第四十八話 木偶
いくつ者剣が竜太を襲っていた。
眞幻想は新しい血族の首領であり、多数剣使いだった。
一本の剣を弾いているとほかの剣に切り刻まれる。
竜太は思い切って一つも弾かずに眞幻想に突っ込んでみた。
結果が、蹴飛ばされて剣の嵐に逆戻りだった。
すでに切り裂きジャックとしての創造は使っていた。
しかしそれも立体化する前に消失させられてしまう。今の竜太に出来ることは何もなかった。
かといってこの状況、救援が望める見込みもない。
理緒はすでに三人を引き受けてくれているし、残りは戦力外というか、敵の戦力となっている分けだし、この状況を一人で切り抜けるのにはかなり以上の無理がある。
さて、どうしたものか。
竜太はふと思った。
「待ちなさいよ、この陰湿根暗の人形友達の寂しい大人ぁ!」
理緒は叫びながら止まってくれる相手ではないだろうと思った。
実際に、止まってくれない。
まぁ、こんなもんだ。悪の敵~なんて。だから私は実力でねじ伏せる方法へ移す。
まずは小道具、小石を指で弾く。
でこピンの要領で。
ただし、力加減なく思いっきり。
「おちろぉぉぉぉぉぉぉ」
小石は親鸞霧の肩を貫いた。
痛みに耐えかねた親鸞霧は下りた。
「こ・・・小娘・・・。ひいぃぃ!」
すでに親鸞霧は理緒との戦意を喪失していた。
つい先ほどアイスの恨みを晴らされたばかりだから。
あの馬鹿力を見せ付けられてしまったら戦意喪失もうなずけるというものだ。
「戦わないんならおとなしくだまってなさい!」
思いっきり鳩尾にこぶしを叩きこんだ。
やっとその場に到着した彼、幻柳駄由が見たのは口から泡を吹いて気ぜつしている親友の姿だった。
「し・・・親鸞霧!」
幻柳駄由はその場でひざを着いた。
誰が友をこんな目に合わせたのか。
あの女か。
あの女が俺の大切な友達をこんな姿にしたのか。
許さない。許さない。ユルサナイ
幻柳駄由は憎悪の力で少女をひねりつぶすことを決めた。
「許さない」
トンッと隣に誰か降り立つ音がした。
「蝶微茨。俺があの女始末するからお前は親鸞霧の様子みててくれるか?」
蝶微茨はうなずいた。
もともとしゃべるような人物ではないからだ。
仲間の許可を得て、幻柳駄由は敵討ちという目的で少女を探しに行った。
次回、親友、親鸞霧を倒された幻柳駄由は蝶微茨の許可を得て理緒を倒しに出陣する。
一方竜太は防戦もままならぬ中で眞幻想との決着をつけようとしていた。
第四十九話 最強