバーから外して半分にチョッキンした方がいました
我と沢畠と高瀬の3人は、路上解説として第二段階の説明を受けた。
いよいよ明日から教習所を出て、人間界の「路上」を運転することになる。
普段、天界では人の行いを監視したり、亡霊の前歴を調べるために下界に降りる。
そこは物理干渉が一切ない、瞬間移動と飛空の参照空間である。
人間は、物質に干渉できる、いや干渉せざるを得ない。面倒な生物であった。
人間は、感情があり、考えて行動する。
車はモノや人を運ぶものだ。時には凶器となるため、安全運転のための試験があり、免許が発行される。
仮免許を受け取り、注意事項を聞いた。
本田「学科の⑫と⑬、経路の設計と高速道路での運転の2つは必ず忘れずに受けてください」
本田「コレを先に受けないと、後の高速道路の学科が全て受けられなくなります」
本田「あと仮免許は破ったり切らないでください。免許センターで再発行しないと運転ができなくなります」
本田「過去に仮免許をカバーから外して半分にチョッキンした方がいました」
「なんと愚かな。日本語が分からない人だったのか?」
本田「外国人の方だったのですが、奥さんが見えにくいからと親切心でココを切ったみたいです」
本田「免許センターに行って、再発行まで運転できなくなりました。注意してくださいね」
3実技と4学科の7時間が2日連続で予約されていた。
翌朝、Cコースを外で運転することになった。
本田「はい!おはようございます! 仮免許証と教習手帳を出してください」
「よろしく頼む」
本田「はい、メガネ付けていますね。ではお返しします。今回から車の点検を行います」
本田「運転席のココを引っ張るとボンネットが少し浮くので、中央からずらして開けてください」
「これ毎回やるのか?」
本田「そうですね」
合宿免許卒業まで、あと6日
仮免は命の次に大事!
うっかり紛失ならまだしも、奥さんに良かれと思って切られちゃったのはさすがに可哀想だと思いました。