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外道魔法少女ルナ  作者: door
<第2部>
79/98

13. 魔女の国

更新おくれて誠にすみませんでした!

※鵺明けの読み切りのコミコ掲載が3月29日に決まりました!

「そう! その不思議な現象が起きた場所の近くに、〝13人目の魔法少女〟はきっといる! この図書館のパソコンには世界中の新聞のデータベースが入っている。今からこの五人で手分けして過去二ヶ月分の世界中の新聞を調べる。そうすれば、この地球上のどこかにいる〝13人目の魔法少女〟の痕跡が見つかるはずだ!」


 俺は熱弁をふるった。


 その意気込みに魔法少女たちの志気が上がる。


 セレナ、来果、ミノリ、澪の四人を従え、俺は図書館に入った。


 この中央図書館はこの街で一番の大きさを誇る。


 四階建ての近代的なコンクリート造りの建物で、隠居した老人や暇をつぶす主婦、勉強する学生や児童書目当ての子供たちなど、老若男女を問わず、様々な人が利用している。


 さて、俺たちの目的はそんな中央図書館の3階にあるコンピュータールームだ。


 そこにあるパソコンを使えば、世界中の新聞を閲覧することができる。


 俺たち5人で手分けすれば、この2か月に世界中で起きた〝不思議な出来事〟――つまり、「13人目の魔法少女」の痕跡を見つけることができるだろう。


 受付で手続きを済ませて3階に向かうと、なぜだかコンピュータールームの前で人だかりができていた。


「どうしたんでしょうか?」


 セレナが首をかしげる。


 俺も不思議だった。


 ここには何回か来ているが、いくら中央図書館といっても、部屋の前にこんなに人があふれるほど混むなんてことはなかったハズだ。


 そう思って、コンピュータールームの前で待つ人間を観察すると、みんな一様に部屋の中を迷惑そうに睨んでいた。


「ミノリ、ちょっと肩を貸せ」


「わっ、何すんの!? ルナちん!?」


 俺は背が低くて部屋の中が見えないので、ミノリの肩によじ登って強引に肩車をさせる。


 コンピュータールームの中を見ると、そこには学ランを着崩した高校生くらいの男4人が、広いコンピュータールームを占拠していた。


「ひゃははははは! くらえ、銃乱射!」


 と、一人の男がエンターキーを連打する。


 すると、そいつがふんぞり返って座る席のパソコンの画面に映った軍服姿の男が銃を乱射して周りの人間を撃ちまくった。


「ぐぁああ! やられた!」


「くそ! また俺たちの負けじゃねーか!」


「でも、ひでえっすよ、シャマさん! 俺まで殺すなんて! 俺、一応味方なんすから!」


「知るかよぉ! これは戦争だぜ! 俺の前に出てくるオメーがわりぃんだ!」


 どうやら、ここのパソコンを使って、海外の戦争ゲームをやってるらしいな。


 もちろん、公共の図書館のパソコンにそんなゲームが入っているわけがないから、違法にダウンロードしたんだろう。


「まいったよ。あの連中がいるせいで、誰も中に入れやしない」


 俺たちの傍にいた大学生くらいの男がボヤいた。


「誰か注意したらいいじゃないですか!」


 来果が言った。


 それに対し、澪が勇敢にも名乗りをあげる。


「私が行く」


「やめときな、お嬢ちゃん」


 と、先ほどの大学生が澪を止めた。


「あいつらはこのあたりじゃ有名な不良だ。札付きの悪ってやつさ。ここの職員も、怖がって注意できない。無理に部屋に入ろうとしたら、缶コーヒーを投げつけられるぞ。あのトシさんみたいにな」


 と、大学生は窓際のベンチで女性職員に介抱されている老人を指した。


 その老人の上半身はコーヒーのような茶色い液体でべっとりと汚れている。


「わしゃ、もうダメじゃ……。若者にすっかり舐められておる……。昔はワシみたいな大人が注意すれば、素直に聞く若者が多かったんじゃが……。時代がすっかり変わってしまった……」


「トシさん、元気出してください。あなたの行いは立派でしたよ」


「うう……」


 厳格そうな爺さんが女性職員に慰められ泣いている姿はどこか物悲しい所があるな。


「どうする? やっぱり警察に連絡するか?」


「いや、でも未成年だったら、すぐに釈放されてまた来るんじゃないか? そうしたら、連中は通報した奴に復讐するぞ、きっと」


 大人たちも不良どもの対応に手を焼いているようだった。


 ……まったく、しょうがねえな。


 人助けなんて俺の柄じゃねえが、ここが使えないと、俺たちも困るからな。


 ここはひとつ、やってやるか。


「ルナさん!? どうするつもりですか!?」


 コンピュータールームの扉の前に向かった俺に、セレナが声をかける。


「お前らは手を出すな。俺が連中を黙らせる」


「やめてください! 危険です!」


「心配するな。あんなヘナチョコ連中相手に、俺は負けねえよ」


「いや、私が心配してるのはルナさんじゃなくって……」


 ガラッ!


 セレナの制止を無視して、俺はコンピュータールームの中に入った。


「なんだオメーは! 今、俺たちが使ってんだ! 邪魔すんじゃねー!」


 案の定、不良たちの怒声が俺に降りかかってくる。


「…………」 


 それを無視して、俺がぐんぐん部屋の中に歩を進めると、不良の一人が俺の胸ぐらを掴んできた。


「てめえ、聞こえねえのか! 小学生の女子だからって、俺たちゃ手加減しねーぞ!」


「ふん! 上等じゃねーか! やれるもんならやってみやがれ!」


 外の人間には聞こえないような声で俺は言った。


「な……」


 男は面喰らったようだったが、やがて額に青筋を浮かべると、


「このガキ! 表へ出やがれ! たっぷり可愛がってやるぜ!」


 こうして、俺は4人の不良に連れられ、図書館の裏へ行くことになった。


 コンピュータールームを出る時、セレナが心配そうに、


「……手加減してあげてくださいね」


 と、ボソリと言うのを俺は聞き逃さなかった。


 やはり、セレナが心配していたのは俺じゃなくて4人の不良どもの方だったようだ。



 ☆☆☆☆☆



 数分後。


 コンピュータールームでは人々が笑顔でパソコンを操作していた。


「よし、じゃあ手分けして探そうか」


「いやいや、なに何事もなかったかのように始めてるんですか!? あの4人は一体どうなったんです!?」


 セレナが俺に詰め寄った。


「安心しろ。殺しちゃいねーよ」


「いやいや、ルナさんが1人で帰って来た時点で嫌な気しかしませんけど!?」


 セレナがなおも食い下がるので、俺は不良たちの殲滅の様子をダイジェストで伝えた。


 …………………


 …………


 ……


 …



 ☆☆☆☆☆



 人気(ひとけ)のない中庭に図書館裏に連れて行った俺に対し、不良たちはまだ自分たちの優位を疑わず、いきがっていた。


「さあて、この生意気なクソガキをどう痛めつけてやろ――」


「〝マギア・テネブラム!〟」

挿絵(By みてみん)


「ぎゃあああああああ!」


 喧嘩の鉄則。


 まずはリーダー格の男をぶっ飛ばす。


「しゃ、シャマさん!?」


「次はてめえだ!」


「ひ……」


「〝アンギ・フーニス!〟」

挿絵(By みてみん)


「フシャアアアアアア!(訳:こんな雑魚どもじゃ、やる気出ませんが、ルナ様の為に~!)」


「うわっ! 地面から蛇が!? ぎゃあああああああ!」


 蛇どもが不良の一人に絡みつき、メキメキと締めつける。


「ひぃ! 化け物だ!」


「逃げろぉ!」


 仲間がやられるのを見て、残り2人の不良が逃げ出すが、それを見逃す俺ではない。


「〝オクルス・メドウセム!〟」

挿絵(By みてみん)


「メデュゥアアアアアアアアアアアアア!」


 バキバキッ!


「ぐぁあああああ! あ、足が!」


「石みたいに固まっ……!」


 足を石化された2人は逃げることができずに、こけてしまう。


「ふはははははははははは! もがけ! はいつくばれ! そして、のたうちまわれ! 力の無き雑魚どもが! メドューサよ、力の放出を続けろ! そいつらを全員、石像にしてしまえ!」


「メデュゥアアアアアアアアアアアア!」


『ぎゃあああああああああああ!』


 図書館裏に、不良ども断末魔が木霊したのだった。


 成敗、完了!



 ☆☆☆☆☆



「――っていうわけだ。あいつらは今頃、図書館のオブジェの石像になってるよ。ここが美術館じゃないのが不思議なくらい良い石像ができたもんだ」


「はぁ、まあ殺していないなら、それでいいですけど……」


 セレナがため息をつく。


 ふん、あんな雑魚どもに〝ルーナ・モルテム〟や〝ヴァールーナ・イーマ・エッサイム〟を使うのは魔力の無駄だからな。


「それより、とっとと新聞の記事を探そうぜ。ほら、これ」


 俺はセレナたちにメモを渡した。


「セレナは英語。来果はフランス語。ミノリはスペイン語。そして澪は中国語担当だ。そのメモには〝魔法みたいな出来事〟の記事を書くにあたって出てきそうな各言語の単語が書かれている。その単語を手当たり次第にコンピューターで検索しろ」


「ちょ、ちょっと待ってよ! アタシ達、それをやっても記事が読めないんだけど!?」


「大丈夫だ、ミノリ。〝魔法みたいな出来事〟を扱った記事なら、写真くらい載っているだろう。検索した記事の中に気になる写真があったら、俺に知らせてくれ。その間、俺はその他の言語で検索をかける。さぁ、作業開始だ!」


 この検索作業はその後、3時間ほど続いた。


 途中、4人がそれぞれ俺の所へ気になる記事を見つけたと報告に来たが、どれも魔法少女とは関係のないようなものばかりだった。


 この日はもう諦めて帰ろうかと思ったその時、俺が調べていた言語で可能性のある記事が見つかったのだった。


「あったぞ! みんな、来てくれ!」


 急いでセレナたちに召集をかける。


「先月の新聞だ。とある街の電波塔の横に、そっくりな電波塔がもう一つ出現してパニックになったらしい。何人もの目撃者がいて、写真も撮られたらしいが、いつの間にかそのもう一つの電波塔は消え去っていたという。この記事じゃ、集団ヒステリーか何かだとして片づけられているが……もしもこれが事実なら、魔法でも使わないとできないことだと思わないか?」


「確かに……。そ、それでルナさん! その場所っていうのは一体どこなんです!?」


 セレナの質問に、俺はニヤリと笑った。


「これも何かの運命の導きかな。ここは魔法少女を探すにはピッタリの国だぜ」


 俺はごくりと唾を飲み込むセレナたちに向けて、その国の名前を告げた。


「ドイツだ! その歴史的経緯から〝魔女の国〟とも呼ばれるこの国に、13人目の魔法少女がいる可能性がある!」


前書きにも書きましたが、更新遅れて誠にすみませんでした!

というわけで、ルナたちはドイツに向かいます!

次回の更新は一週間後を予定しております。

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