3 絶対に書籍化する、絶対にだ
2019年11月27日
辰巳センセイ最終回の掲載日。
全5章の掲載を終え、おっさんは全開のやりきった感に浸っていた。
完結ブーストなのか、しばらくの間はそれまでの倍のペースで人が辰巳センセイを読みに来てくれた。辰巳センセイへの誘導を期待しつつ、本音をぶちまける兼PRエッセイ「エタりおっさん」(今読んでいただいているコレです)の連載を始めた。
こちらもそれなりに支持をいただいて、年末までに1部13話の掲載を終えた。
2020年、1月初頭。
本当のロスが待っていた。
次に何をやろう、考えなきゃ、と理性は命じているのに、心が全くついてこない。
全てのエネルギーを出し切ってしまって、何の趣味もする気がしなくなった。
久しぶりにPCでVRゲームをだらだら遊んでみた。
フォールアウト4VRで核戦争後の世界に入ってぶらぶら歩いた。廃墟の風景がヤケに心地よかった。
敵がいない場所を探して、滅んだ世界で寝転んでみた……おっさん、いろいろやばい感じだった。
満足感と、むなしさと、脱力感と……複雑に混ざり合っていて、自分でもよくわからない。執筆中が充実していただけ反動が大きかったのだけはわかった。
書きかけ作品をいじろうとしたり、ずっと凍結していたツイッターを宣伝用に再開してみたり。今、俺は何がやりたい?…そう考えてみても、結論にきちっとたどり着かない。不完全燃焼のまま、ぐつぐつ燻っていた。
1月下旬になって、やっとおっさんは自覚した。
おっさんは、このまま辰巳センセイが終了したコンテンツになっていくことを認めたくないのだった。壁を破るには書籍化なり、次のステップが必要になる。その壁の手強さに、本当の願いを自覚することを無意識に避けていたのだ。
願いがあるなら、言語化すべきだ。
周囲に宣言すれば、実現できなくて恥をかくかもしれない。
そのかわり、可能性は必ず高まる。
ならば。
1%でも有利になるなら、宣言すべきなのだ。
そしてその上で、打てる手のすべてを打って可能性を引き上げる。
これまでだって、ずっとそうやってきたじゃないか、と。
……隣にいたかみさんに宣言した。
とりあえず身内なところがチキンである。
「辰巳センセイを、あらゆる手段で書籍化しようと思う。このまま諦めたくない」
おっさんの、次の作戦がはっきりした日だった。




