第五十一話 竜魂の持ち主
竜魂剣には、三人の持ち主がいた。
一人が桐原須藤
一人が平田竜太
第五十一話 竜魂剣の持ち主
暗黒守護者≪ダークガーディアン≫との死闘が終わった本部ではのんきに本部復興作業が開始されていた。
もっぱら仕事をするのは竜太だ。他の四人は、四人がかりでちまちました作業をしている。
三分おきに二分休んで。
そんな平和な日が流れる中で、一人のちびっ子放浪者がやってきた。
ちびっ子放浪者は、剣を鞘から抜くと、屋根の復興に取り掛かる、竜太に切りかかった。
竜太は待ったく気が付かず、ちびっ子放浪者に背中を向けている。
「怪力人間投げ!」
理緒は、亮祐を放浪者に向かって投げた。
「アドベンチャラー叩き!三連劇場版編スペシャルEX。」
ちびっ子放浪者は地面に叩き落された。
「邪魔をするな・・・・。切り裂きジャック。僕が戦いたいのは俺の剣を盗んだあいつだ。」
ちびっ子放浪者はくるりと竜太のほうを向くと、叫んだ。
「僕の名は、影月!お前が持つ竜魂剣の持ち主だ。」
悶太がお茶を運びつつ、八迫に聞いた。
「竜魂剣の持ち主って須藤じゃないの?」
影月と名乗った悶太と年月が変わらない少年は悶太のほうを向いて叫んだ。
「奴も僕から剣を奪っていったんだー。」
その目は涙目だった。何かしら同情してしまった悶太はとことこ歩いていって肩をポンと叩いていった。
「わかるよ。その気持ち。僕も物がなくなったとき、竜太が取ったんじゃないかって疑いたくなるもん。」
影月はそういった悶太の手を振り払った。本部に増設させた縁側で理緒、八迫、亮介の三人は声を潜めて、更に息を飲んだ。
「軽々しく僕に触るな。剣使い族の長の息子で里一番の剣の使い手の僕に。お前、まだ小学生だろう。」
厭々しく笑った影月に悶太はライバル心むき出しで、言った。
「ふん、君だってどうせ小学生じゃないか。」
そっぽを向いてつぶやく悶太に影月はにやりと笑ったままで答えた。
「残念。剣使い族は寿命が長くて、見た目も若いんだ。僕はこう見えて、三十二だぞ。」
八迫は後ろを向いたまま、つぶやいた。
「精神年齢は小学生じゃねえかよ。いい大人が小学生相手に向きになんなよ。」
そういい終わると同時に影月は付け足した。
「ちなみに剣使い族は地獄耳なんだ。其処のへんてこ髪のお兄さん。何か言いました?」
竜太がやっとこさ降りてきたのはそのときだ。
「剣使い族の長の息子で、里一番の剣の使い手の僕をを馬鹿にしたなぁ・・・・・。」
切りかかっていった。
「長の息子が短気じゃ里がつぶれるわっ。」
缶コーヒーの空き缶を投げつけた。
ちょうど竜太が来た。
「あ、お客さんですか。どーぞごゆっくり・・・・・ヴぇヒィーモォース!」
影月の峰打ちが右の頭に、缶コーヒーの空き缶が竜太の左頭に。
「りゅーたーおっきろー。」
理緒が氷水をぶっ掛けた。
「ヴェッヒーモォース!」
目覚めた。
「僕の剣、竜魂剣、返してもらぞ。」
竜太は悶太から竜魂剣を渡された。
「じゃ、勝たないと、あの剣は返せよ竜太。」
八迫から言われしぶしぶ戦闘をする事になった竜太君。
「行くぞ。」
影月が走り、切りかかる。
竜太が竜魂剣を適当に振り下ろした。峰打ちだ。
カッコーン。といういい音が本部跡地に響いた。
「ヘギュンダー・・・・。」
影月は・・・三十二歳のいい年こいたおじさんは倒れた。
「竜・・竜銅剣をもってしても勝てぬとは。不覚也・・・。」
背中で何かを語って、影月は、去っていった。
去り際に言い残して。
「最近始まった、全冥王を束ねるデルガゾーネの切り裂きジャック狩りに気をつけろ。」
そういい残して。
影月が去り。
「そういえばサー豪火龍。」
竜魂剣から半身を出した。
「何でございますか。」
「あいつ知ってる?」
「ぜんぜん知りません。」
竜太は立ちすくんだ。
「じゃ、何で竜魂剣のことを・・・。」
亮祐が会話に加わる。
「それにあれで里一番の使い手だって・・・・。」
理緒が笑いながら加わる。
「里が襲われたら大変だって・・・・・。」
悶太が胸を張っていう。
「あいつが先にやられろ。」
まだ根に持っているらしく、悶太はそうつぶやいた。
八迫が止めを刺した。
「竜銅剣もありゃ、偽者だったしな。」
豪火龍も加わった。
「我に兄弟など・・・・一本・・・・。龍銀剣が。」
そういったが、誰も聞かれていなかった。
「我の力を吸い取り強くなる、龍銀剣が、まだ作り主のもとに・・・・。」
豪火龍は実体のない体で歯軋りをした。
一人が、影之影月