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外道魔法少女ルナ  作者: door
<第1部>
8/98

8. 魔法対決! ルナVSセレナ 前編

 箒での初飛行を終えた俺は、その場でセレナから呪文に関してのレクチャーを受けた。


「呪文には魔法少女なら誰でも使える 汎用呪文と、特定の属性を持つ魔法少女しか使えない専用呪文があります。前者の例だと、さっきルナさんが使ったステッキを空飛ぶ箒に変える 〝ビアブルム〟や私がアカネさんとの戦いで使った盾の呪文〝シルディア〟、ステッキを剣に変える呪文〝グラディア〟なんかがありますね。後者の例だと……」


「俺の即死呪文 〝ルーナ・モルテム〟、光の波動を放つセレナの〝アンデュ・ライティア〟、その呪文を相殺したアカネの〝ビュレ・フォイエルム〟……これは火炎弾を発射する呪文だったな」


「その通りです。人の呪文まで憶えてるなんて、流石の記憶力ですね」


「俺の属性は〝闇〟のようだが、セレナは〝光〟なんだろ?」


「ええ」


「で、あのアカネって奴は〝火〟だった。属性は全部で何種類あるんだ?」


「さあ、それは私にも……。あ、でもメルヴィルなら知ってるんじゃないですか?」


 セレナはメルヴィルにそう尋ねたが、犬みたいな喋り方のリスは首を横に振った。


「それは僕も知らないのワン。特殊系統まで含めたら、属性は無限にあるのワン。全部把握してるのは、精霊界の大賢者くらいのもんだワン」


肝心な所で役に立たないリスだな。


 まあ、いいさ。他にも訊くべきことはある。


 俺は先程の基礎呪文集をパラパラ(めく)りながら、


「この本はどこで手に入れたんだ?」


「あ、これは最初に会った時にメルヴィルがくれたんですよ」


「こいつが?」


 俺の視線にメルヴィルは大きく頷いて、


「それはこっちの世界に来た精霊なら皆持ってるのワン。魔法少女たちに基礎的な呪文を覚えてもらうためのカタログみたいなものだワン」


「なるほどな。だが、この本に載っているもの以外にも呪文はあるんだろ? さっきザッと見た感じだと、俺の最初の魔法、ルーナ・モルテムは載っていなかったからな。ここに載っているもの以外の呪文はどうやって手に入れるんだ?」


「簡単だワン。その本のような魔法アイテムを手に入れればいいのワン」


「魔法アイテム?」


「精霊の世界からこっちの世界に送られたアイテムのことワン。それを使えば、この本でやったみたいに呪文を増やせるのワン」


「それはどこで手に入るんだ?」


「それは僕にもわからないのワン。この戦いが始まったと同時に、世界中にばらまかれているはずなのワン。こんな風に本の形をしている物もあれば、石版の形、あるいは、パワーストーンのような形の物もあるのワン。レアな魔法アイテムほど、強力な呪文を覚えることができるのワン」


 なるほど……。


 強力な呪文があれば、戦いを有利に進められるのは当然……。


 これは魔法アイテム集めも勝敗を決める重要な要素になってくるな。


「呪文に関する説明はこのくらいだワン。……あ、そうそう。1つ言い忘れてたワン。杖に登録できる呪文には限りがあるワン。強力な呪文ほど容量を食うから、気をつけるワン」


 メルヴィルにそう注意され、俺はとりあえず、基礎呪文集の中から使えそうな呪文を可能な限り杖に登録した。


 しかし、ルーナ・モルテムがあまりに強力な呪文だったせいか、それで大幅に容量を食ってしまい、先程の箒の呪文を除いても、新たに追加できた呪文は3つだけだった。


 呪文の登録が全て完了すると、セレナは立ち上がってスカートの汚れを払った。


「さて、呪文の登録も終わったようですし、どうです? ここでちょっと練習試合といきませんか?」


「練習試合?」


 セレナの口から発せられた思わぬ言葉に、俺はポカンと訊き返した。


「そうですよ。私とルナさんで、実戦をしてみるんです。その方が新しく覚えた呪文の練習になるでしょう?」


「なるほど……。確かに一理あるな。よし、やってみるか」


「はい。あ、とは言っても、あくまでも練習なんで、即死ルーナ・呪文モルテムは撃たないでくださいよ。私、まだ死にたくないですから」


「わかってるよ。勝敗はどうやって決める?」


「相手を気絶させるか、相手の杖を奪った方が勝ちでどうです?」


「いいだろう」


「じゃ、ちょっと待ってくださいね」


 セレナは首からペンダントを外すと、右手でそれを握って、呪文を唱えた。


「希望と光の力を持つ杖よ、汝が主、セレナの名のもとに、その力を示せ!」


 ペンダントはステッキに変わり、セレナの服装は制服から白を基調にした、修道服のようなコスチュームに変化した。


「さあ、やりましょうか。ルナさん」


「どっからでもかかってきやがれ」


「…………」


「…………」


 数秒の沈黙の後、俺たちは互いに呪文を唱えた。


「〝アンデュ・ライティア!〟」


挿絵(By みてみん)


「〝ビアブルム!〟 」


 セレナの杖から発せられた光の波動を間一髪、箒で空中へ飛んで回避する。


 下を見ると、さっきまで俺が立っていた地面がえぐれて、小さなクレーターができていた。


 ……おいおい、いきなりそんな大技使ってくるのかよ。攻撃呪文にするかどうか迷ったが、飛行呪文にして正解だったな。


「空に逃げるだけでは、私には勝てませんよ」


「ふん、安心しろ。今度はこっちの番だ」


 セレナから離れた場所に着陸し、十分間合いを取る。


 そして、俺は先ほど登録したばかりの新たな呪文を唱えた。


「〝アンギ・フーニス!〟」


挿絵(By みてみん)


次回の更新は一週間後となります。

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