第二十六話 暗黒守護者先手必勝
これにて、暗黒守護者の話し終わり。
前回は、なんと五十回だったので、今回は五十回突破記念スペシャルで、暗黒守護者の話を一話で終わらせます。短いんじゃなくて、長編をいつもは何話にも分けていたんですが、今回は、それを、一話に全部入れました。どうぞ、ご覧下さい。それでは、本編、どうぞ。
第二十六話 暗黒守護者先手必勝
「え・・・・。」
竜太は聞き返さずにいられなかった。
「もう一度言うぞ。この本部の真上にぃ。」
そこまでで亮祐の言葉は終わった。
暗黒守護者が、攻撃を始めたからだった。
「でてこい。切り裂きジャック。吾を封印した忌まわしき偽善者め。」
そう言った暗黒守護者は、本部の屋根に穴を開けた。
「行くしか・・・無いなあ。」
八迫は缶をつぶした。
「俺等はここで、理緒は個室で変身だ。」
「へんしーん。」
亮祐は、上品に悶太と自分の下半身にタオルを巻き付けた。
「さあ行くぞぉう。」
竜太は張り切って叫んだ。
「変身。」
竜太の服は透けて・・・・風が吹き付けて・・・・以下略。
竜太と悶太は暗黒守護者をみて驚いた。身長が二百センチ以上逢ったからだ。
「ほほう。やっときたか。七分三十秒のロスだなあ。切り裂きジャックよ。」
暗黒守護者はそう言うと、手から暗黒力で空気を小さく圧縮した。
「この空気が元の大きさに戻ろうとすると、ふふ。はじけろ。空気爆弾。」
「竜撃手、久々の登場だ。想像の力、キラキラ輝く太陽!そして久々、デカ黒子ビーム!」
久々登場のビームは跳ね返され、竜太は別の場所に穴を開けることになった。
「ムウ・・・・・。」
竜太は気絶した。
「八迫、行くぞ。」
亮祐は、手にアドベンチャラーを持ち、八迫と突撃した。
「ダブル、串刺しKUSIZASHI!」
「雷撃砲飛礫援護。」
悶太は、トラベラーで援護した。
「怪力長剣汀本土風。」
理緒も、つっこんでいった。
暗黒守護者はにやりと笑った。
「フハハハハハハハハハハハハ。弱い。初代の半分の力もないのではないか。これなら、第一形態でもありまるわ。暗黒地獄火炎。」
本部の上が火の海になった。
「亮祐、避けろ!」
炎の中から八迫が叫んだ。
「何?」
聞こえなかった亮祐は聞き返した。
「上だ、上に奴が・・・・。」
「暗黒砲。」
その方眼のような物が放たれると、亮祐の腹部に直撃した。
「うがぁっ。」
亮祐が屋根で倒れると、暗黒守護者がその前に立った。
「ふはははは。二人目。」
そう言うと亮祐を鷲掴みにした暗黒守護者は、たたきつけようとした。しかし、そこに、飛礫が当たる。
「亮祐を離せぇ・・・・。」
悶太がトラベラーで攻撃していたからだった。
「こやつは、おまえの大切な奴なのか。」
尋ねられた悶太は、うなずく。
「そうか。ならば・・・・殺してやろう。」
そう言い終わる前に、亮祐を投げつけた。
「ぐふう・・・・。」
亮祐は、動かなくなった。
「汀抜刀一文字!」
理緒が背後から斬りかかろうと、かまえたその時、暗黒守護者の尻辺りから尻尾がでてきて理緒をつかんだ。
「貴様も同類。」
そして、本部の中に思いっきりたたきつけた。
「悶太、逃げろ、早く。」
そう言った八迫は、本気で長刀を振り下ろした。
「無駄な。」
にらんだ暗黒守護者は、覇道で八迫を吹き飛ばし、悶太をみた。
「お前で最後だなあ。一文字悶太。」
暗黒守護者は、そう言うと、竜太が作った太陽に手を伸ばし、握りつぶした。
「暗黒太陽槍《ダークネスサン=グングニル》。」
そう言った暗黒守護者は、悶太の首に槍を当てた。
「さあ、死ぬか、吾の仲間になるか。決めろ。」
「僕は、暗黒守護者の・・・・」
暗黒守護者は不気味な顔で笑う。
「お前は吾の・・・・・。」
悶太はうつむいていた顔を暗黒守護者に向けた。
「仲間じゃない、切り裂きジャックなんだ!」
トラベラーをかまえると、飛礫をもう一度撃った。
「仲間ではない=死だ。良いのだな。」
背後に瞬間移動した暗黒守護者に悶太は言った。
「僕は切り裂きジャックなんだ。」
「残念だ。お前なら、家臣になれそうだったのにな。」
ぎょろりと眼を悶太に向け、腰を曲げて目線を逢わせると、つぶやいた。
「お前もたたきつけてやる。」
右手で捕まえると悶太をたたきつけた。
「ウギュウ・・・・・・・。」
「アロロロロウイ。【主を良くも】」
暗黒守護者の足下で竜撃手がかまえていた。
「アロウワロイサン。【斬る・・・・斬る!!】」
「ふん、そう噛みつくな。弱気者よ。槍一閃。」
「ア・・・ロロウ・・・。【いつ・・・のまに・・・】」
「これで、切り裂きジャックは全員ですねえ。弱い・・・・・それにしても、そこの小僧が吾の配下でないところに納得がいかない。」
瓦礫が崩れる音がした。暗黒守護者がその音を立てた方を向く。
「ほう、まだ立てたか。骨を折ったつもりだったのだが、手加減しすぎだったようだ。」
「当たり前だ。まだ終わってないから。お前に勝つからな。」
瓦礫から立っている人間に向けて、暗黒守護者は羽を広げた。
「では、敬意を表して、吾は第二形態にならせてもらう。平田竜太、栗柄八迫、中片亮祐、アルティメットインビンシブル暴力女。」
「ちょっと、何で私だけコードネームなのよ。」
暗黒守護者は口調を変えずに言った。
「本名を知らないからだ。」
「じゃあ、体にたたき込んでやるわよ。」
暗黒守護者は、理緒の背後に立ち、耳元に口を付け、つぶやいた。
「遠慮、する。」
そう言うと、空高くにまい、腹部にある口を開けた。
「暗黒太陽槍《ダークネスサン=グングニル》乱射刺。」
竜太は、それをみると、ジャックを空にかざした。
「地獄道具死者の面、装着っ!」
竜太はそのまま、暗黒守護者の背後に立った。
「我が家ともいえる場所を破壊し、そして、我が家族同然の物を傷つけるその行為、万死に値する。その罪を、死で償ってもらおう。反竜魂剣無惨斬り。」
竜太は暗黒守護者を何度も斬りつけた。何度も何度も。
「ぐふあぁ・・・・・。」
暗黒守護者の手から槍が放れた。
「許さぬ・・・切り裂きジャック。」
暗黒守護者の体が変化していく。
「第三形態をお披露目だ。ありがたく思え。暗黒太陽槍《ダークネスサン=グングニル》は、我が矛となった。暗黒太陽悪魔剣《ダークネスサン=デビルソード》・・・・・・・。」
「まだ、生きようとするか。貴様の罪、償う気はないとみて良いのだな。ならば、死してなお、殺してくれよう。豪火龍、反竜魂剣にとりつき、奴を殺し、殺すのだ。」
竜太を、八迫、理緒がみている。
「これで終わると思うか。」
八迫が理緒に聞く。
「そろそろ時間よ。無理だわ。」
「おい、そろそろ良いか。」
亮祐が八迫に言った。
「ああ。悶太はおいてきた。」
竜太を八迫、理緒、亮祐がみている。
「世の罪を、償ってやろう、反竜魂剣無惨不死無斬り。」
「悪魔守壁。」
暗黒守護者は名前の通り、防御した。
「防ぐというのか。ならば、最大出力で・・・・。へぺろん・・・・。」
時間がきて、竜太は床に倒れた。
「賭の通りだ。」
八迫は笑った。
「本当ね。」
理緒が汀をかまえて言った。
「ビーストレイク、出来た。」
亮祐が、言った・・・・・?
「な、悶太何でここに?」
亮祐が言った。
「僕だって頑張らなきゃいけないんだ。」
悶太がなきべそをかいた。
「駄目?」
亮祐は負けた。
「では、死の覚悟は出来たか。」
暗黒守護者が、後ろで立っていた。
「皆そろって我が城の召使いとしてやる。ありがたく思うが良い。さあ。暗黒の地獄へ堕ちろ、悪魔剣悪魔流切り!」
まず、悶太がねらわれた。暗黒守護者の見開かれた黄色い眼にねらわれ、悶太は動けなくなった。そして、少し失禁した。これは、決して誰にも言わないだろうと思うが。
「さあ。我が城の家臣一号は一文字悶太、お前だぁ。覚悟しろ!」
暗黒守護者が剣を振り下ろした。
「させるかあぁぁぁ!」
すかさず悶太と暗黒守護者の間に亮祐が入り、ビーストレイクのアドベンチャラーで止めようと、悪魔剣の刃にアドベンチャラーの刃を当てた。
「理緒、今だ!」
亮祐の必死の叫びで、理緒が、暗黒守護者の角に斬りかかる。
「怪力剣汀全開転最大出力斬!」
暗黒守護者の角から、汀から、火花が散る。
「じゃまをしおってぇぇぇ。小賢しいわあああ!」
暗黒守護者が大口を開け、顔を動かした。理緒は急激な動きではじかれたため、屋根に落ちる。しかし、その背後から八迫が長刀を持って迫っていることに暗黒守護者は気が付いていなかった。
「こっちを向け、鮟鱇守護者!」
暗黒守護者は、八迫の方を向いた。
「世の名前を侮辱したなあぁぁぁぁぁぁあぁぁ。」
八迫がにやりと笑って、暗黒守護者の口に、鋼鉄長刀をぐりぐりと入れる。
「ほざががぎぎがああああああああああああ!」
亮祐のビーストレイクに当たっていた悪魔剣を八迫の顔面に、つかを使い、たたき込んだ。八迫の額に当たり、吹き飛ばされる。
そして八迫の周りにはいつの間にか噛み砕砕かれ、ボロボロの鋼鉄長刀が散乱している。
「ぐ・・・だ・・ぁ」
亮祐の方に、暗黒守護者は振り向いた。
「貴様の順番だ。暗黒突破。」
暗黒守護者の拳が亮祐にたたきつけられた。
「へ・・びゃ・・・・。」
亮祐が飛ばされ、ビーストレイクもまた、暗黒守護者によってはじき飛ばされる。
「さあ。僕の手に掛かって、僕の城に落ちろ。暗黒夜闇斬。」
また、悶太に剣は振り落とされた。
カキキキキキキキキキキキン
銃声が、暗黒守護者の手から、悪魔剣を落としていた。
「手を・・・出すな。」
その声は、七の妄想の切り裂きジャック平田竜太だった。
「ビーストレイク竜魂の太刀。」
竜太が手にしているのはビーストレイクに竜魂剣を取り付けたものだった。
「ビーストレイク竜魂之太刀 火龍抜刀 火険炎陣竜吐息。」
ドラゴンレイクとなった元ビーストレイクと、竜魂剣が、暗黒守護者に向けられた。
「いい加減終われ!」
竜太は引き金を引いた。
火険炎陣竜吐息が、暗黒守護者の脳天に発射された。
「それに当たってしまえば吾は終わりだな。だが、吾はまだ終わらない。暗黒の玉がある限り。ここにきて正解だった。暗黒の玉が放置されていたからな。これを使えば、伝説の宝装備鎧暗黒が装着できる。この吾のための鎧が。さあ暗黒の玉よ。吾に力を。吾に鎧をおおおおおお!」
火険炎陣竜吐息は暗黒のオーラに消された。変わりに、巨大なオーラが、屋根を壊していく。
それが、三分二十七秒続いた。
それが、永遠にも思えたような気もする。
けれど、竜太には、何かしなければいけないとしか思わなかった。
「さあ。ファイナルタイムだよ。切り裂きジャック。君たちにもこの力を分けてあげよう。全てが回復していた君たちの方が、面白いからね。さあ。全ての傷が癒え、リセットされた戦いへと・・・・・。吾にうち勝つ力を見せてくれ。切り裂きジャックよ。ゴヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ!」
暗黒守護者がさらに巨大化した。
「さぁ、私と遊ぼうよ。永遠の闇の中で・・・・。」
ふと気が付くと、竜太の右には、八迫、理緒が。左には、亮祐と悶太がいた。
竜太はドラゴンレイクを解体して戻した。
八迫には、素手で戦ってもらおう。
暗黒守護者の腹部が開いた。
「永久の闇への誘いだぁぁぁぁぁぁ!」
強風で、切り裂きジャックは、暗黒守護者の体内へと吸収されてしまった。
暗闇の中、竜太は立っていた。
何も見えない。
みようともしない。
だって、自分はただの中学生だもん。
切り裂きジャックなんかじゃないんだもん。
自分でやりたくてやってる訳じゃな・・・・。
そこで竜太は自分の頬を叩いた。
「何・・・・言ってるんだ。」
自分が何を言っていたのか、信じられなかった。
自分は楽しかったはずだ。仲間がいて。
だったら、ここからでて、のんきにお茶でもすればいいじゃないか。
そうだ。ここからでれば。
竜太は覚悟を決め、想像した。
全てを見通す太陽の眼・・・。
その目で、四人見えた。
八迫が幼児対抗してしまっている場所。
亮祐が、老人になってしまった場所。
理緒が、泣き虫になってしまっている場所。
悶太が、体育座りでべそをかいている・・・これはいつもとかわらない。
「太陽の地図。」
竜太は腹部にいた。
そして、理緒は右腕、八迫は左腕、亮祐は右足、悶太が、暗黒守護者の手中。手の上で気絶させられているようだ。
「まずは・・・亮祐からかな。」
竜太は竜魂険を片手に、右足に向かって地図をもう片手に進んだ。
ここからでて、のんきにお茶するんだ。
右足に行くと、竜太は腰痛に悩まされた。
なんだか、さっきまで剣を持っていた手が重くて、剣を杖代わりにしている。
「亮祐ぇ・・・・・・亮祐ぇ。」
呼んでみた。
「何じゃああ。人の名前を長々とぉ。」
亮祐も、アドベンチャラーを片手に立っていた。
その後、右腕で泣きながら理緒を。左腕では、子供同士、真剣を使って勝負をした。
ようやく、腹部に戻ると、話し合った。
計画ではこうだった。
「悶太を助け出してから、頭を叩く。竜太に全ての力を集中して。」
早速、実行した。「悶太ああ。悶太あ。」
亮祐が叫ぶ。
「お前は・・・・つぶしてやる。」
暗黒守護者が巨大化した手がつぶそうとしている。
理緒が怪力で悶太の吸収されつつある体を抱きかかえて引っ張った。
「良いわよ。」
頭の上に理緒が叫んだ。
「分かった。」
竜太が、手で丸を作る。
「集中して、入れろおお。」
亮祐が逃げながら叫ぶ。
「ぐぐぐうううううううぅぅぅうぅう。」
八迫がジャックの力を入れる。
「行け。竜太。」
八迫が倒れ込んでいった。
竜太が、竜魂剣と、ビーストレイクと、汀を一つにさせた巨大な剣で、死者の面を着けて、暗黒守護者の頭を切った。
「世の二つ目の家を壊した罪だ。」
暗黒守護者の首が落ちた。
シュウウウウウウウウ・・・・・・。
暗黒守護者の体が溶けていく。
「吾が・・・強・・・・・・ジャック・・・殺・・・。」
暗黒守護者にようやく勝った。
「やった・・・・・。」
亮祐が、地面で倒れ込んでいった。
「やっとね・・・・紅茶でも入れようかしら。」
理緒がため息混じりで言う。
「ふん、先に本部直すこと考えろよ。それからじゃないとお茶出来ないよ。」
八迫が馬鹿にした顔で言った。
「ま、あいつにむち打ってやってもらうか。」
八迫が再び口を開いていった言葉は恐ろしかった。
「ま、今日は良いんじゃないの。」
悶太の寝顔を見ながら、亮祐はほほえんだ。
「やっと終わった。」
風が良く当たる生き残りの屋上で竜太は青空を見た。
「これにて終幕。」
これでようやくお茶が出来るよ。
俺は、早く昼寝もしたいな。
ちゃんちゃん。