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外道魔法少女ルナ  作者: door
<第1部>
44/98

44. 同盟の方法

活動報告にもあるように、ルナ強化キャンペーン中です。


総合評価が500を超えると、記念に新規イラストを大量発注・追加していきたいと思います。


よろしければお気に入り登録・評価等でご協力ください。


「〝ルーナ・モルテム!〟」


「ぐあっ――」


 氷上に倒れたマキの体からは、七色に輝くマナ・クリスタルが浮かび上がった。


 よし! 後は……。


「メルヴィル!」


「わかってるワン!」


 メルヴィルはなゆたの肩から飛び降り、氷上に着地した。


 そしてマキの身体から出たマナ・クリスタルに近づくと、口を大きく開いて、それを体内に吸収した。


「四つ目のマナ・クリスタル、ゲットだワン!」


 やったぜ。


 これでメルヴィルの国の領土は4!


 戦いの勝利条件にまた一歩近づいた!


「…………」


 ふと前を見ると、目の前で箒を操縦するなゆたは背中から負の感情を発していた。


 マキが死んだことに、ふさぎ込んでいるようだ。


「文句はないはずだぜ? なゆた。お前もマキを攻撃することには賛成していたし、そっちがリカのマナ・クリスタルを手に入れた以上、マキのマナ・クリスタルは俺たちの側が手に入れる。そういう契約・・だっただろ?」


「うん、わかってるけど……。やっぱり、相手の子を殺さなきゃいけないってのが一番辛いよ……」


「…………。まあ、取り敢えず、下に降りようぜ。セレナたちにも、お前たちのことを話しておかなきゃいけないからな」


 なゆたは黙って頷くと、箒を下降させた。


 俺たちが着氷すると、澪や未だに狐につままれたような表情をしているセレナと来果も後に続いた。


「どういう事なんです? ルナさん。どうして澪さんたちの国が私たちの味方を?」


 やはりというか何というか、セレナは開口一番にそのことを尋ねた。


 俺はなゆたの回復魔法に助けられたこと、そしてその後に交わされた一連の会話のことをセレナと来果に説明した。


 そう、俺はあの時――。




   ☆☆☆☆☆




「澪、これから俺の言う話をよく聞いて合理的に判断しろ。幸いにも、お前は感情ではなく、合理で動くことができる人間みたいだからな」


「……?」


 半信半疑な様子の澪、及びなゆた、そしてルーニャに俺は自分の策を話した。


「単刀直入に言う。俺たちメルヴィルの国とお前らルーニャの国で同盟を結ぶ!」


「っ! 同盟を!?」


「私たちとルナちゃんが!?」


 二人は思っても見ない申し出にだいぶ面喰らっているようだった。


 やがて、冷静になった澪が首を横に振った。


「それは無理。領土が多い方が有利に働くこの戦いでは最初に裏切った国が得をする。だからこの戦いにおいて国同士が同盟を結ぶなんてことはありえない。そもそも、これはこの前あなたがなゆたに言ったこと。自分で言ったことも忘れたの?」


 俺は澪の問いかけをスルーして、その精霊ルーニャに話しかけた。


「ルーニャ、仮に俺がここでお前を拉致し、人間の目に触れることのない場所にずっと閉じ込めていたら、なゆた達はこの後どうなるか教えてやれ」


「ニャッ!」


 ルーニャはいきなりの物騒な仮定話に目をむいていた。


 が、すぐにそのケースを真面目に熟考して、


「……その場合、オレッちはまだ死んではいないから、代わりの精霊が派遣されることはないはずだニャー。つまり、なゆたと澪は、その後、ずっと精霊のいない戦いを強いられることになるのニャー」


「っ!」


「ええ! そうなの!?」


 澪もなゆたもそういうケースは今まで想定していなかったのだろう。


 これ以上ないくらい驚いていた。


 だが、本当に驚くのはこれからだぜ。


「その通りだよ、ルーニャ。そして、精霊がいなければ、新たに魔法少女と契約することもできない。つまり、敵を倒して新たにマナ・クリスタルを手に入れても、契約ができないまま十四日が経てば、ルールによりそのマナ・クリスタルもどっか遠くに飛んでいって、見知らぬ少女の物になってしまう。そして、その少女と最初に契約した精霊がその魔法少女と領土を得ることになるから、精霊のいないなゆた達は、そこでも仲間を増やすことはできない。つまり、領土が2のまま増えることはなく、敵をいくら倒しても戦いが終わらない地獄に陥ることになる。……そして、これは俺たちがメルヴィルをお前らに奪われた場合でも同じこと」


「っ! あなた、まさか……」


 澪が何かに気づいたようだ。


「え? どういうことなの? 私まだわかんないよ!」


 混乱するなゆたに、澪は重い口を開いた。


「……こいつは、互いの精霊を担保にすることで、同盟関係を確立しようとしているの」


「え? 精霊を担保って……どういう意味?」



「つまりはこういうことだよ、なゆた」


 混乱するなゆたに、俺は言った。


「今の話で、精霊を敵に奪われることがその国にとっての〝死〟を意味することはわかっただろ? ならば、それを利用して、絶対に相手を裏切れないような状況にしてしまえばいいのさ」


「つまり……ルナが提案しているのは 同盟を結んだ国同士が互いの精霊を交換して、相手にわからない場所に隔離するという策。この同盟は絶対に裏切れない! もし裏切れば、自分の精霊の身柄を相手が確保している以上、どちらの国も共倒れになってしまうから!」


 そうだよ、澪。その通りだぜ。


 ここまで来ると、なゆたにもようやく精霊交換の意味が理解できたようだった。


「な、なるほど! つまり、ルーニャ君をルナちゃん達が、そのメルヴィルって子を私達が預かって、互いに場所を教えずに飼うってことだよね! そうすれば、仮に私達がルナちゃんを裏切って攻撃を仕掛けても、ルーニャ君の居場所がわからない私たちは、それをした瞬間にアウト! 仲間を増やせないまま、他の国にやられるのを待つしかなくなっちゃうんだ!」


「そうだ。そして別の国との戦いでは互いに連絡を取り合い、一緒に戦う。俺たちはお前たちを、そしてお前たちは俺たちを必死に守らなければならない。なぜなら互いに相手がが全滅してしまっては、自分たちの精霊のの居場所がわからなくなってしまうんだからな」


「でも、相手が全滅したら、僕たちを世話する人がいなくなって、餓死しちゃうんじゃないのワン? そうすれば、他の精霊が派遣されるから、相手を必死に守る必要はないんじゃないのワン?」


「メルヴィルにしてはまともな意見だが、それも大丈夫だ。この場合は何も精霊を厳重に監禁する必要はない。お前ら精霊は俺たち魔法少女の戦いに干渉できないから、相手に捕まった段階で抵抗は許されない。つまり、自らが主体的に相手の場所から逃げることはルール上許されない。だから、自分たちが死んでも、相手の精霊に食料が行きわたるような工夫くらいはできるさ。親や友人、場合によっては動物養護施設に世話を頼むとかな。とにかく相手に精霊の居場所がわからないようになってさえいればいいんだ」


「なるほど、それなら安心だニャー。てっきり俺っち達は刑務所みたいな場所に幽閉されるのかと思ったニャー」


 ホッと息をつくルーニャだった。


 俺は説明を続けた。


「そして、戦いに勝利してマナ・クリスタルを手に入れた場合でも、精霊を戻さずに、魔法少女の任命を相手の国にやってもらう。そして、その少女の方だけを自分の国に戻してもらえば、同盟関係は永続する」


 ここで、なゆたはパチンと指を鳴らした。


「そっか! 例えば戦いでルナちゃんたちが敵の魔法少女を倒して、マナ・クリスタルを手に入れた場合、その所有権はメルヴィル君にあるけど、その時メルヴィル君は私たちの監視下にあるから、ルナちゃんたちはどうしようもない。でも、私と澪ちゃんで、メルヴィル君を外に出してあげて、新しい魔法少女と契約させる。そして、その新しい魔法少女の方だけをルナちゃんの所に戻せば、一度もメルヴィル君をそっちに戻すことなく、任命作業を終えることができるんだね! 私たちの方がマナ・クリスタルを手に入れた場合はその逆をやればいい!」


「そうだ! そうすれば全ての問題をクリアして同盟を結ぶことができる! 〝マスコットキャラクター交換〟! それこそが、この戦いで国同士が同盟を結ぶことができる現状唯一の方法だ!」


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