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外道魔法少女ルナ  作者: door
<第1部>
50/98

50. 不死のゴーレム

 古めかしい遺跡から近代的な白い部屋に飛ばされた俺たちを待っていたのは、精霊界の代理戦争、ウォーゲームの隠しステージ。


 五つの試練をクリアすることで本戦での勝負を優位にできる魔法アイテムが手に入る。


 その第一の試練は――。


「ゴォオオオオオオ!」


『さあ、この身長3メートル以上あるゴーレムちゃんを倒してくださ~い!』


「そんな……」


 俺は慄然としていた。


 そんな……。


 そんな……。


「そんな簡単なミッションでいいのかぁ?」


『っ!?』


 俺はゴーレムに向かって走り出した。


「ふん、何が身長3メートル超えのゴーレムだ! そんなもん、でかくなった分、この魔法が当てやすくなるだけじゃねえか」


 死ね! 


「〝ルーナ・モルテム!〟」


「うわっ、いきなりそれですか!? ルナさん!?」


「来果はそこに痺れて憧れます!」


「流石ルナ……。初っ端から即死魔法なんてえげつなさこの上ない」


「でも、これで……」


 他の4人は俺の撃った魔法の行方を見守る。


「ゴォオオオオオ……!」


 ゴーレムは即死魔法をモロに喰らった。


「ふん、瞬殺とはこのこと……何ィ!?」


「ゴォオオオオオ!」


 死んだはずのゴーレムが、その巨大な拳を俺に向けて殴りかかってきた。


「馬鹿な! ルーナ・モルテムをモロに喰らってナゼ生きてられるんだ!?」


 くっ、だが今はそんなことを考えている場合じゃない! コイツの攻撃への対抗手段が間に合わない!


「ゴォオオオオオ!」


 ダメだ、やられる!


 俺が目を閉じた時だった。


「〝ライカン・クロノシオ!〟」


 呪文の声に恐る恐る目を開けると、ゴーレムはその巨体をオレンジ色の球体に包まれて動きを止められていた。


 これは来果の時間停止の結界!


「来果!」


「ふふふ。どうですか、ルナ先輩。来果もたまには役にたつでしょう?」


「ああ、感謝するぜ。お前は最高だ!」


「えへへ~」


 しかし、どうしてゴーレムに即死魔法が効かなかったんだ……?


『ふふふ♪ まさか即死魔法が使える魔法少女がいるとは思いませんでした♪』

 天の声が、あざけるように言った。


『でも、ゴーレムとは本来、主人の命令を聞くだけのただの土人形。つまり、今あなたがやったことはロボットを相手に即死魔法をかけたのと同じ。最初から生き物じゃないものに即死魔法なんて無意味だってことはわかりますよね~』


「くっ……」


 ムカつくくらいわかりやすい解説だぜ!


 だが、それならそれでやりようはある!


 即死がダメなら、物理的に破壊するだけだ!


「来果、俺の魔法が当たる直前に時間操作の結界(ライカン・クロノシオ)を解除しろ!」


「はい! 了解です!」


 いくぜ! これでも喰らえ、土クズ!


「〝マギア・テネブラム!〟」

挿絵(By みてみん)


「結界、解除! 」


「ゴォオオオオオオ!」


 闇の魔導波が直撃し、ゴーレムの身体は砕け散った。


 来果と俺のコンビネーションプレーの勝利だぜ!


「よし、これで……何っ!?」


 砕け散ったハズの土が、まるでスライムのように再び一箇所に集まり、元の形状に戻っていく。


 そして……、


「ゴォオオオオオオ!」


「馬鹿な! 復活しただと!?」


「ルナさん離れてください! 今度は私が!」


「セレナ! よし、頼んだぞ!」


「〝アンデュ・ライティア!〟」

挿絵(By みてみん)


 光の波動が、ゴーレムの身体を砕く。


 だが……、


「ゴォオオオオオオ!」


「っ!? そんな! また再生した!」


 セレナが叫んだ。


 くっ、どういうことだ!?


「二人共、どいて」


 澪が前に進み出る。


「今度は私が!」


 澪がゴーレムの前に立ちはだかり、ステッキを構える。


「〝ジャベル・アイシア!〟」


 以前、採石場で俺たちに放ったのと同じ氷の槍を発射する魔法。


 2メートルを超えるその巨大な氷の槍はゴーレムの巨体を貫いた。


 しかし……!


「ゴォオオオオオオ!」


 胴体にポッカリ開いたその風穴も、すぐに塞がり、ゴーレムは何事もなかったかのように生き返った。


「そんな……。ありえない……」


 流石の澪もクールな表情を崩して動揺していた。


 そんな俺たちをあざ笑うかのような天の声が聞こえる。


『残念でした! そのゴーレムの土には再生機能が付いているんです。物理破壊はできませ~ん』


「そんな……」


「即死魔法も……」


「物理攻撃も効かないなんて……」


「どうやったって倒せないっていうのと同じじゃない!」


 セレナも、来果も、澪も、そしてなゆたもパニックになっていた。


 確かに、一見この土の人形は無敵に思える。


 だが、方法が全くないわけじゃないぜ!


「澪、冷凍光線だ! 倒せないのなら氷漬けにして動きを封じろ!」


「っ! そうか!」


 俺の指示に従い、澪はステッキの照準をゴーレムに合わせた。


「〝ギアル・フリジア!〟」


「ゴギゴ……ッ!」


 澪の冷凍光線をまともに浴び、ゴーレムの身体はガチガチに凍りついた。


 よし、これで……!


 俺が心の中でガッツポーズをしたのも束の間……、


「ゴォオオオオオオ!」


 パリーン!


 ゴーレムの巨体を封じ込めていた氷が粉々に砕け散った。


「なんだとぉ!」


 チクショウ!


 氷漬けにして動きを封じられたのは、約2秒ほど。


 ゴーレムの馬鹿力が内側から氷を破壊してしまったのだ。


「……マジかよ」


こんなバケモノを一体どうやって倒せってんだ!?


しかも、これが()()()試練だと!?


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