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第百三十五話 Don't fling the piece of iron at people by any means.

「いたずらする子にはお仕置きが待ってるんだよぉぉぉおぉぉぉぉおぉ!!!」

俊足で駆け出す黒鍵に鐵と佚榎が前線に立ち、その行く手を阻む。

「今の、うちに早く!!!」

佚榎の叫びに理緒と砺磑、凱史が手当たり次第に壊していく。しかし黒鍵がそれを黙って見ているはずもなく、あっという間に鐵と佚榎をすり抜けると手の届く範囲にいた凱史を放り投げる。さらに続いて理緒と砺磑も投げ飛ばされ、後ろから攻めてくる鐵と佚榎を見ることなく蹴り飛ばしていく。

「やっぱり……駄目だったかもしれないね……」

ふらふらと立ち上がりながら、鐵が血と共に弱音を吐くと佚榎がそれをとがめる。通路の反対側では、凱史が弱音を吐き、砺磑がそれを叱咤し、理緒が励ましている。

「君たちじゃぁ、話にならなかったんだよ。それに比べてどうだい?君たちが置いてきた彼らは、僕の分身だったとはいえ、それを倒したんだよ。君たちじゃ、この“神の国”の舞台にふさわしい名役者とは言えない……」

やれやれ、と肩をすくめる黒鍵に全員が襲い掛かる。それをも受け止めた黒鍵は笑いながら同じ力で弾き返していく。

「辛いかい!?でも、大丈夫だ……僕はそろそろ君達には飽きてきたからね、終わりにするよ。願ってみるといいよ?神様が助けてくれるのをね?……まぁ、“神の国”にいる神様じゃぁ、到底君たちを助けてくれないだろうけどねっ!?」

大きく振りかざした右手が、閃光を放ちながら理緒を最初の的として見据えていた。



思わずいら立ちを隠せず、ダンッと机をたたき、シャガンは続いて椅子を蹴り飛ばす。

―――おや、何か言いたそうな顔だねぇ、シャガン君―――

当たり前だ、と反論することも許されずにさらに上層部からの一方的な通信は続く。

上層部が決定したことは覆る事などない。そのことを十二分に承知しているシャガンは睨みつけながら歯ぎしりをすることが精いっぱいだった。それを理解している上層部はやけに上機嫌な笑顔で通信してくるのがさらに気に障る。

後ろにアラルトベーラがいなければ、人目を気にすることなく暴れ、泣き叫んでいただろう。

―――では、シャガン君。君の賢明かつ早急な判断を、我々は期待しているよ―――

意味ありげな笑いを含みながら通信は途絶える。

しばらく俯いていたシャガンは感情に任せて机を殴り続ける。それを見るアラルトベーラは、黙ってそれを見ていてくれる。

「あいつを、渡せって……」

一時間ほど感情に身を任せていたシャガンが唐突に呟く。

「子供が足りないから、あいつ一人に重荷を背負わせて、未来の為に使ってやろうって……!!!切り裂きジャックが使うべく最後の砦と、最後の知性を解き放つ鍵にしてやろうって……!!!」

何処から嗅ぎつけたのか、上層部はシャガンと一緒に生活している少年の存在を知り、その少年を使ったうえでさらに力を求めている。

結局のところ、自分で立ち上げた組織は自分ではない大人たちに運営されており、既にそれは創設者の事などどうでもいいとまで思われているに違いない。

でなければ、俺の意見だって尊重されるところがあるはずなのに。

「計画は中止されたんだ。俺が作った計画書も欠点だらけだから破棄したはずなのに、黒鍵と神がいる国を使った絶対権力による世界規模の支配……俺から防衛的力のための組織を奪っておきながらまだ支配し続けようとしてるんだよ。関係ないんだ。そもそもあいつは関係ない」

なのにどうして、なんであいつが……。


そこまで上は俺から大切なものを奪い取りたいのか。



―――ねぇ、“神の国”に連れてってあげようか―――

くすり、と笑いながら少年は竜太たちに提案する。

「今の僕なら連れて行ってあげられるよ。鍵であることを理解した僕が、シャガンの伝えたかったことを思い出せた僕が今更君たちと闘う理由はないんだ。むしろ、僕は早くこの重荷から解放されたい。だから、だから僕は君たちに手を貸すことにしたんだ。準備なんていらないよね、今すぐに、行こうか」

シャガンのためにも、ね?と小さくつぶやく少年の言葉は誰に耳にも聞こえることはなく、少年の胸中に消えていく。

唖然と少年を見つめる竜太たちを前に、少年は手を鳴らす。

ふわり、と少年の無造作にはねている髪が風でそよいだのを視覚が認識した瞬間には、黒鍵が理緒に右手を振り下ろす瞬間だった。

「豪火竜っ!!!」

「豪雷竜っ!!!」

咄嗟に叫ぶ竜太と祀の声に呼応して、黒鍵の一撃をどうにか弾く。弾かれた右手から放たれた光は通路の壁を壊して大きな穴をあけていた。

大好きなおもちゃが来たような顔で喜ぶ黒鍵が動きを止めている間に竜太と祀が理緒と黒鍵の間に割り込み、黒鍵を蹴り飛ばす。

そのまま黒鍵から目を離さず、即座に覇凱一閃の刀身を抜きながら竜太はつぶやいた。

「なんでおいて行かれたのかは全く皆無なんですが、こんな狭い機関部で遊んでいらっしゃるということはこいつは引き受けてもいいんだよなー??」

返事の代わりに竜太の背中に理緒が鉄片を投げつける。それも一回ではなく二回三回と何度も続いていく。当たる度に悲鳴を上げる竜太は理緒が投げる鉄片を避けようとするが、視線は黒鍵から離せず、それを見ることもできずに避けることもままならず、なすがままにたんこぶを増やしていく。

ついに耐え切れなくなった竜太が鈍い音と共に倒れるのを見ていた祀が距離を開けて祀と紋太が丁寧に謝罪する。

「す、すいませんっ!!!」

腰を四十五度曲げると共に発せられる謝罪の言葉に理緒は握っているを握り潰して二人を許す。

「そろそろ、いいかなぁ……??」

血に飢えた目で竜太を見つめる黒鍵が返事を待たずに猛攻を開始する。が、こけている竜太の反応速度はそれに間に合わず、黒鍵の手足を佚榎の鎖が食い止め、砺磑と凱史がそれを蹴り飛ばし、叩き飛ばす。更に理緒が黒鍵の顔面に汀を突き刺して、祀が斬り飛ばす頃を見計らって鎖を緩める。

竜太しか眼中になかった黒鍵は通路の機材を巻き込みながら奥へと飛ばされていく。そしてその途中、黒鍵の視界に入った少年の姿に、おもむろに空気を蹴り黒鍵は少年へと近づこうと駆けだす。

「その子だっ!!!俺が待っていた俺の鍵は、俺の糧となるべくその鍵は、お前自身だっ!!!」

他の物になど目もくれず、竜太たちを風圧で退かすと、黒鍵は少年へとその両手を伸ばす。

「でも、僕は君に力を貸すわけにはいかないんだ」

無邪気な笑顔で微笑みかける少年は黒鍵の進行経路からひょいとどくと黒鍵の頭を下に叩きつける。

「僕は君の鍵になることはできないよ」


また今回も遅めになっており、更に短いです……。そしてなんと来週も更新できずに、再来週は確かテストです……。次に更新できるのは確実に七月になってしまうというくたばれこの野郎状態なのですが、本編の話に戻ると、なぜか今回はしゃべってる人が少ないですね。

いや、いつも特定の人物しかしゃべれていないのですが、今回はさらにひどいですね。

っていうか、凱史さん、しゃべりました?砺磑さん、しゃべりました??それでもって紋太君、しゃべりましたっ???←一応謝罪中に祀と二人で喋ったことになっております。

だめだ、全然人数が多いから動かせてないよ……。八迫さん放置状態だよ……!!!

こ、これはテスト明けの次回でかなり大幅な進行速度にしないと話が続かなくなってしまう!!!

というわけで、次回はまたいつぞやの大増量でお送りできたらいいなと思っていますので、期待せずに待っていてくださいっ!!!!


ちなみに今回のタイトルはは絶対に人に鉄片を投げてはいけません。当たると痛いです。でした。

や、やばい。話だけではなくタイトルすらろくなものが浮かばない…。

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