導かれた…??
今、私は、第三王子と向かい合って、ふかふかソファーに座っている。
簡単な自己紹介をした後、少しお話しをしましょう、という事になったのだった。
改めて私のいる部屋を見てみるとかなり広く、ベッドのほかに応接セットまである。
どんなにゴージャスなの…
内心ため息をつきながら、向かいに座っている王子の顔を見た。
「私は、どうして、この部屋にいるのでしょう?」
そういって、辺りを見渡す。
見渡した先にある物があり思わず声を出してしまった。
「自転車!」
と……
第三王子は、私の目線の先を追う。
「それは、『ジテンシャ』というのですか?」
「アッ、はい! ジテンシャといいます。 私は、それに乗っているところ……」
私は、気を失うまでの事を思い出し、なにがあったのかを王子に話すことにした。
どう思われるか、わからないけど、なにが起きたのか、わからないし、どんな状況なのか、サッパリわけワカメだし…
それに…
そ、そんなに悪い人では、なさそうだしね。
私は一度、目を閉じて、話し始めた。
「信じてもらえるか、どうかわかりませんが… 私は朝、学校から家に帰るのに、自転車に乗ってたんです。 その日は、天気が悪く雨が降り、雷がなっていたんです。」
話をしながら、王子を見る。
王子は、じっと、私の話に耳を傾けてくれている。
「それから、しばらくの間、雷を見ていたんです。 そしたら、雷が落ちてきて…?!」
そこで、私は、ハッとした。
そうよ!
「指輪!!」
私は、自分の右手を見る。
そこには…
指輪が、はまったままだった……
「夢じゃなかったんだ…」
私は、じーっと、指輪を見る。
なんで、指輪は、私の指に、はまったんだろう?
どうして……??
呆然と指輪を見ていると、
「貴方は、その指輪に選ばれたんですね。 いや、導かれたんですね。」
王子は、私の手を見ながら、ううん、指輪をみつめながらポツリとつぶやいた。
そして、王子は語り始めた。