第四十四話 交差
声をかけた親鸞霧は幻柳駄由の方へと倒れてきた。
「だいじょぶかよ、まさかあんな弱っちいのにやられたんじゃないよな・・・」
親鸞霧は呼吸を整えてから幻柳駄由の質問に答えた。
「木偶は万全だった。恐ろしいのはあの女の異常なまでの食欲と女性ではありえない数値の戦闘力だ。気をつけてくださいと眞幻想様にお伝えしろ。たのんだ。しばらく休んだら俺は世界木偶化に入る・・・から・・」
親鸞霧はやっとのことで言い終えて、昏睡状態に入った。
「マジかよ。お前ほどの木偶使いが今時のへなちょこ少年少女に負けるのか」
幻柳駄由も事の重大さに気がついていたので今回だけは会話をあえて邪魔しようとは考えなかった。
今回だけは。
「眞幻想様、どうやら少女と少年の木偶化は失敗に終わった模様です。次は、いかがなさいますか」
幻柳駄由は眞幻想に報告に来ていた。
眞幻想は面白そうに報告を聞いていたが
「ここに向かってくる野蛮人を始末してきてくれるかな。石版、持ってるからそれは壊しちゃ駄目だけど。名前は、マリーネ、だよ」
眞幻想は扉の奥を指差していった。
「行ってらっしゃい。きちんと帰ってきてね?」
幻柳駄由は次の瞬間には外に出ていた。
「さてと、もうここに手がかりがない以上どうするかを考えなくちゃいけないわ。考えられそうな有能な人材はもちろん私一人な訳だし。とりあえず歩き回るしかないわね。おいこら、竜太商店街に聞き込みに行きやがるぞ」
理緒は竜太の襟を引きずって商店街の方へと歩いていった。
「誰も、ここには居ないのか・・・」
竜太は事の重大さにやっと、ようやく気がつき始めていた。
それと、なぞの敵にも。
「さてと、これで幻柳駄由が負けようがマリーネの進行方向はこちらなわけだし、どちらにしても石版はてに入ることは間違いない。それで最後はここに瓦礫となって残っている最後の石版の復元だけとなった。これは難しい・・・」
眞幻想は一人いすに座り、机の上におかれている瓦礫の山を見ていた。
「僕は剣を使うのが得意なだけで、復元は本業じゃないんだけどな・・・。まぁ、何でもできる僕たちこそがこの美しい地球の声を聞き取ることが出来たのも何かの縁であろう」
その言葉が終わると同時に眞幻想の手の中には一枚の石の板、石版が存在していた。
「これで、三枚そろってこの美しい地球をリ・イマジネーションできるんだな。がんばろうか。最終局面はもう間近なのだから」
眞幻想の目的は一つ、地球の再構築。および人類の完全なる駆逐。