2 ほんとうに かきたいものを かいた
2019年2月、おっさんは「小説家になろう」で「辰巳センセイ」の連載をはじめた。
連載当初、読者は数人だった。掲載開始から25日後に「一章 舞姫の時間」完結。我ながら、良く書き切った!と感動しながら合計4万字ちょっとをアップした時点でもポイントは70ほど。ブクマも20件くらいだった。
でも、毎日のように感想を残してくれたり、活動報告で絡んでくれる「なろう仲間」がいた。おかげでおっさんはポイントやブクマのことなど考えずに、本当に楽しく書くことができた。
一章が書き上がるころ、どうせなら少しでも多くの人に読まれたいなぁ、という欲が出てきた。
ロゴを作ったり、活動報告でアピールしながら連載を続けたが、ブクマもポイントも大きく伸びることはなかった。一区切りといわれるブクマ100を超えたのは「3章 竹取物語の時間」が完結し、全体の折り返しを過ぎた7月末。
連載開始からすでに5ヶ月半が経ち、文字数は13万字を超えていた……結構な長編である。
「誰だよ10万字ブーストって言ったヤツぁ……嘘やん」
甘くないなぁ、とボヤキながら、おっさんは頑張って後半の物語を書き進めた。
ポイントをいかに稼ぐかを気にして、ランキング関連のエッセイもちょこちょこ読んだ。
「なろうはポイントが全て」「リセマラで初動失敗したら捨てる」などの意見を見るたび、良い作品を書くだけだ、ブレるなと自分に言い聞かせた。
……内心はブレまくっていたw
ポイントが取れない=評価で負けた駄作ということでは?とクヨクヨ悩んだ。
誰かの「低ポイントで書籍化なんて望むだけ無駄」という意見を読んだだけで本気でヘコんだ。おっさんはナイーブなのだ。
でもさ!
……そんなおっさんの「辰巳センセイ」だけど。
ちゃんと書籍化まで来られたよ!
ネット小説大賞、9316作品中の19本に残ったよ!
一回だけ言わせてほしい。
「なろうのジンクスなんて、くそっくらえだぁ!」
おっさんは書きたいものだけを、本気で、命懸けで書いた。
ランキング攻略のためのリセマラ? 不正してでも書籍化で勝ち?
……いろいろあやしげな攻略法?も聞いたさ。
でも、おっさんの武器は、経験と技術の全部を込めた作品そのものだ。
なろうに合わないと言われ続けた「辰巳センセイ」だ。
ここまで来られたのは、おっさん一人の力じゃない。
アイデアと励ましをたっぷりくれたのはなろう仲間のみんなだった。
リアルでもいくつもアドバイスをもらった。
審査員の方々も数字だけで判断せず、しっかり読んで選んでくれた。
……沢山の人に背中を押してもらえて、ここにいる。
おっさんの大切な辰巳センセイ……作品そのものを見て、大切にしてくれた人がこんなに沢山。その人たちのおかげだ。
本当に感謝してる。
確かにポイントやブクマが伸びると嬉しい。励みになる。
だからって、それが全てと反則まがいのことやってでも……なんておかしい。
良い作品、自分の作品を、大切に真剣に書く。
その原点を大切にして、おっさんはこれからも物語を書いていきたい。
……あーでも宝島社さん、おっさん全部出し切っちゃった感あるんで、これを超える作品を書けるのは20年後だと思います。(;´Д`)ごめんね。