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外道魔法少女ルナ  作者: door
<第1部>
37/98

37. マキズ・ドルアムズ

 俺がリカの瞬間移動魔法についての嘘を見破ると、マキは開き直ったように俺に攻撃を仕掛けてきた。


「ちぃ! おしゃべりが過ぎたねぇ! アンタらがアタイの獲物を横取りした犯人ってこともわかったし、遠慮なく最強魔法でぶっ飛ばさせてもらうよ! くらいな! 〝マキズ・ドルアムズ!〟」


 呪文とともに、マキのステッキが姿を変える。


 先端部分が円錐の形に変化したかと思うと、まるでロケットが打ち上げの時に白煙を吐き出すように、鉄鎖チェーンを伴ってステッキの柄から分離した。


 打ち上げられた円錐は、上昇するにつれて徐々にその大きさ、質量を増していく。


 放物線を描いて地面に落下した時には、高さは俺の背丈の倍はある巨大な鋼鉄の塊となっていた。


 耳をつんざくような轟音と共に、その円錐は回転している。表面には、鋭利なトゲがついており、触れた者の肉を裂き、骨や内蔵をもズタズタに破壊してしまうのが容易に想像できる。


 それくらい、凶悪な武器だった。


「これは……何だ……」


 ドリル? ミキサー?


 いや……そのどちらでもない。


 これは、多分……。


独楽コマ……なのか? 子供が回して遊ぶ、あの……」


「その通りさ。これがアタイの最強の魔法――鋼鉄の殺人独楽(コマ)さ!」


「ぐ……」


 子供の遊び道具の独楽コマとはかけ離れた、禍々(まがまが)しい巨大な鋼鉄の塊が俺に襲いかかる。


 ステッキの柄の部分に繋がる鉄鎖のおかげで、マキがある程度操ることができるのだろう。


 さっきのメイシアとかいうモーニングスター型の魔法と同じように、ステッキと魔法が一体化している近接武器に分類されるだろうか。


 だとすると、やはりこいつは近接武器使いか!


「ちっ……」


 まさかマキの野郎が、こんな馬鹿デカイ魔法を持っていたなんて!


 とにかく、今はなんとしてもこの独楽コマを止めなければ!


「行けぇ! 蛇どもぉ! 〝アンギ・フーニス!〟」

挿絵(By みてみん)


「フシャアアアアアアアアア!(訳:ルナ様のために~!)」


「蛇どもよ、あの独楽コマの回転を止めろぉー! 」


「フシャアアアアアアアアア!(訳:我らが命に代えても、ルナ様!)」


 何匹もの蛇が幾重にも、まるで毛糸玉のように、回転する鋼鉄の独楽コマを包み込む。


「止められたか!?」


「ふん! アタイの最強の魔法を甘く見るんじゃないよ!」


 次の瞬間――。


「ギャアアアアアアアアア!」


 蛇どもが、肉片となって飛び散る。


 まるでミキサーにでもかけられたかのように……。


 くそ! すまない、蛇ども……! ミンチにされちまうとは、俺の判断ミスだ……!


 蛇たちの身体を切り刻んだ独楽コマは、まだ回転している。


 いや、それどころか、全く回転の勢いが衰えていない!?


 ちっ……。やはり、蛇の呪文(アンギ・フーニス)じゃ攻撃力不足か……。


 ならば、こちらも一番強い魔法で対抗するしかない。


 魔力を最大限に練りこんだ闇の魔導波(マギア・テネブラム)


 こいつであの独楽コマを破壊してやる!


「闇の魔導波よ、敵の魔法を粉砕しろ! 〝マギア・テネブラム!〟」

挿絵(By みてみん)


 闇の魔導波が轟音を鳴り響かせて回転する鉄の塊に激突する。


『いっけえええええええええええ!』


 俺とマキの声が重なる。


 ほとばしる熱気。


 マギア・テネブラムとマキズ・ドルアムズ。


 互いの待てる最強の魔法同士の激突。


 火花の閃光が夜の闇を切り裂く。


 力と力の拮抗により大地は震え、粉塵が巻き上がった。


 永遠に続くかとも思えたその衝突は、突然終わりを告げた。


 バシュン!


 鋼鉄の独楽コマの回転で、闇の魔導波がかき消された。


「何っ……!? マギア・テネブラムが力負けしただと!?」


「はっ! 闇の魔導波ごときで、鋼鉄の独楽コマを打ち破れると本気で思っていたのかい!?」


「ぐ……」


「少し威力は衰えたけど、あんたを殺すには十分だ」


 マキが、鋼鉄の独楽コマを操り、俺にけしかける。


「これで死にな!」


「うわあああああああああああ!」


 鋼鉄の独楽が、俺の身体を切り刻まんと迫って来る。


 もしも、あの回転に巻き込まれたら、蛇たちと同じようにミンチになっちまう!


 まずい! このままじゃ、られる!


 どこか逃げ道はないか!? 


 どこか!?


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