第三十七話 対峙
その日、竜太は学校にいた。
「どうした平田、ローマ字で書くことすらできないのか」
英語の筋肉教師に怒られる。このセンセ、体育のセンセより体が体育会系だから世も何があるかわからない。
そんな他愛もない問題はおいといて、本当のこの問題がわからない。解けない。
一体全体どうやってコンプーターをローマ字で書くんだろうか。そもそも、コンプーターじゃないのかもしれない。その前に、ローマ字って何なんだろうか・・・。
誰も知らなかった。コンプーターが実はコンピューターということを、読むことを、書くことを。
そして、ローマ字とは小学校の中学年ぐらいのないようだということを。
まだまだ竜太の休日特別出向日は終わりそうもないのだった。
英語のセンセからしてみれば、今日中にこの英語のレッスン一だけでも終わらせたいのだが。あと十分で。始まりのページで戸惑っている竜太に無理やりにでも。というか、始まりのページですでにつまづくってこの子はいったい何なのかしらと疑いたくなる。
そんなに私の教え方って、悪いのかしら・・・。英語の教師【女性】は考えてしまった。
ちなみに、体育のセンセは女性ではなく、男性だ。
「ねぇ、このフリルの付いたワンピ、可愛くない?」
うん。と頷いてみるものの、いかんせん理緒はオサレと言うものがわからない。しかし、理緒は自分で自分を弁護する。
だって、興味なかったし、スパイ仕事のほうが大切だったし。
ファッションなんて、雑誌を見てもわからないだろうと自分でも思う。レディがこんなことではいけないだろうとは思うのだが。お嫁に行くにしても、生活するにしても。
さらにここで理緒は自分を再度弁護する。
友人といるのは楽しいことだし、無理に深く考えても無駄だろうなぁー。
自分を正当化してしまった。
オサレしなくても死なないし、旦那さんになんか言われたら腕で返して差し上げればいいのだし。今はオサレよりも戦力が必要なときだし。
とにかく、今を楽しめばいいだろう・・・。
と。
八迫は一人刻一刻と近づいてくるアレに気がついていた。
しかし、これを知らせたところで自分たちに出来ることはないので不安や恐怖を呼ぶだけだろうと思い、黙ることにする。あいつに行ったらぎゃぁぎゃぁうるさくて面白そうだが。まぁどうせ、誰も気がつかないだろうし、と。
ここの所ずっと研究しっぱなしだったので、気分転換にと、外へ出た。
たまには体を動かすのもいいのかもしれないなーと思いつつ。
只それだけだったのに、ふと目をやったそこは、悶太が外で見知らぬ怪しい、銃刀法違反してそうな所有物を持ったいかにも怪しいおっさんと対峙してるのを見てしまった。
男は大きな剣をぶんぶん振り回している。
気がつく前に、八迫は外へとガラスを割った飛び出していた。
どうせ、立て直すのは俺じゃないしと思いながら。