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第百二十二話 Evolving situation

進化する事態

亮祐は、いや、黒鍵は目的地へと達していた。

“神の国”へ至るべき段階の最終段階。

その黒鍵の目的はシャガンがなそうとする目的を超えていた。

シャガンの目的は己を超えた切り裂きジャックという組織を叩きつぶすこと。そして殺されたアラルトベーラを生き返らせるための封印を解き、“神の国”で二人だけの理想国家を作り、安泰を築くこと。しかし黒鍵の目的はその“神の国”にある物にあった。“神の国”奥深くに隠されている鍵穴。そこに隠されている物こそが、旋律を奏で、旋風を巻き起こす黒鍵が欲したもの。

その為の体、中片亮祐。

もはや“神の国”建国は防げるものではなく、今、現在、“神の国”は再び地上に建国されようとしていた。

「始まる……。一つの時代が終わり、新しい時代の始まる音。そこに吹く風。さぁ始めよう。俺が支配する全時代の幕開けを」



人殺し、と罵られた事はあるだろうか。

いや、たいていの人間はそんなことはあるわけないし、そんなことがあっていいわけがない。

そもそも、シャガンが生きているといってもいいのだろうか。

ともかく、竜太は混乱していた。

それは、八迫も、紋太も。祀に佚榎、鐵も、誰一人として同じだった。

まさかここにきて人殺しと言われるような目にあうなどと、夢にも思わなかったのだ。

「貴方達は、人殺しよっ!!!」

泣きじゃくるアラルトベーラの声は、留まるところを知らずに、どんどん大きくなっていく。

けれども、誰一人としてそれを止めることなどできないのだった。


突然振りかざされた斧のような形の鈍器はためらいも、躊躇もなく振り下ろされ、その鋼は亮祐の冷たい心と同じように冷え切っていた。

それは暖かくなることなどなく、砺磑に、凱史に、そして理緒に当たり、三人は意識を失っていた。

しかし、それはアルティメットインビンシブル暴力女たる理緒の事。

そんなに時間がかからずに意識を取り戻す。

飽きてまず初めにしたことは、亮祐の姿をを探すこと。けれどもどこを探してもその姿は見えずに、また止められなかったと、強く唇を噛む。どれだけ強く噛んで血が出たとしても、止められなかった悔しさはこらえきれなかった。

そうこうしているうちに砺磑も、凱史も目を覚まし、届くことのなかった恋心を察し、無言で見つめる。

「行く…」

ぼそりと決意を決めた理緒が、次第に大きく、決意を言葉に叫んでいく。

「決めたっ!!!私はあのばかやろーをぶん殴ってぶっ壊してやらぁ!!!」

キャラとともに迷いを断ち切った理緒は血走った眼で、地団駄を踏み、地面を揺らす。

「行くわよ、美少女の裏の部分、この拳で知らしめてやらぁ…ふふふ、ふふふふふふ!!!」

「理緒、怖い……」とつぶやく凱史の声は理緒の笑いでかき消され、「おおおーい、あいつだいじょぶなのかぁ!?」と言った砺磑の嘆きも、同じようにかき消されていった。



「もう、残った手は一つしかないの!!!どうしてくれるの」

すがるような声で泣きついてくるアラルトベーラの顔を八迫が容赦なくひっぱたく。

「ウルセェ。ぐずぐずしてねぇでとっとと話しやがれ」

鬼の形相、と言うよりは楽しそうに目覚めた八迫は、嬉しそうに口をゆがめた。

紋太がすっかり見慣れた顔で「あ~あ、我慢してたのに出てきちゃったよ…。八迫のサディスティック」

にやにやとその状況を見ている紋太を見て、祀はふと紋太もサディスティックなのではないだろうかと頭をよぎる。急いでその考えは首を振ることによって忘れるが、目の前でにやけている紋太を見て思わず「ひっ!」と漏らす声が祀の金髪を揺らし、緑眼を曇らせる。ポフッと肩を叩く佚榎が「どしたの?」とかける声すらも耳に入らずに祀が涙目で震える。鐵は状況を見て、きっとかわいいと思っていた年下の弟分に考えも見なかった性癖があって、それがあんまりかわいくないもので泣きだしたいんだろうなぁと、心中で考えているときに、事態は進んでいた。

「じゃぁ、シャガンは死んだのか??」

竜太が思わずつぶやく声に、アラルトベーラが否定する。

「死んでない!!!やっぱり竜太、貴方面白くないわ!!!」

でも……、とアラルトベーラは言葉を続ける。

「祀と」「佚榎とぉ!!!」「鐵の」

『今回は出番あったよ組会話―!!!』

祀「やったよ、今回俺たちちゃんと話したよぉー(泣)」

鐡「うんうん。とりあえず俺は無口という設定だから仕方ないけど、祀は元気で活発な子というキャラ設定の台本渡されてんでしょ!?大変だねぇ…」

佚榎「がっはっはっは、台本なんて俺、渡されたことないぜ―!!!」

祀「たぶんそれ、渡さない方が面白いとかそういうことじゃなくて、佚榎のだけ作られてないんだろうね…」

鐡「まぁ、今回はあんまり佚榎が壊れないうちに終わらしておこうか」

祀・鐵『次回の切り裂きジャックは―!!!』

祀「やっぱり決まってません!!!」

佚榎「ぐひゃひゃひゃ!!!いっぺん話まとめてみろってんだよなぇ」


鐡「いつになったらおれたち、しゃべれるんだろうか…。話の区切り悪いって言って書いてみたらまた区切り悪いし…。新年あけの放送中止みたいな感じになってるよ…。そんな大それたことできる身分でもないくせにねぇ…。とっとと現実見た方がいいんじゃないのかな……」

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