第四話 一階栗柄八迫
竜太 ・・・・階段、どんだけー。
八迫 エンブレムコーヒーはおいしいって所だけが共通点だな。
黒八 ふむ。地獄雷使いの吾も納得の十点満点だー。
八迫・黒八 はっ!
八迫 こんなところで和んでなんかいられねエー
黒八 同意だああああああ!
竜太 八迫おー。まだ付かないよおう
和呼之 想像の力使えよ。想像の切り裂きジャック。
竜太 賢ーーーーーーーーーい
第四話 一階栗柄八迫
黒の切り裂きジャック存在しないシロ 栗柄八迫の階 数分前
カシュー。
二本目のエンブレムコーヒーの缶が、音を立ててあいた。それをとてもおいしそうに八迫は飲み干して、缶を廊下に放り投げた。右側の壁には悪の侵略者だというのに矛盾したポイ捨て禁止のステッカーが所狭しと貼られていた。扉が開け放たれた。
「どーぞー。飼育者改め先生・・。ちょっとしびれる雷のお部屋ですよ。」
八迫は、黒いお面をかぶり、鎌を肩に掛けている自分の姿を見て、いらついた。
「おい。俺。いつまで昔の名残でいるんだよ。とっととその醜い仮面、はげ。」
鞄からダガーを取り出すと、三本目のエンブレムコーヒーを飲み干して、その底にさした。
「あいにく、なれているものは落としちゃってねえ。これで十分だから、これで。」
鎌を持った八迫は、白い粉を周りに振り、八迫にすら分からない言葉を唱え始めた。
それがひとしきり終わるとやっと、普通の言葉でしゃべり始めた。
「地獄の門番より開閉の許可を。真っ暗地獄の冥府の釜で鍛えられし魔刀呼ばれれしその釜を、今この手中に。ベクルゼルッ!」
その瞬間、八迫は見た。鎌の姿がノイズ状態になり、奇怪な音を発しているのを・・・。
「地獄の昆虫、マゾーデ!」
八迫は、自分の影が無くなったのに気が付いた。
「おい。俺の影をどこにやった・・。」
鎌を振り下ろしつつ、黒の八迫は答えた。
「マ・ウ・シ・ロ。キヒヒ。」
バッと後ろを振り向くと底には真っ黒の八迫の姿があり、その真っ暗の手で首に手がかけられた。四本目のエンブレムコーヒーが、鎌にびったりとかかった。
「うぐぐうぐううぐぐっぐぐぐぐぐ・・・。」
影はそう唸ると嬉しそうに笑ったように見えた。
「地獄の怜悧」
鎌からは真っ白い霧がでていた。その霧が水上化すると、その地面が溶けた。
「ターゲット壱。MISSIONクリアー。栗柄八迫、コンプリート。二階はアルティメットインビンシブル暴力女か・・・。怖い怖いですね。三階の泣き虫君をやりに行きますか。」
鎌が八迫の首に少しずつ少しずつ当てられそうになる。
「もう、つまんない。もっと抵抗してよ。電気はね・・・。電気抵抗って言うものがあってね・・・。それが小さいほど通りにくいんだあ。」
八迫は違うと言いたかったが、言えなかった。何とか影の手をダガーで切ると、大きく息を吸ったり吐いたりして、
「馬鹿・・・・。逆だよ・・・逆。」
「え?そーなのお?」
悔しそうに歯ぎしりをすると鎌を振り下ろそうと身構えた。
「この・・・・秀才めええええええええ。地獄の雷道を守りし雷電、コノ鎌に雷の塊を・・。」
電撃は、鎌の真上に出来ていて、鎌に付いた。それと同時に八迫のすぐそばに・・。
エントランスホール〜一階栗柄八迫の階行き 平田竜太
「はあ・・・・はあ・・・・はあ・・。この階段、いったい何階まであるの・・?一階に行くまでにもう、三十分も経ってるよ。」
ようやく、お目当ての扉を見つけた。
一息ついて、お茶を飲んでから。扉の奥へと向かった。
バコンッ!
「ぐぎゃうがあああああああああああああああああああああああああ。」
一階に入って目にしたものは雷に打たれて、生死の境をさまよっている八迫だった。
「八迫・・。」
「遅いわっ!馬鹿者が・・。」
背後から声がしたので竜太は思いっきり飛び跳ねた。
「ぎゃああああ・・・・。」
「あいつ鎌に電撃集めやがった。持つところも鉄で出来てる、思いっきり電気通す奴に。俺コーヒー落としちゃったんだよねえ。最後の一本。はああ。」
八迫は非常にがっかりした口調と顔でうなだれてつぶやいた。
「竜太は・・・持ってるわけないか・・・。」
竜太はぽかーんとした顔で言った。
「何が。」
「エンブレムコーヒー・・・だよ。」
でこピンをしながら竜太に言った。
「そうだ、鍵鍵。」
竜太は思い出すと、黒八迫の服をばりばり破っていった。
「そーいえばさー。この偽者って体、全部俺達と同じらしいよー。黒子の位置から何から。」
そう言った竜太の手はスピードを速める。
「離せ。俺が、俺が鍵取るから。ねぇ・・・りゅた君。」
「うを抜いて言うなー。うをー。」
「あーもう駄目だぁ。りゅた、エンブレムコーヒー買ってこいーーーーーーーーーー。」
「うを抜くな!」
「復活に向かって一歩前進〜」
ジェイソンは左頬に痒いところに玉蜀黍【R】を塗り紺で楽しそうにつぶやいた。
俺は、自分にいろいろなことを教えてくれた人に再会した。
こんなに楽しいことはないと、実感した。
次回、アルティメットインビンシブル暴力女、名前道理暴力使います。