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外道魔法少女ルナ  作者: door
<第1部>
47/98

47. 遺跡

この回より、「魔女の試練編」が本格始動です。

これが終わると、コミコ掲載分は終わりですので、もうしばらくお付き合いください。

「ごめんニャー。それは俺っちにもわからないのニャー」


 マキから奪った魔法アイテムの使用方法をルーニャに尋ねた俺だったが、その答えは何の参考にもならないものだった。


「どういうことだ?」


「魔法アイテムの使い方はそれぞれ違うのニャー。例えば、俺っちたち人間界に派遣された精霊なら誰でも持っている魔法呪文集なら、そこに登録方法が書いてあるから使い方は一目瞭然だニャー。でも、それみたいに宝石型の魔法アイテムだと発動条件が全くわからないのニャー。たぶん、前の持ち主だったあのマキって魔法少女も、使い方がわからずに未使用のまま持ち歩いていたのニャー」


「なるほどな。にしても、メルヴィルといいお前といい、精霊ってやつは役に立たないな」


「ほっといて欲しいニャー。俺っちたちの役目はお前たちに魔法の力を与えることだニャー。戦いはお前らの役目だニャー」


 力を与える見返りとして、人間の少女に戦いの運命を課すのは精霊の正当な権利ってわけか……。


 確か、最初に俺が倒したバビロンとかいう犬型の精霊も同じことを言ってたな。


 どうやら腹黒さでも精霊はみんな大体似たようなものらしい。


 あのアホのメルヴィルだって、心の中では何を考えているかわかったもんじゃないな。


 そういえば、あいつは今頃なゆたの所でうまくやっているのだろうか?



   ☆☆☆☆☆



 その頃……。


 メルヴィルはなゆたの家の風呂場にいた。


「メルヴィル君、かゆいところない?」


「あ、そこそこ、耳の裏だワン」


「え? ここ?」


「そうだワン。ああ~、気持ちいいワン」


 なゆたに身体を洗ってもらい、メルヴィルは天にも昇る心地だった。


 なゆたには朝にシャワーを浴びる習慣がある。


 そのついでに、昨夜からルーニャに代わりこの家の〝ペット〟になったメルヴィルもお風呂に入れることにしたという次第である。


「ルーニャ君がいなくなって寂しかったけど、メルヴィル君が来てくれたから寂しさも半減したよ。メルヴィル君はルナちゃんたちと離れ離れになって寂しくないの?」


「いや~、あいつらはいつも僕をイジメるから、こっちの方がいいワン」


「ええ!? イジメられてたの?」


「そうだワン。ルナは僕がお風呂に入っただけで石化魔法をかけてくるし、セレナは僕がソファーに乗っただけで爪で痛むから降りろって怒るワン」


「そっか……ひどい目に遭ってきたんだね。私はそんな意地悪しないから安心してね」


「ワン。なゆたは優しいワン。ここは天国だワン」


 ご機嫌になったメルヴィルは自作の歌を口ずさむのだった。


「ワン、ワン、ワーン♪ 僕、メルヴィル~♪」


「あはは。何その歌~」


 その様子を湯船に浸かりながら眺めていた蒼井澪はあまりの能天気ぶりに呆れ果てるばかりだった。


「(なゆた……まさかその精霊をこれまで通り、この家で飼うつもりなの? なるべくルナたちに見つかりにくい場所に隠した方がいいっていうのがわかってないの? ……というか、そもそも何で私は呑気にこんな所でお風呂に入っているんだろう?)」


 澪は湯船に顔を沈めながら、先程までのことを振り返る。


 朝早く、なゆたに呼び出されたかと思ったら、いきなりお風呂場に連れて行かれ、


「澪ちゃん、一緒にお風呂に入ろ~」


「何で?」


「スキンシップだよ~。裸の付き合いだよ~」


「理由になってない。第一、お風呂なら昨日の夜に入った」


「いいから♪ いいから♪」


と、無理矢理服をひん剥かれて裸ん坊にされ、今に至るのである。


「ねえ、なゆた。あなたは私をお風呂に入れるために呼んだの?」


 不安になったので訊いてみる。


 なゆたは泡まみれになったメルヴィルをシャワーで洗い流しながら、


「んーん。違うよ」


「じゃあ何の為に?」


「ほら。この前見つけた例の遺跡。私たちだけじゃ結局何もわからなかったけど、ルナちゃん達なら何かわかるかもしれないし、今日、みんなで行ってみようと思って。ルナちゃんたちにはこれから連絡するつもり」


「ん? 遺跡ってなんだワン?」


「あ、そっか。メルヴィル君にはまだ話してなかったね。実はね――」


 なゆたはメルヴィルに先日自分たちが見つけた遺跡について話した。



   ☆☆☆☆☆



「じゃあ、なゆたさん達はまだ魔法アイテムを持っていないんですか?」


 メルヴィル並みに役に立たない精霊に、セレナが尋ねた。


「それは秘密だニャー」


「ええ!? なんで!?」


 来果がルーニャに詰め寄る。


「俺っちはあくまでも澪となゆたの精霊だニャー。ここにいるのは同盟作戦のためやむ得ないからだニャー」


「え? でも、来果たちってもう仲間なんだよね? だったらそのくらい教えてくれてもいいんじゃないの?」


「いや、それは違いますよ、来果さん」


「ええ!? どうしてですか、セレナ先輩!」


「う~ん。なんて言ったらいいんでしょうか。ルナさん、説明お願いします」


 俺に説明を丸投げするセレナだった。


 しょうがないな。


「つまり、こういうことだよ、来果。この同盟策が使えるのはあくまでも他に第三国が存在するときだけ。人間界に存在する国がメルヴィルの国とルーニャの国の二つだけになっちまったら、もはや同盟なんて無意味だからな。後は俺たちが互いを信頼して戦いをやめるか、決着をつけるべく相手のマナ・クリスタルを奪い尽くすまで戦いを続けるかだ。その最終決戦に備えて、ルーニャは自国の情報はなるべく伏せたいってわけだよ」


「あ、そっか。なるほど~。納得です」


「まあ、どうしても情報を得たいなら、ルーニャを拷問でもすればいいが……」


「ニャッ!?」


 俺の視線にルーニャはビクッと身体を震わせる。


「冗談だよ。加減を間違えてお前を殺しちまったら、なゆたたちに別の精霊が派遣されて、同盟関係は破綻。メルヴィルをなゆた達に握られている俺たちには破滅の道しかないからな。ここにいる間は国賓として丁重にもてなしてやるぜ、ルーニャ」


 そうとも。


 なゆた達が魔法アイテムを持っているかどうかなんて、現状ではどうでもいい情報だ。


 他に訊くべきこと、訊きたいことは山ほどある。


 その時、机の上に置いておいた俺の携帯が振動した。


「電話……なゆたからだ」


 昨日の別れ際、番号を交換して電話帳に名前を登録しておいたのだ。


 俺はセレナたちに静かにするようジェスチャーすると、通話ボタンを押した。


「もしもし」


「あ、ルナちゃん?」


 元気な声が電話口から聞こえる。


「ああ。どうした?」


「実はちょっとルナちゃんたちに相談があって」


「相談?」


「うん。実は私、この戦いに関係があるかもしれない遺跡をこの前見つけたんだけど、私と澪ちゃんだけじゃ、何もわからなかったんだ。それで、もしかしたらルナちゃんなら何かわかるかもしれないって思って。これから皆でその遺跡に行ってみない?」


目標の500ポイントまであと少しですので、頑張っていきたいと思います。

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