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外道魔法少女ルナ  作者: door
<第2部>
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24. 空中戦

お待たせいたしました。

 ギガントピテクスたちを石化させ行動不能にした俺たちは森のさらに奥へと進んだ。


「さっきのギガントピテクスは一体何だったんでしょう?」


「魔法だよ」


 セレナの問いに俺は答えた。


「この森の最深部にいる魔法少女の魔法だ。でなけりゃ、とっくの昔に絶滅したはずのアジアの巨大霊長類がこんなヨーロッパの森の中に何体も出てくるわけがない」


「それじゃあ、やっぱり私たちの侵入を拒むために?」


 澪が言った。


「ああ。俺たちが魔法少女とわかって攻撃してきたのかまではわからないけどな。あの孤児院の先生の話じゃ、侵入者は片っ端から化け物に追い払われているってことだったし……」


……にしても、この森の奥に待ち構えるシャルカって奴はどれだけの力を持っているんだ?


まだ魔法少女になって間もないはずなのに、あんなに強力なギガントピテクスを何体も操っているし……。


何よりも、歩を進めるにつれ、俺が感じる魔力が濃く、強くなってきている……。


入口のところで感じたものよりも、ずっと……。


この力を俺たちのモノにできたら、その時は……!


「それにしても、とっくの昔に絶滅した生物を呼び出すだなんて、一体どんな呪文なんだろうね……」


「きっと時空を操る魔法ですよ!」


 ミノリがポツリと言った台詞に、来果が勢いよく反応した。


「大昔の別の場所から、あのギガントなんとか達を連れてきたんですよ!」


「なるほど! あ、でも、それだったら、来果ちんの魔法と結構被ってるよ!」


「あ! それもそうですね! 時間を操る魔法少女の地位を確固たるものにするためにも、この勝負、負けられませんね!」


 そう言って意気込む来果だった。


 いや、来果よ……。


 俺たちの目的は13人目の魔法少女をこちらの陣営に取り込むことであって、打ち負かすことじゃないんだが……。


 それに、おそらく来果の推測は間違っている。


 さっきのギガントピテクスがシャルカという少女が使った魔法なのだとしたら、それは時空操作系の魔法なんかじゃないハズだ。


 おそらく、奴の魔法は……。



「カァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」



「っ! なんだ!?」


 突如聞こえた快音に、俺は空を見上げた。


「あ! あそこです!」


 セレナが上空のある一点を指さした。


 そこには、巨大な鳥が翼を広げていた。


「こ、こっちに来ますよ!?」


 来果が叫んだ。


 その言葉通り、その巨大な鳥は俺たちの方に向かって急降下してきた。


 い、いや、こいつは鳥なんかじゃない!


「カァアアアアアアアアアアアア!」


 ビュン!


 地上に急降下してきたソイツは俺たちの傍をかすめると、また大空に向かって急上昇した。


 俺たちはすれ違った時にしかとソイツの姿を見た。


「プ……プテラノドン……ですよね、今の……」


 セレナが信じられないというように口をあんぐりと開けた。


 俺だって信じられないが、まさしくその通りだった。


 俺たちのそばをかすめ、上空に舞い上がったソイツの姿は、昔図鑑で見た太古の翼竜、プテラノドンの姿そのものだった。


「カァアアアアアアアアアアアア!」


 プテラノドンが空中でUターンしてこちらに舞い戻ってきた!


 再び俺たちの傍をかすめると同時に、その大きな足がミノリの身体を掠め取っていった。


「きゃあああああああああああああ!」


 プテラノドンに捕まって上空に舞い上がり、ミノリは悲鳴をあげた。


 その拍子に、手に持っていたステッキを地上に落としてしまう。


「ミノリィ!」


 俺は叫んだ。


 ステッキがないと、ミノリは魔法を使えない!


 大ピンチだぜ、こいつは!


「ルナち~ん! 助けて~!」


「待ってろミノリ! 今行くぞ! 〝ビアブルム!〟」


 俺はステッキを呪文で空飛ぶ箒に変えた。


 箒にまたがって、プテラノドンのもとへと飛んでいく。


「ルナさん、私も行きます! 〝ビアブルム!〟」


 セレナも呪文でステッキを箒に変え、俺のあとを追ってきた。


「よし! 澪と来果は地上に残れ! ミノリが落ちた時に備えて、救助の準備をするんだ!」


 俺がそう地上に向かって叫ぶと、澪と来果は神妙に頷いた。


「気を付けてください! ルナ先輩!」


「おう!」


 来果の声援を地上から受け、俺はプテラノドンと対峙できる高さまで上昇した。


「カァアアアアアアアアアアアア!」


 プテラノドンは目の前に現れた俺を敵とみなしたのか、威嚇の咆哮をあげてくる。


「気を付けてください、ルナさん。ビアブルムを発動中は他の魔法は一切使えませんからね」


 俺に追いついたセレナがそう助言してくる。


 わかってるさ。


 ビアブルムはステッキを空飛ぶ箒に変える呪文。


 俺たち魔法少女はステッキを持って呪文を唱えないと魔法が使えないから、ビアブルム発動中は他の魔法が使えない。


 だが、仮に魔法が使えたとしても、プテラノドンがミノリを捕まえている以上、攻撃魔法は使えない。


 下手に即死魔法ルーナ・モルテムなんかを撃ち込めば、ミノリを殺してしまうことになりかねない。


「さぁーて。どうやってミノリを助け出すか……」


 こいつは難しい空中戦になりそうだぜ……。


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