5 ネット小説大賞は大切なチャンスです
2020年 2月4日 ネット小説大賞の締め切り。
一年前をおっさんは思い出していた。昨年の第7回ネット小説大賞はちょうどおっさんが「なろう」での活動を始めたタイミングが締め切りだったのだ。二ヶ月後、一次を通過した・しない、という話題で仲間のみんなが盛り上がっているのを見て、ずいぶん寂しく感じたものだった。
……来年こそは、参加するぞ、と。
というわけで、今年のおっさんはもちろん参加。
前回挙げた、書籍化3ルート
①編集部に持ち込んで書籍化
②公募で受賞して書籍化
③小説サイトで編集者から声をかけられて書籍化
②である。
ネット小説大賞が「辰巳センセイ」には重要、というには理由がある。
最近、文芸誌などでの公募では『無料サイトであっても一度公開した作品の応募は不可』とするケースが増えている。
「なろう」で公開しながら、終章までなろう仲間や読者の応援、アドバイスを受けることで書き上げてきた辰巳センセイの場合、そうしたルールの文学賞は応募できない。
正直、今だからぶっちゃけるが、この縛りを知ったときはアイヤー!と頭を抱えた。
そもそも、辰巳センセイのポイントは完結時でも700そこそこ。ブクマだって140くらい。
「なろう」の流行りを完全に無視して、自分の良いと思う作品作りをひたすら追求した。ランクインをして、そこから書籍化、という流れを最初から考えてなかった。
「……もしやなろうに公開したことが失敗だったのではないか?」と思いかけた。
でも、それはないものねだり、だろう。
「辰巳センセイ」はなろうで出会ったみんながいたから最後まで仕上がった作品、というところは揺るがない。みんなとの交流は最高に楽しくて、充実していた……それがなかったら、ここまで……24万字のラストまできっと仕上がっていない。
そして、「既公開作品」という縛りの次に問題になるのが、その24万字という文字数である。
多くの公募は書籍一冊分(8万~13万字)を基準にコンテストを行っており、辰巳センセイまるごとでは応募ができない。
辰巳センセイは、それぞれで読んでも楽しめる5章から構成されている。途中で切って読めないこともない。
でも、宝島社の担当さんからも言われたが、辰巳センセイは「5章まで読んでこそ最高に高い評価を受ける作品」だ。途中までの原稿で賞レースは不利すぎるし、2章や3章までで受賞してしまい、そこで書籍化打ち切り、になるのも絶対に避けたい。本にするなら、絶対に終章までしたい、と思っていた。
ちなみに、連載中の2019年に途中(2章9万字)までの原稿で3つの公募に応募したが、全て落選している。
そのうちの一つ、GA大賞では評価シートをくれたが、そこには「一章、二章それぞれのエピソードがよくできていて面白かった。しかし、一冊全体として見たときの大きなクライマックスもほしかった」と書かれていた……だよねぇ(;´Д`)と、思わず納得である。
「ウェブ公開した原稿で応募できる」+「字数制限がない」
……ネット小説大賞は貴重である、というのはそういう事情だ。
さて。
このあと、2月上旬からおっさんは体調を酷く崩してしまった。2週間ほど風邪やら溶連菌やらでほとんど動けず、エライ目にあった。
体調が戻ってきた2月下旬。
思い起こせばエージェントに依頼して一ヶ月。
が……何の返事もない。
8まんえんの大金を払って、そのままナシのツブテってどうなん?と思って連絡してみたが、担当のY氏曰く、レビューを書いているプロ作家様が忙しくて遅れている、とのこと。
まあ急ぐ話でもないし……と自分を納得させた。
なによりこちらとしては悪印象をもたれたくない弱い立場である。つい腰が低くなるおっさんだった……なんか悔しい。
つづく