第六十三話 忠誠
「切り裂きジャック創設者のシャガンが封じ込めた地獄の門、獄門が存在するんだよ。それの封印を解いて門を開放したら、二つの世界が繫がるんだよ。そしたら二界統合も実現なんか簡単だよ!?それに、私を止められるものなど、何処にも居ないわけだからなぁ・・・。なぜなら、私は反逆王!!!地獄の世界の反逆王だからだ!!!」
そう叫びつつ、マリーネは偏狭の地に住む村人を蹴散らしていく。
「アッハハ~楽しいねぇ♪魔槍百突きィィ♪」
魔王も足でリズムを刻みながら道を進む。そして鳥王もまた、歩き進んでいく。
「反逆王様が行くところ、私もついていかせていただきますが・・・。こんなところに獄門が存在するのですか???」
反逆王は鳥王のほうに顔を向け怒鳴り始める。
「私は地獄の王だぞ!?私が行くところについて来ると言うのならば、黙ってついて来ればよいだろう??それとも、お前の言うことは口だけなのか!!!ならば、どこかに行ってしまうがいいわ反逆王を信じられぬ者は、反逆王の歴史的姿を見ることなく地獄で吉報を待っているがいいわ!!!」
鳥王は膝を突き、マリーネに頭を下げる。
「失礼いたしました。この鳥王、何処までも反逆王についていかせていただきます」
マリーネはその鳥王の姿を見て笑う。
「その忠誠に偽りや嘘はないといえるのだな!?」
鳥王は頭を上げ、マリーネを見る。
「はい」
マリーネは自分達の進んできた道に生えている木を指差した。と、同時に魔王も鳥王もそちらに目を向ける。そしてマリーネは口を開いた。
「ならば、その忠誠をここであらわせ。そこに隠れている毛虱を倒し、私達の後を追いかけて来い。行くぞ、魔王」
そういうと、マリーネは先に進んでいった。魔王もそれに続いて去っていく。
「じゃ、鳥王~頼~んだよ~♪おさき~♪」
残された鳥王はマリーネが指差した方向をじっと見いている。
そして、マリーネに見つかったその人もじっと鳥王のほうを見ている。
「出てきてはどうだ???そこのお嬢さん。私が反逆王様からじきじきに承ったこの指令。必ずお嬢さん、あなたを倒して忠誠を見せてやる」
林の後ろから、お嬢さん、と呼ばれているその人が出てきた。
「ちょっと・・・。いきなりあんたみたいな鳥男に出会うなんて、私も結構あたりくじ引いちゃってるのかしら?まぁ、あんたみたいな鳥男なんて、これから本部治したあとのパーティでフライドチキンにはや代わりさせてやるわ」
理緒は拳を握り締めるとつぶやいた。
「あいつらは私達より早く出て行って、何処で道草食ってるのよ・・・。ばっかみたい。やっぱ馬鹿じゃないのよ」
鳥王は鶏冠を二本抜いた。
「私は必ず忠誠を見せるのだ。この弐本の鶏冠で早々にくたばれ、手負いのお嬢さん」
次回予告
一人あとを追った理緒の前に現れたのは、竜太達仲間ではなく敵対する反逆王の仲間、鳥王だった。
果たして理緒は一人で鳥王に勝ち、本殿へと行くことができるのか!?
次回、第六十四話 鳥男〔仮〕