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第六十五話 鳥目

五王の一角が崩れ去るとき、最後に向けてのレールが少しずつ敷かれていく。

それを歩いていけば、何が待っているのか・・・。

「よぉ・・・」

その瞬間、その場所には緊迫した空気が流れていた。

「俺のなまえはぁ、獣王ってんだぁ。お前ら切り裂きジャックだろぉ?やっちまおうぜ竜王!!!」

獣王と名乗った毛むくじゃらの生き物の後ろから“竜王”と呼ばれた者が出てきた。

「はい・・・!!!がんばり・・・ます」

竜王の容姿は整っているのだが、身長はそれほど大きくも無い、どちらかといえば小柄な少年のような竜だった。

「あたくし、魚王の出番ですの。あたくしたっっっっくさん赤い水であたくしの体を染めますわ」

そして最後に出てきた魚王は竜王とは違う、綺麗な鱗を身につけた美しい魚人間のようだった。

「火・・火炎息吹!!!」

竜王がいきなり口から火の息を吐き出して竜太たちと自分の前にラインを引いた。

「いいぞぉ、竜王!!!これだあいつら囲んじまえぇ。ネコ目ネコ科ヒョウ属!百獣王ライオン!!!」

獣王が叫ぶと獣王は見る見るうちにライオンのような手と口になり、炎に囲まれた竜太たちの前に着地して爪を伸ばし、咆えた。

地面振動シェイク・グラウンドを味わって平衡感覚狂っちまいなぁ!」

自らが発生させた振動の中、獣王は手短な亮祐に狙いを定めた。しかしそう簡単に噛まれましょうか、となるような亮祐ではなかった。

「アドベンチャラー六の節天空の氷海!!!」

氷のつぶてが銃の先から噴出し、獣王の目の周辺を凍らせる。

「侮るなよぉ、子供ぅ。ライオンの鼻をなめてはいけないよぉ!?」

そういうと亮祐のいる場所を正確に噛み付いてくる。

「亮祐から離れろ!!!トラベラー第十の節落雷柱」

亮祐の前に雷の柱を打ち出し、獣王に噛み付かせないように防護柵を張ったつもりだった。

「これでは駄目なぁ・・・。幻想動物麒麟!!!」

次の瞬間獣王の体は白い体毛に覆われ、雷を唸らせた一角獣へと姿を変えて柵の雷すらも取り込んで亮祐に突撃した。そして、その角は亮祐の腹部に深々と刺さり、亮祐の口からは血が吹き出す。その血は角を伝い流れて獣王の目の氷を溶かしていった。

「うまいなぁ・・・。やっぱり血はうめぇよなぁ」

そして口元に流れてきた血を一滴も下にこぼすことなく飲み込んでいった。

「亮祐!!!」

竜太が覇凱一閃で角を切り落とし、獣王の身を引かせる。

「鮫牙!!!」

そう聞こえた次には

眞幻想の前に炎を掻い潜って突っ込んできた魚王の鮫の牙が目の前に迫っていた。

「百剣盾!!!」

とっさに百の剣を呼び出し盾の形を形成する。

「甘いですの!!!そんな甘ちゃんでは駄目ですの。塩水鉄砲!!!」

喰らいついた眞幻想の剣に塩水をかけて錆びさせてから噛み砕いて眞幻想の前に降り立った。

「おち・・・土砂の息吹!!!」

上空から、空を飛んでいる竜王が土を吐き出す。

「即席防御幕、妄想!!!八迫、突っ込め!!!」

竜太はとっさに土砂除けを作り、そして階段を創造させて八迫に上に行かせた。

八迫は自分の力で防御幕を破り、竜王の前に躍り出る。

「何でもかんでも吐くんじゃないよぉー。お掃除が大変でしょうがぁ!!!」

そういうと橋から奪った煉瓦で竜王の頭を下に向かって叩きつける。その衝撃に耐えられない竜王は羽ばたくことさえも忘れて地面に向かって加速していく。それに気がついたのは獣王だった。

「哺乳網ネコ目ネコ科チータ属疾風獣チーター!!!」

自らの体を変化させると竜王のコートの襟を間で地面に優雅に着地する。

「ご・・・ごごご御免なさい!!!迷惑かけて御免なさい!!!」

先ほど八迫に殴られてか、迷惑をかけてかのどちらかの理由で竜王は目を潤ませて必死に頭を下げる。その頭を獣王はぽふぽふしてつぶやいた。

「大丈夫だぁ。俺が必ず助けるからたくさん迷惑かけていいんだぞぉ?ほら、立ってこいつら倒しちまうぞぉ!!」

その瞬間を亮祐は見逃さなかった。駿足で紋太からトラベラーを拝借してビーストレイクを構えて竜王と獣王を狙う。

「ビーストレイク百花繚乱!!!」

それを認識したとき、竜王は目をつぶった。しかし、獣王はそれに目を塞ぎ逃げることなど、竜王の前で出来るわけがなかった。カメ目ゾウガメに変化させると殻に閉じこもり、飛んでくる花びらの手裏剣を甲羅に刺して竜王を守る。

そこに竜太が覇凱一閃を振りかざす。

「覇王特技炎斬一閃」

獣王に対して縦に炎の波が襲う。しかし、それを魚王が必死に防いだ。

「鯨放水!!!」

高温の炎と低音の水がぶつかり、あたりは水蒸気で何も見えなくなる。

やがて竜王の吐いた炎の壁も水蒸気で消え去り、辺りは霧に包まれている。



鳥王つるの恩返し、百啄ひゃくついばみ」

つつつつつつつつつん、とあたりに鳥王が理緒を突く音が響く。

歯を食いしばって耐える理緒の体力は限界が近づいていた。理緒は一大決心をして、鳥王の嘴を掴むことに挑戦する。しかし、とても早い鳥王の動きはそれを一切許すことなく突いている。

「この七面チョォォォォォオ!!!」

やっとの思いで掴んだ鳥王の嘴を握り潰して微笑みかけた。

「私は、必ずあの場形に一撃ずつ殴んなきゃいけないのよ。邪魔しないでくれるかしら。脳天ウルトラチョップゥ!!!」

全身の体重をかけて脳天めがけて両手を重ねて下ろした。

あたりには鈍い音が響き渡る。しかし、鳥王はそれだけでは倒れずに理緒を睨み、翼で平手打ちを叩き込もうと身構えるが、すでに司会には理緒が存在していなかった。

「だからあんたは鳥男なのよ」

どこからか理緒の声が響いてくる。

「鳥目なあんたの顔を呪って地獄に帰りなさい!!!ラリアット!!!」

鳥王の死角に潜んでいた理緒がラリアットを留めに放つ。

砂煙を立てながら鳥王は地面に倒れる。そしてその体は突然空いた黒い模様に吸い込まれていく。

ずぶずぶと、どこまでも鳥王が沈んでいく気がしていた。

「とにかく、これで一匹還したわよ。後はあいつらの加勢にでも行ってやりたいけど、そんなに加勢にはならなそうな気がするわね・・・」

そう言いながら理緒はポケットから魚肉ソーセージを引っ張り出すと、袋のまま齧りだした。

ついに五王の一角、鳥王を地獄に返還すことができた理緒。そして魚肉ソーセージを友に竜太たちの下へと急ぐが、竜太たちは・・・。

一方のマリーネは・・・?

次回 第六十六話 分離【仮】

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