第七十話 刺身
諸事情にはなりますのですが、今月は本業での活動が多々ありますので本格的には来月からになると思います。
全く持って勝手な事情ですいませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
というのを昨日次話投稿したはずなのですがなぜか投稿されていなかったので本日は二つほど更新できるかと思いますね。
以上、近況報告兼、切り裂きジャックは殺しません!!!第七十話確約です。
太陽が照りつける中で、獣王は叫んだ。
「やっぱな!そうこなくちゃ楽しくねぇもんな!!魅せてやるよぉ。合成獣の力ぁ、たっぷりとなぁ」
獣王は背中にある鷹の翼を羽ばたかせて上空へと舞い上がった。
「お前だけ飛べるのかよ……。ズルい事極まりないねぇ~!」
空を支配する獣王の姿を見つめる八迫は苦々しく呟く。そして、棍棒を橋の下に投げ捨て橋の木片をかき集め、紐で繋ぎ合わせる。それを構えて空を舞うそれを睨み付ける。
「竜太だけあんな良品獲得出来るなんてズルいだろ?」
落下する橋の上から八迫は獣王に聴こえるように叫ぶ。
「死ねぇ~!この咬ませ犬」
叫んだ八迫は手に持ったそれを大きく振り下ろし、獣王の頭をへこませる。
そんな中、獣王は自分のいる国のことを思い出していた。
「獣王となったからには、お前はこれから国を守るために全力を尽くし、更に地獄の反逆王の手による廃墟とされぬために従順な犬であれ。これが歴代の獣王たちが守ってきた唯一の決まりだ」
獣王が王冠を与えられたとき、その代の獣王はこういった。
そしてそれを聞いた獣王はいつから過疎の言葉に反論し始め、そして、自ら反逆王に戦いを挑むのだが・・・。
そこで、回想は途切れた。
八迫が獣王の顔を掴んで耳元でつぶやいたからだった。
「今の貴様には回想する権利すら、存在しない。おとなしく朽ちろ」
しかし獣王につぶやく間でもやむことのない八迫の棍棒連激は、やがて、獣王が水の中に消え、もといた場所に還るまで続いていた。
いつの間にか背後に立っていた鬼は紋太の顔をその白い指でするりとなでると地面に拳を叩きつけ、紋太と自分との身長差を広げた。もとい、地面を抉り取った。
「いきなりあって、それはないと思うわよ。ところで、聞きたいことが一つあるんだよねぇ・・・」
紋太はその鬼の姿から顔をそらせずにいた。
そらしたいのにその気迫がそらすことをも許さない・・・まさにそんな状況下に置かれた紋太はとっさに護身術で自分が今までいたほうを指差した。
そしてそこから意思を読み取った鬼はのっしのっしと森を殴り払い紋太が指差した方向へと進んでいった。
鬼が消えてもなお残るその気迫からやっと解放された紋太は肩で息をしながら帰ってから、を想像して青ざめた。
「あたくしにここまでやらせるとは、あなたなかなかいい男じゃございませんの。でもまだまだあたくしの理想の彼にはまだまだかないませんことねぇ・・・。強さも、容姿も・・・何もかも」
そういった魚王はえらに残った水滴を太陽で反射させ、きらきらと輝いていた。
「勝手に勝敗決めてるんじゃねぇよ・・・。俺は言っただろ!?お前のことを刺身にする・・・って俺は有限実行派なんだよ。有限無実行は人間として許されざることだ。覚えとけ魚人さん」
最後の言葉を言った眞幻想の足元にすさまじい勢いの水が吐き出される。
「あたくし、これでも美人としてとおっておりますのよ。侮辱、しないでくださいますか・・・」
その声は押し殺したかのような口調だったが静かな怒りがこめられていた。
「もう、許しませんですからね。水圧で原形すらも留めないであげますわ。私からの贈り物ですわ」
それが、開戦前の双方の楽しい会話だった。
誰も食べたことのない新しい味が生まれ始める・・・。
奇跡の天才魔法料理人眞幻想が送り出す、新感覚バトルストーリー。
今回の食材は一つの魔界を治める魔界の王、魚王のお刺身。
新しい食材のハーモニーと新しいたびを・・・。
次回、切り裂きジャックは殺しません!!!第七十話 刺身