王女の絶望
『シャイファー・エンブリアに起こった出来事』の王女視点?
耳を塞いでも聞こえてくる泣き声。
何かが砕ける音。侍従たちの制止の怒声。
毎日毎日聞こえてくるそれらに、元王女にして次期公爵夫人は吐き気を覚える。
朝から何も食べていないので吐き出すものは何もないにも拘わらず、せり上がってくる不快感に涙が出る。
「どうして……どうしてこんなことに……」
どんなに弱音を吐いても、現実は変わらなかった。
*****
王女は国王を筆頭に、家族、城に勤める侍従や侍女たち全員に愛されて育った。
幼い頃から整った顔立ちで、将来はとんでもない美姫になると期待されていた。
そんな環境で育った王女は、王族として政略結婚というものが必要であり、そうなる覚悟をしなければならないと教育を受けたにもかかわらず、自分には関係ないことだと切って捨てた。
家族に愛される自分。
そんな自分は同様に自分を愛する相手と愛ある結婚をして、ずっと幸せに暮らすのだと。
そう本気で信じていた。
国王もそういった相手を探してやるからなと言っていたし。
だからこそ、国王が王女の婚約者として認めたエンブリア公爵家の嫡男とも臆することなく会うことができた。
顔合わせの場で、王女は嫡男と話したが、いい意味で裏切られた。
自分と同じ年齢と聞いていたが大人のように落ち着いていて、王族として国でも最高峰の教育を受けた自分と対等に話し、なおかつ庶民の生活にも詳しいことに驚く。
これならば自分に相応しいと、父である国王は流石だなと思った。
そこで王女は欲張った。
自分という王国の至宝に相応しい男ならば、それに見合った立場に立たなければと。
国王にそれとなく言えば、兄たちの側近候補にすると快諾され、嬉しさのあまり父に飛びつく。
翌日、すぐさま側近候補にするという命令が出され、顔合わせすることになった。
その時、王女は勉強の時間だったせいで立ち会えなかったが、夕食時に感想を聞けば絶賛された。
王子や側近候補として教育された者たちを上回る話題の豊富さ、そしてなにより年齢を感じさせない落ち着き。
さすが王女の婚約者だなと言われ、王女はますます上機嫌になった。
それからしばらくは王城に相手を招き交流を深めていたが、王女は将来公爵夫人となるのだから公爵邸を見てみたいと思い立ち、その旨を父国王へとお願いすればすぐさま叶えられ、意気揚々と出発することとなった。
公爵邸に到着すれば、王女を迎えるに相応しく総出で出迎えられた。
恭しく婚約者にエスコートされ、応接間で穏やかに談笑する。
王女はご満悦だった。
王城には劣るが王女がいるに相応しい内装、従者の対応、そして婚約者。
これならば成人後に婚姻を結んだとしても自分は満足な生活を送れるだろうと確信できるものだ。
会話も一段落した時、まるで見計らったかのように扉が無断で開け放たれた。
王女たる自分がいるのに、ノックもなく、許可を求める声もないなどなんて無礼な!
叱りつけようと扉へ視線を向け──王女は息を呑んだ。
そこには、一人の可愛らしい少女がいた。
いや、すぐさま婚約者が弟だと紹介されたが、その可愛らしさに王女は胸がときめいた。
髪や瞳の色は婚約者と同じだが、婚約者が少々キツイ顔立ちで細い体つきに対して公爵家の次男はたれ目でふっくらしている。
初めて見る自分より年下の愛らしい子供に一目で心を奪われた王女。
婚約者が無礼だと追い出そうとしたが、王女は慌ててそれを止めた。
憮然とする婚約者を無視し、近くに招けば次男は満面の笑みで抱き着いてきた。
驚きつつもその柔らかな感触に、頭を撫でれば嬉しそうにしてくる。
それを気に入った王女は隣に座らせて婚約者そっちのけで次男を愛で始めた。
やがて帰宅する時間を告げられると、王女は帰りたくないと駄々を捏ねた。
次男も離れたくないと言ってくれてご満悦だったが、城からついてきた侍従に窘められ、渋々と帰りの馬車に乗って城へと戻った。
馬車に乗る際に、誰かが泣いているような声を聞いたが、気のせいだと思い無視した。
城へ帰り、国王から公爵邸はどうだったかと聞かれ、全てを隠さずに報告すれば国王が激怒した。
婚約者を排除しようとするその動きを王女は止めた。
自分に相応しい男を勝手に排除されては堪らない。
けれど、王女は思う。
婚約者ということはずっと一緒にいるということだ。
なら、あの可愛らしい次男とならば?
あれから王女の心には公爵家の次男の姿が刻み込まれていた。
あれだけ公爵家の長男が自分に相応しい人物だと気に入っていたにも関わらず、日々気になるのは次男のことばかり。
婚約者との交流の場においても婚約者の隣や後ろに次男の方がいないかと視線が動き、無意識の内に溜息を吐いてしまう。
交流の回数が増えるにつれて、王女は婚約者との会話が厭わしくなってきた。
次男のあの可愛らしさ、抱きしめた時の心地よさを思い返すと、目の前で話す婚約者がとても冷たく、つまらない人間にしか見えなくなっていた。
そして思い返すのは、次男が部屋に入ってきた時に、まるで睨みつけるように追い出そうとする婚約者の姿と、涙を受かべて悲しそうな次男の顔。
王女の心は婚約者からすでに離れていた。
終始憂鬱な表情を浮かべていた娘を心配した国王に何か気になることでもあるのかと聞かれ、素直に次男のことを話せば、すぐに会えるよう手配してくれた。
王女は国王に抱き着き、頬にキスをした。
さっそく次の交流の日に兄弟揃ってやってくることになり、王女の機嫌は急上昇。
日々楽しく過ごすことになった。
ついにやってきた交流の日。
王女は兄弟の──主に次男の到着を今か今かと待ち望んでいた。
侍女が到着の報告を持ってきた時にははしたなくも部屋から飛び出し、迎えに行ってしまった。
するとそこには泣き叫ぶ次男と、そんな次男を拘束して引きずっていこうとする婚約者の姿が。
慌てて引きはがし、なぜこんなひどいことをするのかと叱責すれば、婚約者はこちらを睨んできた。
王女は激怒した。
こんなひどい人間は自分に相応しくないと。
婚約者を放置し、王女は次男を連れて交流の場に使っている応接室に。
自分の隣に座らせ、慰めつつ甘い菓子を食べさせてやれば、すぐに笑顔を浮かべた。
存分に柔らかな体を抱きしめ、頭を撫でて愛でる。
婚約者との交流のための時間は、終始片方不在で終わった。
このまま城に止めようと思っていた王女だが、侍従たちの反対にあい渋々公爵邸へ城の馬車を使って送り届けた。
夕食時、感情のままに国王へ報告すれば、国王も怒り、再度公爵家の長男を排除しようと言い出した。
今度は王女も反対しなかった。
あんな酷い男はいらないと思っていたから。
しかし、王子たちが止めた。
王子たちも弟を城で泣かせることに対して気分を害していたが、自分たちで真実を追求したいという。
王女としてはそんなことをせず、今すぐに罰したいが、国王が王子たちの行動を許可してしまったので渋々我慢した。
けれど、夕食後に兄王子たちと会い、いかに公爵家の次男が可愛らしい存在で、長男がどれだけ冷たい人間かを言葉を尽くして伝えた。
兄王子たちは王女の言葉に納得し、任せろと力強い返事が返ってきたので王女は安心して眠りについた。
翌日、さっそく兄王子たちが動いてくれたようで、公爵家の長男が王城に来たと報告が入った。
自分もその場に赴こうと、たっぷり時間をかけて王女に相応しい装いを整えて兄王子の執務室へと向かえば、見るからに意気消沈した公爵家の長男が歩いてきた。
王女は彼に冷たい眼差しを向ける。
弟を虐待するような人間は必要ないと告げれば、伏して許しを請うかと思ったが一礼して去っていった。
なんと無礼な!
王女は公爵家の長男を許さないことを決めた。
そのまま兄王子たちの部屋に行けば、兄王子たちもいい訳ばかりで男らしくない長男に怒りしかなく、あんな男が王女の相手なんて認められないと言ってくれたのに、王女は感動した。
やはり家族は自分の味方だと。
そのまま連れ立って国王に会いに行けば、仕事を中断して迎え入れてくれる。
国王へ事の次第を告げれば、憤慨し、ついには公爵家の長男ではなく、王女の気に入った次男へ婚約者の変更する旨を伝えられ、王女は即座に了承した。
あんな冷たい男より、愛らしい弟の方がいい。
国王は即座に公爵を呼び出し、婚約者の変更と長男の排除に同意させた。
その早さに、父は本当に頼りになると王女は喜んだ。
そして喜びのまま王女は次男との交流をしたいと願い出た。
国王も公爵も笑顔で了承した。
そこで長男が邪魔しないかと兄王子たちが気にしたが、公爵が自室謹慎させているので大丈夫と太鼓判を押した。
王女は喜び勇んで城へ公爵家次男を呼び出す。
彼は王女に懐いていて、王女もたっぷりと次男を可愛がった。そのまま城に留めたかったが、公爵に懇願され、婚約者となったのだからこれからは誰憚ることなく会えるのだからと説得され、渋々帰宅させた。
それからは毎日公爵家の次男を城に呼びだしては可愛がった。次男も王女に存分に甘えて、二人はご満悦であった。
甘やかな蜜月を楽しむこと数日、ようやく国王、王子たち、側近たち、公爵たちのスケジュールが整った。
ついに邪魔な公爵家の長男の排除を実行するときがやってきた。
王女は蜜月を楽しんでいる間も、あの冷たい眼差しをした長男が侵入してくるのではと恐怖に駆られていた。
それも今日で終わる。
王女は王族として、自らの手で全てを終わらせるのだと意気込んだ。
謁見の間に、引っ立てられてきた公爵家の長男。
いつもながらの無表情。
ああ、この男は人ではないと確信した瞬間だった。
そして始まる、追放の宣言。
王女自身が最後の慈悲として婚約者の変更を告げても、公爵家の長男は自分は悪くないというばかり。
国王も、王子も、公爵も、そして王女も怒りに震えた。
悪事を悪事と認めず、反省もしない公爵家の長男に、国王が国外追放を言い渡す。
連れていかれる最中でも表情を変えない男に不快感しかない。
だが、すぐさま新しい婚約者へ目を向ければ長らく虐待されたせいだろう、怯えて涙を浮かべていた。
王女はすぐさま愛しい婚約者を慰めることにした。
*****
害悪な人間を排除し、愛らしい婚約者を手に入れ、王女の人生は順風満帆、希望に満ちたものになるはずだった。
明るい未来を夢見た王女。
愛しい婚約者を城に招き、より密度の高い蜜月を楽しもうとすれば、侍従や侍女たちから婚約者が傍若無人な振る舞いをしていると報告された。
何を馬鹿なことをと信じなかった。
城内で泣き喚く婚約者を庇い、侍従たちを逆に叱責をした。
貴族の子息を泣くほど虐待するなど恥を知れと。
だがそれも最初だけで、毎日のように泣き喚く婚約者の姿にやがて違和感を覚える。
どうしたのかと婚約者に聞いても意地悪をされたとしか言わず、甘やかな蜜月は終始婚約者を慰めることだけに費やされる。
さらには国王や兄王子たちから執務室を荒らされたと聞き、まさかと思ったが本人たちがその目で確認したと言われれば信じるしかない。
違和感が膨らんでいく。
ある日公爵から手紙が来て、大商人と小さなすれ違いの末に賠償金を払う羽目になったのでとりなすことになってしまった。
わざわざ出向いていけば、大商人には元婚約者と同じような冷たい眼差しを向けられ、それでも王女殿下のお言葉ならばと受け入れてくれた。
何故自分があんな目を向けられればならないのか。
王女の胸に嫌な予感がよぎる。
城に戻れば婚約者がいつの間にか城に来ているとの報告が入り、慌てて会いに行けば泣きながら走り去っていった。
しかも出てきたのは兄王子の執務室。
聞けば部屋を荒らされたというではないか。
信じられなかったが、部屋を見せられればそれが真実だと納得するしかない。
棚が倒れ、インク壺などの小物や書類などが散乱し、見るも無残な室内。
整理整頓を心掛ける兄王子がこんなことをするはずがない。
衝撃を受けている王女に、兄王子はさらに追い打ちをかける。
こんなふざけたことをした婚約者を、兄王子は打擲した上で二度と城に来るなと命じた。
さらに衝撃を受ける王女を置いて、兄王子は肩を怒らせて去っていった。
消沈したまま、部屋に戻った王女。
そこで自分付きの侍女たちに聞いた。
前と今、どちらの婚約者の方が良かったかと。
すると、どちらかと言えば前の方が自分たちに迷惑は掛からなかったと返答された。
そう。今まで、前の婚約者の時にはこんなことはなかった。
侍女や侍従にこのままではどうなる? と聞けば、このままだと王女は結婚してずっとあの男といなければならないと言われて想像した。
してしまった。
何かあると泣き喚き、部屋を荒らすような男と結婚し、生活する自分を。
自分を愛する男との幸せな生活を望む王女にとって、そんなことは納得できない。
国王に会ってなんとかならないかと相談しようと決め、夕食時に言おうとすれば、国王から話を振られた。
その時に自分だけでなく兄王子たちもあの男とはもう関わりあいたくないと言うではないか。
王女は勇気づけられ、国王に嫌だと告げれば国王は任せろと頷いてくれた。
これで安心だ。
王女は晴れやかな気分で眠った。
だが、目覚めてみれば事態はなにも変わっていなかった。
宰相を筆頭に臣下たちから大反対されていた。
王女はこの時、初めて事態の深刻さを知った。
自らの我儘で、十二歳の子供が国外追放される。それがどれだけ外道なことか。
そんなつもりではなかったと告げれば、宰相は冷たい眼差しで王女を見つめた。
王女は特に罪には問われないが、公爵家の長男を国外に連れて行って戻ってきた騎士は罪人として処罰された。
王族という立場は態度一つで人の人生を左右する。
教育を受けたのにそれを忘れ、自らの欲望のままに振舞えばそれは災厄になる。
よく考えて行動してくれ。
そのように宰相は王女に告げると、さっさと退出していった。
王女は思う。なぜこうなったのか。
自分は、ただ幸せな生活をしたいだけなのに。
それから、どれだけ国王が動こうとしても、王女がどんなに懇願しても臣下たちは断固として王女の婚約者の変更を認めなかった。
国王が婚約者の再教育を命じ、なんとか矯正されることを願ったが、どれだけたっても婚約者は変わらなかった。
泣き喚き、部屋を荒らす。
王女は日に日に憔悴していく。
あんな暴力的な男に嫁ぐなどあり得ない。
そう思うと食欲は湧かず、行動も精彩を欠くようになった。
周囲からどんなに慰められても、婚約者が変更されなければ王女は元気を取り戻すことはできない。
どうにもならない無力さに苛まれつつ、月日は過ぎていく。
そんなある日、国王がとんでもない情報を仕入れたと駆け込んできた。
元婚約者──公爵家の元長男が国外追放の結果、隣国で重用されているというではないか。
しかも王子に近しい立場。
隣国は実力主義で上の立場に立つのはしっかりとした実績を積まなければならないという。
そんな話を聞いて王女は決心した。
彼に謝ろう。
そして再び婚約を結ぶのだと。
実力主義の国で頭角を現すというなら、彼は素晴らしい人物だ。
そんな彼と結婚すれば、自分は理想の生活を送れるというもの。
勢いよく国王に告げれば、宰相たちから溜息を吐かれたが、彼女は気にしなかった。
もう王女の頭の中には、戻ってきた彼に愛を囁かれ、素晴らしい生活を送っている未来しかなかった。
しかし結果はひどいもので、隣国からはそんな人間はいないと返ってきた。
そんなはずはない。
彼はきっと帰ってきてくれると泣き喚いた王女。
しかし宰相は我儘を聞かず、元長男が死亡したという書類を出し、国王にサインさせた。
何故そんなひどいことをするのかと宰相を問い詰めれば、無視された。
国王に泣きついても、あれだけ王女に甘かった父も気まずそうに目を逸らすだけで役に立たなかった。
どうにもならず、周囲に無理矢理動かされて婚姻の準備が進んでいく。
顔を合わせても、以前のように可愛いとは思えない婚約者。
落ち着いて話も聞かず、好き勝手行動して止めろと言えばすぐに泣き喚き、部屋を荒らす。
行動の一つ一つに不快感しかない。
こんな奴と一緒にいるなんて嫌だ!
どんなに拒否しても、もはや手遅れ。
味方だった国王も我慢を強いるように言ってきた。
ああ、なんでこんなことに。
ついにやってきてしまった婚姻の日。
本当ならば幸せに包まれながら身に纏う婚姻の衣装。
毎日のように悲嘆に暮れていたせいでやせ細った王女は全身に詰め物をして無理矢理合わせ、青白い肌を隠すために普段以上に化粧を厚くしたせいで表情を動かしづらく、笑顔など出来そうもない。
部屋にこもっていたいのに、周囲の者たちに無理矢理運ばれ、会いたくもない婚約者の隣に立たされる。
着なれない婚礼の衣装が嫌なのか、もぞもぞと動いて脱ぎだそうとする姿に、王女は吐き気がした。
なんとか始まった婚姻の式だが、神聖な儀式など知ったことかといわんばかりに大人しくしない男に苦言を呈せば、成人したにも関わらず幼子のように泣き喚き、ついには止めに入ろうとした神官を突き飛ばしてしまった。
王女の婚姻ということで周辺各国から来賓が来ているというのに、この醜態。
王女は倒れそうになった。
しかし、視界に映った人物にハッとする。
来賓の席に、見つけた。
かつての婚約者を。
あの特徴的な切れ長の目は忘れるはずがない。
迎えに来てくれた。
王女は縋るように手を伸ばしたが、集まってきた侍従たちに邪魔されてすぐに退出させられ、王女の思い描いた感動の再会は実現しなかった。
*****
酷い結末となった婚姻の儀式が終わった後、王女は有無を言わさず公爵邸へ運ばれてしまった。
予定していた屋敷のパーティーは取りやめになり、新しい自分の部屋の中で彼女は婚礼の衣装のまま泣き叫んだ。
違う。こんなのは違う。
そのまま泣き疲れて眠ってしまい、気が付いた時には朝を迎えていた。
公爵たちと会ってもこんなのは望んでいないと喚き散らし、そのまま彼女は部屋に引きこもってしまった。
それからの彼女は社交にも出ず、ずっと部屋に閉じこもって公爵たちとは最低限の交流しかしなかった。
なにやら夫となった男が部屋に侵入しようとしたが断固として会わず、遠くから聞こえる泣き声と破砕音に耳を塞ぐ日々を送る。
もう嫌だと言っても、国王に手紙を送っても、現実は変わらない。
*****
・王女
我儘の結果、自業自得の環境に。
教育は受けたが身についていない見本。頭の中がお花畑。
目の前の事しか見えず、結局権力だより。
悲嘆に暮れ、引きこもったせいで国中から恥さらし扱いされているのに気付かない。
初夜もこなさず、子供も望めないとこの後修道院に隔離される。
ちなみに結婚式で見た元婚約者らしき人物はただ目つきが似ているだけの別人。
・国王
娘可愛さに好き勝手した結果臣下に見放された。
この後、全ての行動に監視がついて何をするにしても宰相の許可が必要になり、王子に王位を譲って引退を強要される。
・王子たち
節穴アイだと証明し、臣下たちから厳しい再教育を受ける。
周辺各国に醜態をさらした結果国内外からマイナス評価を受け、厳しいスタートとなる。
三代後まで語り継がれることになる。
・宰相たち
好き勝手した国王にブチ切れ、その責任を負わせることだけに集中していた結果、婚姻の儀式で公爵子息が暴れるなんて思いもせず、痛い目をみた人たち。
・公爵
次男可愛さに目が眩み、好き勝手したら息子がとんでもない我儘に育ち、矯正しようにも手が付けられず、醜態をさらした上に王女が引きこもり、どうしていいか分からない。
この後、没落へ一直線。
・公爵次男
愛され甘やかされ、泣けば何でも叶えられた結果、図体のでかい子供になる。
自分の行動が周囲にどんな風に見られているかなど考えず、好き勝手して醜態をさらす羽目に。
兄を追い出そうが両親を悲しませようが王女と結婚しようが、何ら気にしていない。
病死一直線。