第七十一話 覚醒
そんなこんなで、やっと、奴が覚醒しました。
しかし、奴が目覚めたとしたら、これまで言ってたマリーネの発言がつじつま合わなくならなくなってしまうのです・・・。
という問題が発生してしまうのです。後で修正するか。
眞幻想は空間に維持していた剣を全て呼び出した。
「鱗が硬いお嬢さんに必要な包丁はこれほどでしょうか!?さぁ、調理開始です」
余談だが・・・本当に余談ではあるのだが、眞幻想は意外と家事が得意な男である。家事が出来る、男である。家事が出来て強くてかっこいいの三拍子がそろったこの男、ヘタに町を歩いたら軍団を作ってしまう可能性もある。一言で、もてそうだ。
しかし、それは人間であった場合のことで、その中に魚は含まれてはいなかった。
「あたくしの鱗は硬いのではなく、少し・・・そう、ほんの少しお茶目なだけですわ!!!」
叫んだ魚王は口から冷水を拘束で出し、眞幻想の足元の土を消し去る。
「あたくし、本当にもう許して差し上げませんわ」
次の瞬間にっこり笑った魚王のえらを眞幻想が切り取った。
「えらは、衣をつけて、油をつけてあげると、さくさく感が楽しめる。魚王の鰓揚げ、完成だ」
鋭い痛みに魚王はその場で叫びだす。
「あっ、ア・・・ああぃあぁぁぁあああぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」
鰓から流れ出す深紅の血を振りまきながら、魚王はあたりを転げ回る。
「次は、その邪魔な鱗、そぎ落としてやるから覚悟しろよ」
眞幻想は鱗をそぎ落としに飛び上がった。
同じ時刻、暗闇の中で音が響いた。はじめは小さく一回だけ、ドクンッ・・・とその音は暗闇に響き渡り、そしてまた、ドクンッ・・・それは徐々に音が大きくなって、音の感覚が狭まり、その暗闇には音が鳴り響いた。しばらく、その音は響いていた。
次第にその音だけが鳴り響いているわけではなくなった。人間の呼吸音がその暗闇で新たに響き始めた。
やがて、それらの音をも掻き消す新しい音がその暗闇を支配し始めた。
「ふ・・・ふふふふ・・・。奴ら、いまだに進展がないと思える・・・。何ゆえ奴ごときにそれほどの血を流し、この聖地を汚すか・・・。それとも何か!?この俺が来る前座を用意してくれているのか」
そしてその声の主の目が暗闇で光を放った。
「俺が出て行く場面なのか!?切り裂きジャックのヒヨコども。貴様らの手におえねぇからといって過去の人物にいつまでも頼ってるのはいけねぇ・・・いけねぇよなぁ・・・」
そして、その暗闇に存在していたその声の主は、暗闇の中で体を構築し、拳を握った。
「ふざけるんじゃねぇ・・・・。全くもって・・・」
そして、その声はその暗闇をも震わせた。
「ふざけるんじゃねぇ!!!!」
暗闇の中で赤く輝いたその目を持つ男は、低く唸りながら、つぶやいた。
「この俺にいつまで頼ってるんじゃねぇぞ・・・。ガキども。俺は、お前らみたいなふ抜けた奴らが大嫌いだ・・・。今、これから叩き潰してやるよ。マリーネが貴様らを潰したあとで、貴様らふ抜けた切り裂きジャックを潰してやるよ・・・。俺の名は・・・」
暗闇が、崩れ去った。
「ほら、どうした、綺麗で優雅な女。もうお前に残ってる部位なんて数えるほどしかないじゃないか・・・・」
眞幻想は肩に乗せた魚王の鰭を指で弾いて地面に落とす。
「あっ・・はっはっはっ・・・」
方で息をしながら眞幻想をじっと睨みつける魚王。
「私・・・は、魔界で唯一の美魚・・・」
魚王は一人、自分が一番輝いていた頃を思い出していた。
そして、その一瞬に隙が生まれたのを見逃す眞幻想ではなかった。
「三枚に、おろしてやるよ。刺身で、お前は終わりだ!!!」
眞幻想は、構えた。
本日はここまでです。
で、奴の正体はいったい何者なのでしょうか!?とっても分かりやすいことこの上ないと思いますけどね・・・。
次は、次週か再来週になると思いますのでそれまで待っていてくださるとうれしいですね
次回、第七十二話 刺身