第六十話 降臨
あれれ、話がどんどん違う方向に向かっていきましたよ
次の瞬間、
台座が次々と塵芥となり、砕けていった。そして、地面が消滅して、白い三日月のような物が出現した。
それは瞑浄王の目玉と気がつくのに数秒の時間を要した。その目玉は上を見ていたと思うと突然竜太の方を向いた。次々と地面が消滅し、現れていく瞑浄王の姿に、その場にいたマリーネ全員が息を呑み、その先を目で追った。
目から始まった出現は口、顔、腕、足、体と止まることなく姿を現した。
そして、瞑浄王の姿が地面から消え去った次の瞬間に、竜太と同じほどの身長の怪物が竜太の頭をわしづかみにして、投げ飛ばした。
覇凱一閃ごと吹き飛ばされた竜太を目にもせず、瞑浄王はマリーネの腹部に手を入れた。痛みに歯を食いしばり耐えるマリーネを瞑浄王は玩具としてしか見ていなかった。
低くうなる声がその場所を支配する中でマリーネは残った余力で瞑浄王の頭をつかむと砕いた。
赤い肉片がそこらに散らばり、マリーネの腹部の穴を広げていた手の動きは次第に弱まり、止まった。
一瞬の間は。
眞幻想が息を吸ったそのとき、瞑浄王の頭が再び生えた。
「ふ・・ふふふふふふふふふふふ・・・。やはり、脅威の再生力はいま・・・だに衰えてはいな・・いのだな。それでこそわが本当の器。これより、私がお前の中に戻るときが来たのだ。さぁ、私と一つになろう、瞑浄王。快楽を貪り貪欲なまでな死と恐怖を求めることに特化したわが肉体」
マリーネはそう言いながら、瞑浄王の口の中に潜り込んだ。
マリーネが瞑浄王の中に消えていく中、瞑浄王の体がビクンッビクンッと跳ねる。
やがて、マリーネの体は消えてなくなり瞑浄王が、マリーネの物となった瞑浄王が理緒の頭を持ち上げた。
「これこそが終わりの始まり・・・。さぁ、悦べ。始まりは終わった。これより、私による私のための世界の創作、終わりの始まりが始まるのだよっ!!!」
そう言いながら、瞑浄王マリーネは理緒を柱に向けて放り投げた。
次々と横たわる亮祐を、紋太を、八迫を、眞幻想を投げ飛ばし、吠えた。
「形在る物は原形を留めるなぁ!!!地獄の反逆王、マリーネの命令だ!!!今こそここに、扉を開こう!!!この世界と地獄をつなぐ唯一の扉、地獄門を・・・・。第壱問、獣大門開門!!!」
マリーネが手を地面につくと、その地面はマリーネの手を軸にして円を描き始め、黒に染まる。
そしてそこに白い線で扉が創造されていく。
ゆっくり、ゆっくりとその絵は実体化して、扉を解き放っていく。
突然、絵の扉に毛深い手が現れ、その手は強引に扉を引き裂こうと暴れだす。
「あけろぉい、マリーネェ、てめそこにいるんだろぉ?とっとと開けろよぉ、そしたらさぁ俺がすぅ~ぐに作り変えてやるからさ、こっちと同じよぉーな世界を・・・さぁ」
マリーネは無表情でそれを眺めている。
「待っていろ。獣王。やがて門は開き二界統合のための五王はそろう」
門に挟まれていた手は少しの間暴れるのをやめたが、それも数秒のことでまた暴れだす。
「やぁだぁ!俺はすぅ~ぐに暴れてぇの!!!俺一人の力で成し遂げてぇの!!!ほら、俺も男だしさぁ、男として生まれたからには大きな夢の一つも持ちてぇって言うかさぁ・・・。わかんだろぉ!?マリーネェ」
マリーネはなおも表情を変えずに次々に扉を創っていく。
すでに意識を失っている竜太たちがそれに気づくよしも無く、次々と創られていく五つの門はほぼ同時に開けられた。
「やぁ、ようこそ来てくれた。獣王、竜王、魚王、鳥王、魔王。これからこの世界を滅ぼすつもりなのだが」
マリーネが説明していると竜王が口を挟んだ。
「あ・・あのっ!ご説明中失礼ではあるかと思ったのですが、その・・・あのえっと・・・気に・・・なったもので・・・。よろ・・よろしいですか?」
おどおどしている竜王にマリーネは質問を許した。
「そこで倒れてる散っちゃい子供さんたちは何なのでしょうか?あの・・・そのですね・・・」
魚王が竜王を背びれではたいた。
「五月蠅いですわ。あなた、仮にも竜王なら龍らしくはっきりと堂々としていたらどうなんですの。そんなおどおどして・・・女々しくっていらいらしますの」
それを聞いていた獣王が竜王に加担して魚王にどなった。
「おめぇ。竜王のこととやかく言うんじゃねぇよぉ。俺の竜王にこれ以上なんか言ったらお前の世界から滅ぼすかんなぁ!!」
聞き捨てなら無い魚王は獣王の方に水を吐く。
「あなた、どうしてそんなものの言い方しか出来ないんですの!?もっときちんとした言葉でないとあたくし、分かりませんわ」
それを聞いた竜王は反論しようとするが、鳥王に羽で咎められる。
「静かにせぬか。反逆王の御前であられる」
それに賛成していた魔王もうなずきながら喋った。
「皆やめヨ♪そんな意味の無い反論したって無駄だヨ♪ここは皆の意見を取って僕が全部のを世界を統一しちゃうヨ♪」
マリーネが咳払いして、五王の会話を遮る。
「そろそろ先に進めたいのだが。よいな。ともかくだ、私と着いて来て、私の命令どおりに破壊行為を繰り返してほしいのだ」
そういってマリーネは指をさした。
「最初の目的地はアレだ」
指差した先には切り裂きジャックの聖地があった。
「あの町を、壊そうと思うんだ」
五王なんて出てくるなんてぜんっぜんシナリオに無かったのに・・・。瞑浄王が出てくるぐらいでさくっと倒して終了予定だったのですが、何で!?しかも当初の敵キャラクターがほぼ全滅して、敵キャラクターが敵でなくなってるというのはどういった変化でありますかナ・・・。
さらにさらに、何であんなに五王は口調が変なのかなぁ・・・。謎ですね。
切り裂きジャックの聖地っていうのも全くのひらめきですが・・・。
なんだこれぇ・・・。本当に自分じゃ後始末がつけられない状況に陥ってないですか・・・。
普通新しい武器が出てきたらそれでさくっと終わるのが一般的ですよね・・・。
まぁ、続いちゃうみたいなんで、どうかお付き合いください。
それに書いてるのも楽しいので、そんなに間はあかないと思いますよ。
来週ぐらいにはまた続きが書かれていますよ。
ちなみに五王の最後の一人、魔王はもう、ネタ切れで出た苦肉の策です。
次回
なぜか出てきてしまった五つの地獄世界の王。彼らとマリーネは切り裂きジャック総本山を狙っていた。そこに何があるのか!!!
第六十壱話 聖地〔仮〕