第百二十四話 The thought not crossing crosses.
交わらぬ思いは交差する
なんか最近、休みがない…。
頼みます、俺にもっと早く動ける力をください。
後スペックがすげぇパソコンもください…。
彷徨って、いた。
貫かれた体は治る事などなく、ただそこから血を流し続けて、シャガンは彷徨っていた。
黒鍵も既にどこかへ行ってしまい、おそらくは計画を進行しているのだろうと思うと、思わず顔がにやけるのをシャガンは感じる。
黒鍵が自らの意思を持ち、行動し始めたということは、彼らには決してとめることができないということだ。
黒鍵こそが最強の存在。
あのマリーネを生み出したのは黒鍵だとも噂されるほどだ。
それにしても、だ。
自分が作り上げた機械の未知数の部分、そこに踏み出し、使いこなすなどと言う芸当を目の前で、しかも自分ですらできなかったことを成し遂げていく。
それをなそうと思わずに突き当たりばったりで成す、平田竜太が、そしてその仲間たち一人一人が憎かった。
なぜあいつらは、俺一人ではなせなかったことを成し遂げる……。
いつもだ…。いつもそうだ。彼らが今までに敵対してきた兵は、いずれもがシャガンでは立ち向かうことすらできなかった者たちだ。勝てなくて、特訓して、それでも勝つことのできなかった兵たちなのだ。
彼らは仲間といういつ裏切られるともしれぬ存在を信じ、依存し、そして大きな力をなす。
シャガンの頭では考えられることではなかった。
シャガンの頭では仲間というものは自らの保身のために仲間を裏切り、自分だけ生きようと強者に頭を下げ続ける。
現にそのせいで、アラルトベーラは殺されて、そして今の呪われた自分がある。
そもそも人間というのはもともとが孤独なのだから、そのアイデンティティーを捨てる必要などない。
その孤独を糧に強くなっていけばいいだけの話なのだ。
よって、今の自らがだれよりも強く、それゆえに黒鍵に選ばれたのだと、シャガンは結論付ける。
選ばれたからにはそれだけの実力があり、実力があるからには思うが儘に、世界を回してもいいのだ。
重くなる足を引きずりながら、シャガンは最後の場所へと歩いていく。
そこがシャガンの目指す目的地。
“神の国”へと至る最後の鍵を壊すだけ。
その為に流れる血ならば、どんな犠牲を払う血であろうが、かまわない。
アラルトベーラと生きていく場所を創るんだ。
隠された箱は四つ。
そのどれもに何かしらの罠が仕掛けられている。
一つの箱の名前は“鎮魂”
一つの箱の名前は“呪歌”
一つの箱の名前は“祝福”
最後の箱の名前は“終焉”
決して触れてはならない禁忌の四つの箱の中に、シャガンの魂が封じ込められていた。
シャガンが望んでいた平和を考える心も、忘れてはならなかった思い出も、その全てがマリーネによって箱に封じ込められていた。
触れてはならない箱。
黒鍵はじっくりと自らの体を磨いていた。
正確には少年に磨かせていたのだが、その刀身はますます磨きがかかり、鈍い光を反射していたのがウソのように光り輝き、とがっていた。
それもこれも、黒鍵がなそうとしているシャガンとは別の思惑のためだった。
なるようになるこの世界の中で抗おうとする者たちに制裁を加え、そして想像する。
自分が望む世界。
自分だけが君臨する唯一無二の帝国。
その為に黒鍵は、すべてを理解し、そして全てを支配しようとしていた。
次回は、来週の土日も学校とかふざけてるのでできるかわかりませんが…努力させていただきます