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第百十四話 It can fight with me.

俺と闘え。

その黒鍵は全てを薙ぎ払った。

一撃で全てを倒し、その場に立っているものはたった二人となる。

亮祐と竜太の父親の二人だ。

うぅ…などと呻く敵や、裏切る気かなどと睨む雑魚はいらない。

一番下の駒を倒した程度で上機嫌になっている雑魚など、神の国には必要はない。

強者が強者を喰らい更なる強者へとなるべく作られる理想郷、神の国。

それこそが最終目的。

たどり着くべき国への計画。

黒鍵との意見が同調していく亮祐は黒鍵の意識をくみ取り、鍵の鼓動に気が付く。

「お前も、感じているな…」

その笑みはひどく下衆な笑いだった。

本来ならば亮祐から現れることのない笑み。

それと同時に亮祐は黒鍵を再び振るう。

しかしそれは八迫たちに対してではない。

黒く輝く黒鍵の狙いは、須藤を筆頭とする死者たちだった。

けれどもその鍵は、殺すために振るわれた一振りでは、なかった。



盟神探湯は蒸発させられ、王牙雷流は鞘から出ずに部屋の隅に転がされている。

祀はといえば竜太が持つ幻想の龍魂剣により地面にあおむけに転がされていた。

その原因である竜太は、歪んだ顔をニヤつかせ、それを本来持つべき人からは想像もできぬほどの顔で祀を押さえつける。

「………ふはっ」

竜太はその手に持つ龍魂剣をゆっくりと祀の首にあてる。命をいつでも奪えるという優越感が竜太の口から自然と笑いを漏らしていた。

「呼応するはその魂。わが器となるべくして造られたこの体は、俺が再び生きるということの身を考え数多の犠牲をとわずに練られた一つの計画。これこそが神の国計画の第一段階」

竜太は竜太の声でない別の誰かによって動き続ける。

「そしてそこから始まる黒鍵による支配。そこに係わるのが黒鍵に操られる操り人形。これらで統一し終わった時に、神の国計画はようやくその姿を現し、このシャガンによってすべてが始まるという寸法だ。つまり、平田竜太はおれの器として作られただけの存在。それ以上でも、それ以下の価値でもないというわけだ」

祀の耳元でささやかれるシャガンの計画は、どれもが所長の元で働かされていた出来事と関連していて、どこからか漏れた情報をもとに所長が成し遂げようとしていた計画であることを祀は悟る。

「見せてやる、お前たちが持つ刀の真の姿を。それらはすべて一つの刀で出来ている。炎斬刀覇凱一閃と王牙雷流。更には龍魂剣の元となる龍銀剣、龍銅剣。四つの剣を一つにすることで始まる新世界の力。竜太がひれ伏したこの力」

シャガンが掲げる右手の周りに四つの剣が集まる。

覇凱一閃と王牙雷流がぶつかり溶け合い、龍銀剣と龍銅剣がはじけて新しい形に生みかえられ、それらが再びぶつかり、はじけ、生み出される一振りの両刃剣。

「さぁ、運命に抗え。己に嘆け。竾埀翅祀、貴様らに助けられる命も、変えることのできる運命もありはしない。この炎雷刀王者龍閃えんらいとうおうじゃりゅうせんの切れ味を体で試していけ」

炎雷刀王者一閃は刃の左右にそれぞれ豪火竜と豪雷竜をかたどったものか本体かわからない竜がはめ込まれていた。

刃には二頭の龍が互いに絡み合い描かれている。

絶体絶命の危機を迎えている祀の前に武器はなく、ただその王者龍閃を見ることしかできなかった。



そもそもこうなったのにはそれ相応の経緯があった。

亮祐と竜太の父親がその場に立ち尽くす中、シャガンはその右手を竜太へ向けかざす。

輪転機に拘束され、動かない竜太に対し、シャガンはゆっくりとその両手を入れていく。

意識もはっきりとしない中、竜太は苦しそうに苦悶の表情を浮かべる。

シャガンはゆっくりと竜太の心との対話を試みる。

《聞こえているだろう、平田竜太。つまり、お前は御祓箱なんだよ》

シャガンの体はどんどん竜太の中へと入っていく。と、同時に竜太も苦しそうに体をよじらせるが鎖で拘束されている体は全く動く気配もしない。

《ッるさい!!!》

シャガンが見た竜太の意識は、何もないただ白一色の場所に十字架にくくられて立っていた。

《ふはははっ。お前はつくづく縛られるのが好きなようだな、あれか、縛られないと満足できない口か》

《ンなわけあるか!!!とにかく、お前はここから出ていけ!!!ここは俺の体で、ここは俺の場所だ!!!》

意識の中でも動けに竜太に対し、力を自由に使えるシャガンは余裕の笑みを浮かべ、竜太を抱え、何もない淵へと立たせる。

《教えてやるよ、お前がなぜ選ばれたかを。なぜおまえだけがこんな目に合うかを。おれだよ、お前たち切り裂きジャックは俺の考えた計画という名のゲームをひたすら攻略していたにすぎないっ!!!》

竜太の目に驚きの色が現れたのを見てシャガンはさらに上機嫌で続ける。

《全部だよ。全部俺が作ったシナリオをお前たちというプレイヤーが必死になってエンディングを迎えるために足掻いてたんだよ。滑稽すぎて心配してたんだよ。順調すぎたしな》

ふと、竜太が下を向き方を震わせる。

《じゃぁ…》

一度間をおいて考え込むが、すぐに言いたいことはまとまる。

《八迫が須藤と闘わなくちゃいけなかったこととか!!!眞幻想殺したのも、祀たちが悲しい思いまでして堪えてたのも!!!紋太が背負ってるもんだとか全部、全部お前が決めてたことなのかっ!!!》

突然の竜太の反応にシャガンは一瞬戸惑うがすぐにいつもの顔を取り戻すと一言で返事を返す。

《ふざけんな!!!誰もがみんなお前の操作キャラクターじゃねぇんだよ!!!人間なんだ!!!生きてるんだよ!!!》

自身を縛る鎖を暴れさせながら竜太はシャガンに叫ぶ。

《お前なんかに操られてたまるかっ!!!》

べぇ~っと舌を出す竜太はシャガンの幻想の力により顔のすぐ横に斧が突き刺さる。

《黙れよガキが。俺を誰だと思ってるんだ。俺はお前を作ってやったんだ。創造の親の言うことを黙って聞いとけばいいんだよ》

鼻で笑うシャガンを見る竜太は思わず“声”が出ていた。

「俺と闘え」

真剣な目でシャガンを睨む竜太の目にシャガンは竜太の拘束を想像で壊す。

《お前が負けたら体を明け渡せよ》

一本の剣を渡された竜太はその剣を柄から抜き、シャガンに構える。

《逆らえぬ絶対的力を前に服従し、そして絶望に心を食われてしまえ!!!》


シャガンは更に興奮した様子で竜太の中へと消えていった。

しかし次の瞬間に竜太は飛び上がるように上半身を起こす。

自身を拘束するその鎖を軽々と引き裂いて。

「これが、俺、シャガンの姿か…」

軽く体を動かし、竜太の中にいるシャガンは輪転機を壊す。

「なぁ、どう見えるんだ、お前たちに目に、俺は何に見えてるんだ?」

意地悪いシャガンの質問に、亮祐と竜太の父親はただ、悲痛な叫びを訴えた。

「行ってこい。その代わり、生きることを許すな」

シャガンのその声は、逆らうことを許されなかった。

そして、亮祐と竜太の父親は黙って八迫の元へと出向いていった。

こうして、竜太の中にシャガンがいるという奇妙な状態は出来上がり、祀に襲い掛かっているのだ。



「行くぞ、我が魂に呼応しろ!龍をも一振りで払う剣、王者龍閃よ!!!」

シャガンはためらうことなく、その剣を振るう。

じたばたしたところでシャガンはびくともしないし、それによって何かが変わるわけでもない。

祀はおとなしくため息をつくと、腰に隠し持つ金箔に手を伸ばす。



亮祐が振るった黒鍵は誰一人斬ることなく、ただその鍵からは邪気を発するだけだった。

禍々しい邪気が須藤たちを包み、その邪気はどんどん小さくなっていき、最終的な形としては一人の人間のような形で落ち着き、邪気は消え去る。

『おぉ、力が余るほどだ。いいのか、黒鍵を使うものよ。瀕死のこやつ等の後は貴様ら、そしてシャガンだぞ』

長身の姿となったそれはもはや原形をとどめていなかった。

元が誰であったかなどもはやだれにもわからぬような異形の存在。

それは黒鍵は命を一つにする力をも併せ持っていたということを証明するものだった。

「何、問題はない。すべてはこの黒鍵が解決することだからな。」

すでに八迫たちには立ち上がる気力はなく、それでも彼らは全力で叩くことを止めはしなかった。

「さぁ踊り狂え、饗宴の宴だ。破滅よ!!!」

破滅と呼ばれた命を弄ばれ創られた生命体は右手に付加した十円砲を抱えそして霊を集合させ作り上げた巨大な剣ウィランナを振りかざす。



その光景を見た彼は、一人、上へと行くことを決意した。

一緒に遊んでいた子供たちが、声援をくれる。

頑張ってきてね、と。

だから、彼は壁にかけてあるそれに手を伸ばす。

そして、自分を助けてくれた友達を助けるためにそれを羽織る。

手に持つのは龍の杖と。

無理やりこじ開ける地獄の門は、重いけれども、地獄の王を舐めてはいけない。



『破片に変われ!!!巨石両断、十円ウィランナ!!!』

破滅が振り下ろしたその剣は、助けに来た彼によって一時的に防がれる。

黒いローブを羽織り、見た目はただの少年だけれども、違うのは頭に角が生えていること。

紋太が見たその敵は、自分が初めて和解した相手、竜王だった。

杖でウィランナの刃を止めつつも、竜王は紋太たちを一時的に離れた場所へと送る。

「僕は!!!大丈夫…だから!!!」

叫ぶ竜王の背中を見て、紋太はうなずく。

紋太は確信する。

きっと、竜王が送る場所は竜太がいる場所だろうな、と。

亮祐はそれを見て竜太の父親とともに急いで鍵を使い時空の扉をこじ開ける。

「破滅、その生意気な竜は必ず始末してくるんだぞ!!!」

破滅は返事もせずにあいている左手に覇道をためる。

限界超越アルティメットチャーター!!!エヴァーニェン・サージェ!!!』

白い塊が完全な球を作り、破滅の左手に集まる。

竜王はとっさに龍の杖をベルトに刺すと、両の腕を前に突き出す。

「滅龍奥義紅蓮雷神斬!!!」

破滅と竜王のぶつかり合う技の数々は、鋭い閃光とともにその場に沈黙をもたらすのにそれほど時間はかからなかった。

なんだかいろんな方面から人(?)が集まってきましたね。

さてさて、その結果はどうなるのでしょうね!?

テスト近いので、早々続きは書けないでしょうが、来月には終わるので、それぐらいが目安かと思います


続きは次回の講釈にて!!!

第百十五話 

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