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外道魔法少女ルナ  作者: door
<第2部>
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29. チェックメイトの一手

更新が遅れ気味ですみません……。

「みんな、これから俺が言うことをよく聞いてくれ」


 箒で空中にホバリングした状態で、俺は他の四人に言った。


 下にはシャルカの分身たちがゴロゴロしている。


 空を飛べないシャルカもどきたちは空中にいる俺たちに攻撃を仕掛けることはできないが、このままじゃ、いつまで経っても均衡は崩れない。


 ならば……!


「あのシャルカもどきたちを殲滅(せんめつ)する! 一気にだ!」


「そんな!」


 セレナが目を丸くした。


「コピーしたシャルカさんのコピーは100体以上いるんですよ!? 全部殺さずに倒すには、私たちの魔力が足りませんよ!」


 普通に考えたら、セレナの言う通りだろう。


 だが……。


「セレナ、俺たちの戦いで重要なのは、魔法の〝使い方〟だ。……あるんだよ。この状況で、下にいる分身どもを一気に倒す方法が。俺たちの持つ3つの魔法を組み合わせればな。そして、その内の一つは、澪がもう発動しているぜ」


「私が……!?」


 突然、自分の名前が出てきたので、澪は驚いていた。


「澪ちんが今発動している魔法って言えば、空中浮遊魔法の〝フローティア〟だよね!」


 ミノリが言った。


 そう。


 俺を含め、他の四人が発動しているのは、ステッキを空飛ぶ箒に変える魔法〝ビアブルム〟なのに対し、澪が使っているのは浮遊魔法の〝フルーティア〟だ。


 俺の考えた作戦には、〝ビアブルム〟よりも〝フローティア〟の方が適している。


「澪、そのまま空中に浮かんだまま、ミノリの身体を抱えるんだ」


「……? ……わかった」


 澪は半信半疑なようだったが、素直に俺の言うことに従って、スーッとミノリの背後まで進んで、彼女の脇の下から手を通して、背後から抱え上げるような格好になった。


「ミノリ、ビアブルムを解除するんだ」


「え? あ、うん。わかったよ。澪ちん、しっかり支えててよね!」


「任せて……」


 澪はしっかりと頷いた。


 これでいい。


 澪にとって、ミノリは同じ〝ルーニャの国〟の魔法少女だ。


 手荒に扱うことはできないだろう……。


 ミノリがビアブルムを解除すると、俺はセレナと来果に指示を出した。


「よし。セレナたちは俺と一緒に、ミノリたちよりも上空に移動するんだ」


『わかりました!』


 2人は俺の指示通りに動いた。


「よし。次に、澪はミノリを抱えたまま、身体を回転させるんだ!」


「……? ……わかった」


 澪は首を傾げながらも、俺の言う通り、身体を独楽(こま)のようにグルグル回し始めた。


「よし、来果! 澪に時間加速の魔法(クセル・クロノシオ)をかけろ!」


「は、はい! ルナ先輩! 〝クセル・クロノシオ!〟」


 来果の放った時間加速の光線が、上空から澪にあたる!


 すると、澪の回転は先ほどとは比べ物にならないくらい速くなった。


 これが2つ目の魔法だ。


 さぁ、これで準備はできた!


「ミノリ、最後の魔法だ! お前の魔法解除の光線(ジル・ケラマギア)を地上に向かって放て!」


「っ! そっか! わかったよ、ルナちん! 〝ジル・ケラマギア!〟」


 ミノリのステッキからは、孤児院の犬や先ほどのスズメにかかったシャルカの魔法を解除した光線が放たれた。


 通常なら一回で終わってしまうこの魔法も、高速回転しているこの状況で放てば、雨のように地上に降り注ぐ!


「力の放出を続けろ! ミノリ! 地上にいるコピーたち全てに魔法を当てるんだ!」


「わかったよ! はぁあああああああああああああ!」


 ミノリが気合いの声をはき出すのに合わせ、彼女のステッキが緑に光った。


 30秒も経たないうちに、ミノリの魔法は地上にいるシャルカもどき達すべてに降り注いだ。


 地上には気絶したリスたちが何匹も倒れている。


「やった! コピー全滅ですよ!」


 来果が歓喜の声をあげた。


「ううぅぅ~! 目が回った~!」


「私も……」


 回転をやめたミノリと澪は目を渦巻きにして、気持ち悪そうにしていた。


「よくやったぞ、2人共。さて、シャルカの本体はどこだ……?」


 俺は地上に目をやった。


 すると、開けた草原にポツンとあった小屋の扉がギィイっと開いて、そこから金髪の少女が出てきた。

 全身からほとばしる魔力が、コピー達の比ではない。


 間違いなく、あいつが本物のシャルカだろう。


「ミノリ、あいつだ! あいつが本物のシャルカだ! あいつにお前の発現魔法をかけろ! そうすればチェックメイトだ!」


「わ、わかったよ! ルナちん! 〝ビアブルム!〟」


 ミノリは身体を支えていた澪から離れると、箒に乗って、一気にシャルカの傍まで近づいた! 


Nein(イヤ)!」


「悪いね、シャルカちん。でも、この魔法は身体に害はないから安心してね」


 ミノリはそう言うと、箒をステッキに戻して呪文を唱えた。


「〝ミノリカ・ケラスペル!〟」


 ミノリのステッキから出た緑の光線が、シャルカに直撃する。


 それを自分への攻撃と勘違いしたシャルカは、敵意むき出しの目でミノリを睨むと、ステッキを向けて呪文を唱えた。


「〝Luca(ルーカ) Ferem(フェルエム)!〟」


 おそらく、復讐のためにミノリをゴリラか何かに変えるつもりだったのだろうが……。


 これで俺たちの勝ちだ!


Was(なに) ist(これ)……!?」


 シャルカは目を見開いて固まった。


 それはそうだろう。


 ステッキから出るはずの魔法が出ず、自分の身体から緑の魔法陣が出ているんだから。


「ふははははは! 勝った! 勝ったぞ!」


 俺は高笑いを(こら)えられなかった。


 そう!


 俺は初めからこれを狙っていたのだ!


 ミノリの呪文封じの魔法は、かけた後に相手が唱えた呪文を使えなくする!


 つまり、これだけで、発現魔法以外の魔法を持たない13人目の魔法少女を完全に無力化できるのだ!


 シャルカ、これでお前の唯一の魔法は封じ込めた! 


 いくら魔力が強かろうとも、使える魔法が一つだけなら、そいつを使えなくしちまえば、お前は羽をもがれた鳥ってわけさ!


「さぁて、後は洗脳魔法(ルーナ・インスディラム)で、シャルカを〝俺の奴隷〟にして手駒にするだけだ……!」


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