4 vsもやもや 開幕
深夜3時に「もやもやです」宣告を受けたおっさん。
お医者さんは、画像の状態を看護師から聞き、すぐに確認したくて来て下さったとのことだった。ありがたやありがたや。
救急車からで偶然受け入れてくれた病院だが、後から聞いたところ、もやもや病では全国トップクラスの実績だった。深夜なのに検査機器フル稼働ですぐ診断してくれたのも、もやもや診断に慣れていたこの病院ならではだったらしい。
画像診断の結果、おっさんの頭には主要な動脈4本ほぼなし。脳を補強する定番の手術をすぐにでもした方がいい、と言われた。
おお、希望があるのか!ヽ(・ω・)ノ……先生が手術の概要を説明してくれた。
<レシピ もやもや脳みその血管補強法>
1 こめかみの上、10センチあたり。頭蓋骨にたまご大の穴をあける。
2 こめかみに通っている動脈(指でおさえるとぴくぴくする)をひっぺがす。
3 頭蓋骨に開けた穴から脳に動脈の先っちょを突っ込み、比較的太めの血管と接続する。
(・ω・)/要は「脳に動脈ないから、こめかみのを突っ込もうぜ作戦」
……うは。
大胆にもほどがありませんか?(・ω・)
これがとても有効だというのだから、びっくりである。
当然の疑問として、じゃあ、ガイコツに大穴あいたまま?と訊いたら、穴の部分の骨は綺麗にくりぬいて、チタンの固定金具付けてそのままフタとしてパチッとはめ込む……という。
10万年後に発掘されたとき、頭の上に綺麗にまん丸の穴が二つ開いている(ちゃんとフタも付いている)人体として発掘されると思うとどきどきである。この蓋の隅に隙間があって、クーラーの室外機のパイプのように、頭の中と外を動脈が横断するwうひぃぃ。
もやもや病には二種類の発現の仕方があり、一つは私のような「虚血」、つまり血が行き渡らなくて麻痺が出るパターン。もう一つは高齢で出やすい「出血」、細い血管のどこかが破れるパターン。
この手術は血流をどかんと増やすので「虚血」には以前から有効とされたものの「出血」に有効な手段は長年議論されていたのだとか。ところが、長期の追跡調査が最近完了し、この手術で血行が安定すると、人体の神秘!で身体は不要になった毛細血管を消していくのだという。結果として、虚血も出血もちゃんとリスクが下がるのだと。
人体も凄いが、この手術をやろうという発想が……(・ω・)
「瀬川サンの場合、発作の周期が短くなり、症状は重くなってます。一過性で済んでいるうちに手術できるのは本当に幸運です。多分、過労とストレスでしょうが、この年齢で発症したのも、実は幸運でした。もっと高齢になってからだと、血管がもろくて手術できないケースが多いので」
……本当、人生万事塞翁が馬。何が幸いするかわからない。
手術は100%成功するわけではない。相手は脳みそだからトラブルは命に直結する。手術中のリスクや、その後まで含めると、「10%まではいかないにせよ、何%かは……」NGなことの起きる可能性があるらしい……おまけに、左右両方で手術となれば、リスクは倍。
「麻痺の出ている左脳だけ手術を急いでやって、右脳はしばらく間を開けて様子を見ることもできます。どうしますか?」
お医者さんにはそう言われた。やるかどうかは自分で決めなくてはいけない。
一度手術するとなれば、2~3ヶ月は仕事から離れることになる。2回に分けて3ヶ月単位での入院では、担任の仕事は難しくなる……立て続けに左右と手術をすれば、4~5ヶ月で復帰できそうな……2018年の年末ぎりぎりまで治療にあてて、2019年の頭……三学期からは担任業務に戻れる……。
「左右どちらもで。最短のスケジュールでお願いできますか」
午前4時、即断していた。
<つづく>




