1 決定の日
2020年5月2X日
おっさんは「小説家になろう」運営からのメッセージを待っていた。
来ないかな、来ないかな、と思い出してはそわそわしてしまうので、必死に頭から追い払う。それでもせいぜい半日でまた、落ち着かないモードに戻ってしまう。
2月に応募した、第八回ネット小説大賞。
最終審査の通過発表は5月末予定だった。
……事前報告が来るなら、遅くともそろそろ限界じゃなかろうか?
二次を通過したのは、応募9316作品中の76作品。二次通過をした日の「辰巳センセイ」評価ポイントは795…候補作の中ではかなり低かった。
……やっぱりポイント少ないと無理か?
……てか当日まで連絡なしで受賞とかあるのか?
朝10時すぎ、運営からメッセージ。
これは……噂の「運営から」の連絡?そうなのか?
おっさん、テンションマックス。
あとから記念になるかも、と思いながら写真を一枚撮って、すぐ中身を確認した。
「ぜひ受賞に向けたご相談をしたいという協賛出版社様が……」
うおおおおおおおおおおおおおおお!
きいいいいいいぃぃぃぃぃたああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
ぷつん。
……そこから2日眠れなくなった。
お腹も空かない。テンションが下がらない。どう見ても寝不足なのに、脳が休もうとしない。
あぶないクスリやるとこうなるんじゃないか状態で、熊のようにうろうろうろうろしていた。運営からのメッセージには「ネットやSNSで広めたりすると受賞取り消しになる可能性もあります」と釘が刺してあったので、こそこそと身近な人にだけ自慢した。
……はい。
というわけで2部では、辰巳センセイの書籍化が決まるまでの、おっさんジタバタ話を書こうと思う。
有料レビュー利用とか、びみょーなエージェント会社とか、いろいろネタも入っている。お楽しみいただければ嬉しい。