第三十九話 世界
なんだか、話がなかなか進まないのでさらにマリーネの話の完結予定篇を組み込むことにしました。
石版の話の前編後編と、世界が敵になる話とマリーネ完結篇の四本の話で急遽一本創ることになりました。
これでも話はなかなか進みそうにないだろうと思いますが、お付き合いいただけると幸いです。
それと、最近タイトルが変だなと思いまして、いいの考えてるんですが、なかなか気に入るのが見つけられないなぁ・・・。と思っております。
それと、この章【?】から、一本の話で一つの決まりを設けました。
副題は、一本の話で決まりをつけるということ。
今回で言うなら、全部漢字二文字で決めています。
たまに例外があるかもしれませんが、この決まりは続けていこうと思います。
以上です。
前がきおわりっ
第三十九話 世界
誰もいなくなった切り裂きジャックの本部では、地獄から動き出した彼がいた。
動き出すのは、この存在。
「こっけい・・・。これは真に滑稽。彼らの新しき場所はそれを越える新しきものによってすべて奪われる。」
彼は大きく手を開き、天を仰ぎ見る。
「この青き晴れ渡る大空も時期に彼らの手により見れなくなってしまう。今のうちに仰いでおかねばならぬ。さぁ、この宴にはもちろんワタシの席はあるのであろう。宴に入れてもらうためには手土産が必要かな。どう思う?豪火龍。ワタシは手土産はあいつらの首がいいと思うかなぁ・・」
彼・・・・地獄の反逆児マリーネがそこにはいた。
そしてその腹部に収まっている豪火龍は口を開く。
「私は主であるあなた様に従うのみです。どうぞワタシを戦力の一部とお考えください。マリーネ様」
豪火龍は豪火龍らしからぬ答えを発した。
「マリーネ様、早くしなければつきが落ちてきてしまいます。急いで首を持ち寄り、宴の会で其れを止めてもらわねば大変なことになってしまいます」
天を見ていたマリーネはぐるりと首を百八十度回転させ、其れを見る。
「グングニル。そうか、お前はそう考えるのか。ならば、地獄道具のストックはいいのか・・・」
グングニルはマリーネに邪龍魂剣を渡し、うなずく。
「宴はもう始まります。残る切り裂きジャックの少年少女を、狩りに行きましょう」
マリーネ、豪火龍そしてグングニルは都市部へと向かって歩き出した。
「宴なんて久しぶりだねぇ・・。ワタシはうれしいよ。グングニル」
マリーネは、空へと消えた。
「あぅぅ・・・」
コンビニの前で竜太は大きなため息とも奇声とも取れる声を上げて歩いていた。
制服姿で。
何せ今日は竜太の学校では期末テスト成績表返しだったのだ。
学生にとってもっとも恐ろしい恐怖の日とも言っても過言ではないだろう。
そんな日だから、竜太はいつにも増して暗い。
今日も本部へ行ったらみっちりとしごかれるのであろう事は容易に予想がついた。
だから、今日は行きたくないけれど、本部の復興作業もはかどらないみたいなので手伝わないわけにも行かなくて・・・。
「あぅぅ・・・」
スーパーの前で竜太は大きなため息とも奇声とも取れる声を上げて歩いていた。
「きひゃひゃ・・・。ナナノキリサキジャック、みぃつけたぁ・・」
どこか高いところで声がした。
そして其れは、大きな刃物を竜太に投げつけた。
「あぅぅ・・・」と大きなため息とも奇声とも取れる声を歩いていた竜太の一歩前に刺さった。
竜太は鈍感だったがお命頂戴仕る!な事に気がつかないほどお馬鹿で鈍感でどうしよもなく駄目人間ではなかった。
らしい。
とっさの判断で走り出した竜太を高いとこから見つめるマリーネと小さい小人。
「これが地獄道具、暗殺の妖精」
マリーネが腹を抱えて笑っている。
そして右手の人差し指を竜太に刺して、叫んだ。
「死ね」
「今日は、バーゲンがないわね。たまにはまっすぐ家に帰ろうかしら」
理緒が自分の体の三分の一もあろうかというアイスクリームをバックバックと食している時だった。
突然、理緒の持つアイスの半分が地面に落ちた。
トッピングを全部かけて、四桁出して買ったアイスクリームの半分が地面に落ちた。
まだ、ぜんぜん食べてないのに。
それが、落ちた。
理緒の立っている反対側のビルの上で、グングニルが、叫んだ。
「お前も死ぬべきだぁー!切り裂きジャッック!行け、切り裂け、斬魔士!」
決して見えることのない、視角に立っていたはずのグングニルが、寒気を感じた。
その寒気の先は、決して見えるはずのない少女から発せられたものだった。
「ま、まさか!」
目の前には、斬魔士の亡骸が横たわっている。
「あたしのアイス・・・・・」
寒気の正体が今、グングニルの背後にいた。
「あたしの・・・アイス・・・・」
手には斬魔士の持っていた一般に言う、日本刀。
「あたしのアイス・・・・・・」
少女の目はグングニルを見ていなかった。
というか、どこも見ていなかった。
「あたしのアイス。ねぇ、あたしのアイスはどこに消えちゃったのかしら」
いつの間にか、グングニルの首筋からは血が流れている。
「あたしの、アイスが落ちちゃったんだけど。あなた、知らない?まさか、あなたが落とした分けないわよね、まさかな・・・」
グングニルは蛇ににらまれたかえるのように動けなかった。
まさかここでワタシの作戦ですなどとはどうしてもいえない。
言った瞬間にどうなるかがわかっているから。
「デモね、ワタシこいつら一度前に見たのよね・・・」
斬魔士をにらみながらつぶやく少女。
「だからね、あなたがあたしのアイス、落としたってことでしょう・・」
にこりと笑い、目の焦点がやっと合い、グングニルと目が合う。
「落とし前つけろや」
よくあることだ。
にこりと笑っているが、まったく持って目が笑っていない。
このとき、グングニルは最後に考えてしまった。
『食い意地が張っている少女は、どんな女よりも、魔人よりも何よりも恐ろしい。決して敵に回してはいけなかったんだ・・・。』
次の瞬間、グングニルは地上から消された。
アイスの恨みは、少女から買ってはいけない。
「死ね」
マリーネの叫びで、小さい小人は竜太に切りかかるために走り出した。
これから、石版の話と、マリーネの話と、世界の話を一気に進めて終わらせるのも大変そうですね。
なんて他人行儀ではいけないでしょうね。
では、これから週一、最低でも二週間に一本の更新速度でよろしくお願いします!!!!!!